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技術使い  作者: 中間
一章:技術使いと元王女
3/23

2話

ギルドを出たシンは、すぐに帰途についていた。辺りは薄暗くなっていた。

シンは、帰り道を歩きながら大戦のことを思い出していた。シンが参加した頃の大戦は特に酷かった。長い戦いの中で、戦う理由を見失っていた。元々金が貰えれば良かった傭兵はまだ良かった。しかし、軍人は精神的に辛い戦いを強いられた。これが国のためになるのか、家族を護れるのかもわからないまま、命のやり取りをやらされていた。終戦後、生き残った多くの軍人は、軍を離れた。


シンは物心が着いた頃には、ある傭兵団で戦いに参加していた。しかし大戦の中、傭兵団は数を減らしていき、終戦を前に解散してしまった。その後もシンは、戦場に一人残って戦い続けた。シンは、戦場を自分の居場所のように感じていたし、この頃のシンは戦うことしか知らなかった。大戦が終わり、『魔窟』を幾つか浄化した後、戦いの無い日が続き、戦いの無い平和な日常を、シンはこの時になって初めて知った。今の物臭な性格はその反動の様なものだ。今ではすっかり自堕落な生活が気に入っている。


シンが、薄暗くなってきた木の多い山道を歩いていると、道を少し外れたところに鎧を着た男がうつ伏せに倒れていた。

行き倒れか?それにしたって何でこんな山奥に?ここら辺には何も無いぞ。


「面倒事の予感」


シンは疑問と嫌な予感を感じながら男に近づいていく。座り込んで、男を揺するがなかなか起きない。手を触ってみると、異常なほど冷たかった。面倒そうにしていた顔を、真剣な表情に変えて、シンは男に駆け寄る。


「おい!大丈夫か!?」


「うっ、あん、たは?」


良かった。起きたようだ。


「通りすがりの者だ。大丈夫か?」


「・・・プリム様を・・・けて・・くれ」


意識が朦朧としているらしく、要領を得ない。それにしても『様』か、面倒なことになりそうだ。かといって、放置して死なれても目覚めが悪い。


「先にあんただ」


うつ伏せの男を引っくり返す。シンは男の状態にしばらく言葉を失った。


「・・・・・」


男の脇腹が鎧ごと、ごっそり無くなっている。今話せていることが不思議なくらいだ。


「俺は・・・無理だ。」


男は震える腕を上げて、俺の家がある方向を指して


「あっちに、プリム様が・・・・・頼む、プリム様を助け、て、くれ・・・」


男が最後の力を振り絞って懇願してきたのだろう。男はそこで力尽きた。


「面倒なことをしてくれる。死なれたら断ることもできないじゃないか。」


状況からして厄介事は確定だが、死ぬ間際の頼みだ。面倒なことが嫌いなシンでも、無視できる神経なんか持ち合わせていない。シンは仕方なく自分の家の方向に走り出した。



山道を走っているとハウンドの死体が幾つかあった。ハウンドとは黒い狼の魔物で、大型犬くらいの大きさで左右の牙がとても長いの魔物で群れで行動する。魔物ランクは〔EE〕で個々は弱いが、群れになると〔D〕までランクが上がる。数が集まるとそこそこ厄介な魔物だ。ハウンドの死体以外にも他にも人や馬の死体や馬車の残骸もあった。

しかし、なんでこんな所にハウンドが?この山に住み着いてから長いが、この山に魔物はほとんどいないはずだ。だからこそ、俺はこの山に山小屋を建てたのだ。


魔物いることに疑問に抱きながら、走り続けるとしばらくすると悲鳴が聞こえてきた。

まだ無事のようだな。しかし、危険な状態でもあるらしい。シンは、悲鳴の聞こえた方向に急いだ。体内の氣力を操って、脚力を強化した。ものすごい勢いで走り出した。

すぐに黒い塊が見えてきた。

まだ距離があるが、おそらくハウンドの群れだろう。群れまでの道に障害物はないことを確認してから、シンは麻袋をその場に落とす。


「『電歩デンポウ』」


シンの身体が青く光ったかと思うと、次の瞬間シンの姿が消え、一瞬でハウンドの群れのど真ん中に瞬間移動した。

『電歩』は一瞬だけ身体を擬似的に雷化イカズチカすることで、高速移動ができる移動術だ。速さだけなら一級品の技なのだが、小回りは効かないし、あくまで移動術なので障害物が多いと使えないのが難点で、使いどころが難しい。失敗して障害物にぶつかると、雷化しているので大事にはいたらないが、すごく痛いのだ。

