「脱中国依存」というメディアの論調は高市擁護の論点ずらし。話を完全にすり替えている。それに現実的ではない
高市が11月7日の予算委員会で「台湾有事は存立危機事態になりうる」と発言してから、地上波メディアのほとんどが高市を擁護する内容の放送をしている。高市発言を丸呑みし、ペラペラと政府見解をそのまま語る政治学者や、従来の政府見解となんら変わったことは言ってないと、高市を擁護する哲学者なんかもいた。それは最初の頃の話。中国が日本への渡航自粛の呼びかけを行い、公開されるはずだった日本の映画や開演予定だったコンサートが延期、中止されると、今度は、訪日中国人のインタビューをひたすら流し、中国人は日本が危険な場所ではないと言っていると、テレビの視聴者にひたすら訴えかける。私はこの放送を見た時、ずっと何を見せられているんだろう?と番組の趣旨を理解することができなかった。完全に話が逸らされているからだ。元はと言えば、高市の発言がきっかけで、事態が引き起こされているというのに、コメンテーターは、すっかり記憶を失ってしまったのか、高市の発言に対して、何も触れようとしない。唯一言及したのは、女性コメンテーター1人だけだった。それも数秒程度。それから、中国の制裁による、日本の経済的損失の概算が出ると、今度は、とってつけたように、中国の貿易依存をなくした方がいいといった、論調にすり替わった。今では、どこのチャンネルを回してみても、みんなそろって同じ事を言ってるだけ。なかには、水産物輸入停止や渡航自粛のニュースばっかり流すな!といった趣旨の発言をし、高市首相は自身の発言を撤回すべきではないと、高市を擁護し、中国の貿易依存から日本は抜け出すべきだと論点をすり替える、前駐中国大使もいた。そんなめちゃくちゃな発言に対し女性コメンテーターは、そうなると「欲しがりません勝つまでは」みたいになってくるんですかね?と皮肉をこめて尋ねていた。今の私の実感を、ここまでの話を踏まえた上で、率直に述べると、①メディアは今回、高市の「存立危機事態発言」の責任を追求せず、政府見解を垂れ流した。そして、中国から経済制裁を受けると、「中国との貿易依存を無くすべきだ」と話をすり替え、高市への責任追求を放棄し、その所在をうやむやにした。②日本はレアアースを握られているので、どのみち、発言撤回せざるを得ない立場にあり、「中国との貿易依存を無くすべきだ」という考えは、非現実的であり不可能である。③中国との貿易依存をなくすと「経済依存」による抑止力が効かなくなり、外交上のリスクが増加し、日本は自分の首を絞めることになる。①については、これまで述べてきたように、メディア全体が、政府見解に歩調を合わせ、中国から経済制裁を受けると、中国との貿易依存をなくすべきだといった、論調に切り替え、事の発端となった高市発言による、責任を追求せず、その所在をうやむやにしたということだ。②について、日本はレアアースの輸入の大部分を中国に依存しており、精錬工程についても、中国は世界の圧倒的なシェアを握っている。仮に、中国以外の他国から、レアアースの輸入が可能になったとしても精錬や分離、素材化の過程で中国に依存せずにはいられないのが実情だ。(※中国からのレアアースの依存を0にするのは不可能で、現実的に考えても40%ほどは輸入せざる負えない)中国のレアアース加工シェアは90%近くある。仮にレアアースを他国から、60%輸入できたとしても、加工できなければ、それはただの石ころ同然である。③について、国際政治において、経済的相互依存は対立を抑制する重要な要素であり、相手国に対して軍事的、政治的なエスカレーションを避けさせる抑止力として機能するとされていている。もし日本が急激に中国との経済関係を断ち切れば、サプライチェーンの混乱を引き起こすだけでなく、相互依存という平和維持メカニズムを自ら弱体化させることにもなる。これは安全保障上のリスクをむしろ高める可能性がある。ここで、取り違えてはいけないのは、「中国との経済依存によって、日本が不利な立場に置かれている、だから、依存を無くすべきだ」というのは、高市の失態を後始末するメディアが垂れ流している世論誘導であり、論点ずらしそのものであるという事だ。これは事実ではない。冷静に、これまでの出来事を時系列順に追って考えてみれば分かることだが、今、日本がこのような状態に追い込まれているのは、11月7日の高市の発言によるものだ。高市は従来の政府見解の立場から踏み込み「台湾有事は存立危機事態になりうる」と勝手に、日本国憲法、国際法を無視した、全くデタラメの個人的見解を国会で堂々と、それも、世界へ向け発信した。これが全ての始まりだ。先ほども述べたが、日本はレアアースの大部分を中国からの輸入に依存し、中国のレアアース加工シェアは90%にも及ぶ。例え、他国から輸入が可能になったとしても、加工できなければ、それはただの石ころ同然だ。どのみち、中国側が、日本に対し発言撤回を求める限り、日本は、それを呑むしかない。このまま、長