今回はハウンドの群れのど真ん中に突っ込んでしまった。よくハウンドにぶつからなかったな。


「やっぱりこれは使いづらい。」


こうなるのは慣れているので、シンは慌てた様子もなく。シンは左腕の刺青に手をかざす。六芒星の刺青が光出し中から刀の柄が出てきた。その柄を右手で掴んで引き抜く。すると二メートルほどの大太刀が出てきた。シンは六芒星の刺青のことを『武器庫』と呼んでいた。

シンは、大太刀に氣を流して強化する。そして大太刀を振り抜いて、目の前のハウンドを胴辺りから真っ二つにした。

突然の攻撃にハウンドの群れの動きが止まる。その隙にシンはプリムとやらを探す。居た、ハウンドが邪魔でよく見えないが女の子が木を背にして座り込んでいた。シンはハウンドが状況を理解して動きだす前に、少女の近くにいるハウンド数匹を切り伏せて女の子の近くに行って、ハウンドから守るように前に立つ。

女の子が驚いた表情でこちらを見てくる。


「大丈夫か?」


「は、はい。あなたは?」


後ろから聞こえた声は、とても可愛らしかった。


「ただの通りすがりだ。死にたくなかったら、そこでじっとしていろ。」


シンがじっとしているように女の子に言うと、ハウンドの群れの中から一際大きなハウンドが現われた。ハウンドの特異体であるヘルハウンドだ。ヘルハウンドはハウンドの三倍近い大きさで、高さはシンと同じくらいの大きさだ。その爪は鋼鉄の鎧すら切り裂き、その足は馬より速い。


「こんなのまでいるかよ」


結構な大物だ。魔物ランクは〔CC(ダブルシー)〕ランク。普通は〔CC〕ランク以上のギルドメンバー数人掛りの仕事だ。


「まあ、問題ない。『刃雷』」


刀身が雷を纏い、青く光る。


「青い、雷」


少女が驚く。刀を覆う雷は青白いとかではなく、はっきりとした濃い青だった。『蒼雷』、それが大戦時のシンの雷の呼び名であり、シンの通称でもあった。

『刃雷』は刀に雷を纏わせて、何でも切れる名刀に変化させる技だ。『刃雷』を使うのと同時に、ヘルハウンドがシンに襲い掛かってきた。

シンはヘルハウンドの鉄をも切り裂く爪を、『刃雷』を纏った刀で迎え撃つ。


刀と爪が交差する。


次の瞬間、地に伏したのは、ヘルハウンドの方だった。


「残念だったな。俺の『刃雷』の方が切れ味は上だ。」


ヘルハウンドの右前足が爪ごと二つに切り裂かれていた。


「じゃあな」


シンは、前片足を失って動きの遅くなったヘルハウンドの首を切り落とした。ヘルハウンドの巨体がその場に倒れる。

群れのリーダーをやられたハウンド達は、ジリジリ後退する。青い雷を体から放電して威嚇すると、ハウンドは逃げ散っていった。シンは、気配が消えたのを確認して、大太刀を『武器庫』に翳すと、『武器庫』が光り、大太刀は光に吸い込まれるように消えた。


「あの・・・もう、大丈夫なのでしょうか?」


ハウンドが居なくなって安全だと思ったのか、少女が起き上がってこちらに近づいてきていた。


「ああ・・・たぶんな」


「・・・あの、助けて頂いてありがとうございます。」


シンはこの時になって、初めて少女をしっかりと見た。かなり可愛い、少女だった。ウェーブの掛かった桜色の髪を、腰まで伸ばしている。服装は、質のよさそうな白いブラウスと黒いロングスカートを着ていて、その上に膝まである薄い黄色い外套を被っている。髪の印象から、ゆったりした雰囲気があって、第一印象はのんびり屋のお姫様、という印象を受けた。

シンは一応の確認のために問いかける。


「プリムさんでいいのかな?」


「は、はい。あの、どうして私の名前を?も、もしかして・・・追っ手?」


プリムの声は小さく、後ろの方の声は小さくて聞き取れなかった。


「うん?」


「な、なんでもありません。」


『様』付けで呼ばれているにしては、そんなに高慢さは感じないな。さて、この子をどうするか?この辺りにはまだハウンドがうろついている。置いていったらハウンドに襲われるだろう。・・・・・はあ、困った。


「あの、お名前は?」


「うん?シンだ。」


「??・・・死んだのですか?」


・・・・・ボケか?いや、たぶん素なのだろう。面倒な子だな。


「・・・・・シンっていう名前だ。」


「あっ、す、すみません。よろしくお願いします。シンさん」


プリムが深々と頭を下げてくる。


「よろしく。それでプリムさん、一先ず俺の家に来てもらえるか?」


ここからクルセウスに着くのに、この少女を連れてだと一時間くらいかかる。この子と一緒だとさらにかかるだろう。この辺りには家は俺のところしかない、元から俺の家しか選択肢が無かった。


「えっ、迷惑をかけてしまいます。」


迷惑か、やっかいな事情を抱えているらしい。それは困る。困るが、まだハウンドが近くにいるかもしれないから、夜が深くなる前に家に着きたい。


「それは困るが、ここにずっといるつもりか。」


シンは、そう言いながら周りを見回す。

そこには、プリムの護衛やハウンドの死体がたくさんあった。プリムは死体に対して、怯えのようなものは感じていないようだ。理由はわからないがプリムは死に慣れているのだ。それでも、こんなところで夜を明かすのは嫌なのだろう。プリムはシンの方を向く。


「お邪魔してもよろしいですか?」


「そうしてくれ。せっかく助けたのに、野垂れ死にされても目覚めが悪いからな。それより急ごう、日が暮れる前に着きたい。」


「あの兵士の方達を弔いたいのですが」


「放っておけ、今からだと日が暮れる。」


「そんな、この方達は私を守って死んだんですよ。それを放っておけだなんて」


プリムは非難するようにシンを見る。

シンにとって、死んだ者の優先順位はかなり低い。大戦経験者のシンにとって、死体はなじみがあるもので、死体=物という考え方が戦いの中で染み付いている。そう割り切らなければ、大戦の中で戦い続けることは無理だった。死者を無下に扱うつもりは無いが、シンは生者をなによりも優先する。


「状況的に無理なんだ。頼むから、言うことをきいてくれ。それに、夜になってからの埋葬は無理だし、暗闇でハウンドの相手はしたくないんだ。」


シンを見据えるプリムに、諭すように話しかける。ハウンドのことを聞いて、襲われたときのことでも思い出したのだろう。死の恐怖にプリムが肩を震わせる。


「・・・・・わかりました。」


「じゃあ、行こう。付いて来てくれ。」


シンが歩き出すと、プリムが呼び止める。


「あ、あの」


「何?」


「あの、その・・・・」


とても言いづらいことのようだ。


「なんだ?言ってみ」


「その・・・・・鞄を持ってくれませんか?その、重くて持てないんです。」


「・・・・・」


プリムが気まずそうに手を合わせて上目遣いでお願いしてくる。本当にお姫様なのかもしれないな。

可愛い、シンは人付き合いがあまり無いから、こういうのには慣れていない。


「・・・・・わ、わかった。」


「すみません。ありがとうございます。」


シンはプリムの鞄を持って、歩き出した。途中で麻袋を回収するのを忘れない。

プリムを連れての移動は遅く、山小屋に着いた頃、外はもう真っ暗だった。家に着いたシンは、麻袋を適当なところに置く。プリムも外套を脱いだ。


「それは?」


外套に隠れてで今まで気付かなかったが、黒い結晶の付いた首飾りをプリムが首に掛けていた。


「これですか?これは」


シンは、プリムが答える前に首飾りに、手を伸ばして奪い取ろうとしたが、避けられてしまった。

意外と動きが速かった。プリムは驚いて。


「何を!?」


「プリム、それが何なのか、わかっているのか!」


「こ、これは、ガーラ先生が出発の時にくれた魔除けです。」


「魔除けだと!?その逆だ。それは魔寄せ、魔物を呼び寄せる禁じられた魔法具だぞ。」


魔寄せの魔法具は大戦でも使用された。しかし魔寄せは、魔物を呼ぶだけで制御はできない。呼び寄せられた魔物は、付近の村を襲い多くの関係ない人々が巻き込まれて死ぬという悲劇が起きた。

ある意味、無差別兵器だ。故に禁じられ、ほとんどの国が廃棄した。

そのはずなのに、まだこんなものを使う奴がいるのか。

魔寄せにより、シンは大戦中に、魔物に囲まれたことがある。あれは酷かったし、なにより辛い。倒しても倒しても魔物があふれ出てくるから、戦いの終わりが見えないのだ。


「そ、そんなの嘘です。あの人が、ガ-ラ先生がそんなものを私に渡すとは、思えません。ガーラ先生は、孤立していた私に色々教えてくれた恩人なんです。そんなこと、言わないでください。ぐす」


プリムは、送り主と親しかったらしく、目を潤ませて泣きだしてしまった。しかし、こちらも引けない。放っておいたら、近くの町にも被害が出かねない。


「別に、ガーラとやらが、それを用意したとは言わない。ガーラ本人は知らないかもしれない。でもそれは危険な物だ。こっちに渡してくれ。手荒なことはしたくない。」


プリムにはこう言ったが、ガーラが怪しいのは事実だ。禁じられた魔寄せを偶然手に入れたとは思えないし、贈り物の詳細を知らないとは思えない。プリムを泣き止ませるための方便だ。


「そ、そうですよね」


プリムはシンの言葉を聞いて、なんとか泣き止んだ。一応ガーラが魔寄せを知らない可能性も0%ではないから、嘘ではない。それに、今は魔寄せの破壊が優先だ。


「とにかく、それを破壊させてくれ。」


「あの、間違いということは」


「本来、この近辺に魔物は出ない。ハウンドがいたことがなによりの証拠だ。」


「・・・・・わかりました。」


シンは渡された首飾りの黒い水晶を刀で粉々に砕いた。これでハウンドがこの山に現われた疑問は解消できた。後は、魔物がいる可能性があることをギルドに話せば問題は無いだろう。


「ほかにガーラとやらから貰ったものはあるか?」


「いいえ、ありません」


真偽はわからないが、女をひん剥くわけにもいかない。最後はプリムが何者か、だな。


「プリムはなんでこんな所にいたんだ。道にでも迷ったのか?」


「その・・・・・魔物も人も居ないところを探していたんです。」


「人も、か?」


「はい」


「何でまた」


シンは、自分のことを棚にあげて質問する。


「・・・・・」


黙り込んでしまった。


「誰かに追われてるとか?」


プリムがビクッと身体を震わせる。わかりやすい子だ。


「誰に追われているんだ?」


「その、ごめんなさい。話すと迷惑をかけるかも・・・・・・・・」


そう言われると、聞きたくなくなるのだが、『魔寄せ』を使うような奴の名前は知っておいたほうがいい。


「頼む。話してくれ」


「・・・・・・たぶん、キルマイアの国王です。一応昔はキルマイアの王女をやっていたんです。色々あって逃げてきたんです。」


「・・・・・えっ、マジで?そいつがガーラ?」


「ち、違います。王様の名前は、オーギュストっていいます。」


やっぱり面倒事だった。それもよりによって、助けたのが元王女かよ。


「・・・・・はあ」


シンがため息をついて、椅子に深く座り込む。


「あの、ため息って、ちょっと酷いです。」


プリムとしても、こんな反応をされるとは思っていなかったようだ。少し拗ねたような表情をする。


「ああ悪い」


「あの、結構重大なことを言ったつもりなのですが」


まあ、想像していたことでもある。


「あ~そうだな。プリムはこれからどうするんだ?国に戻るのか?」


一応今後のために聞いてみる。


「あんなところには、戻りたくありません」


プリムがとても辛そうな声で言ってきた。王宮暮らしには、あまり良い思い出は無いらしい。この話題は避けたほうが良さそうだ。


「それならこれからどうするんだ?護衛も無しで」


「なの、シンさんは、何の仕事を?」


「ギルド」


シンが短く答えた。まあ嘘ではない。一般的なギルドとは少し違うが。


「なら、護衛してくれませんか?」


「絶っ対やだ」


強く拒否されてプリムが面食らう。


「な、何故ですか?少しくらい考えてくれても、お金はありますよ。」


「相手は、国王かもしれないんだろ。命がいくつあっても足りん。」


「・・・・・どうしても、ダメですか?」


プリムが食い下がってきたのは、少し意外だった。今までの感じからして気が弱いイメージがあったから、一度拒否すれば素直に引き下がると思っていた。


「面倒事はごめんだ。明日、護衛を弔ったら、町まで送る。」


「あの何でもします。ここに置いてくれませんか?」


「だから、面倒事はごめんだと」


「私が町に住むと迷惑がかかるかもしれなんです。あっ、シンさんに迷惑を掛けたいわけではないんです。ただ少し前に、停泊した村を何者かに焼き払われたことがあるんです。」


それで人のいない所をさがしてこんな場所まで、苦労してんだな。かといって、ここに置くのは無理だ。何より狭い。なので、シンは次の提案をした。


「じゃあ明日、クルセウスにある『青竜の爪』のギルドマスターに相談しよう。それでいいか?」


ギルドマスターのアルフレッドなら、なんとかできるかもしれない。プリムもギルドマスターと聞いて、少し考えてから頷いた。


「ギルドマスターと・・・・・わかりました。」


「今日は疲れたろ。もう寝よう、ベットを使ってくれ。俺は床で寝るから。」


「そんなの悪いです。」


「お姫様が遠慮するな。それに俺は慣れてる。」


大戦の頃は、戦場で寝たことだってあるんだ。床で寝るくらい何の問題ない。プリムは最初は遠慮していたが、ベットに押し込むと、プリムはベット柔らかさに抗えず毛布の中に入った。寝ることが好きなシンはベットには金を掛けていたのだ。シンは部屋の隅に座り込んだ。


「あの、ありがとうございます。おやすみなさい。」


「ああ、おやすみ。」


そういえば、誰かにおやすみと言うの、久しぶりだな。

この時シンは、なにか忘れている気がしたが、久しぶりの戦闘にお姫様の相手で疲れて考えることを放棄して、そのまま眠りについた。



プリムを助けた次の日の朝、シンは目が覚めると部屋の真ん中でプリムが幸せそうに笑っていた。


「何してる?」


「ひゃ!」


シンの声に驚いてプリムが飛び跳ねた。その時、椅子に躓いて、周りのもの色々を巻き込ん転倒した。


「きゃあああ」


「本当に何してるんだ?うん?」


シンが、そんなプリムを見て呆れていると、自分の指に金の指輪が付いていることに気付いた。


「なっ!」


シンは大慌てて『不別の指輪』の片割れである、銀の指輪を探す。目当ての物はすぐに見つかった。一番あって欲しくに所にそれはあった。プリムの指だ。


「何してくれてんだ!こんのアホ王女ーーーーーー!」


シンの悲鳴のような怒声が山に響き渡った。


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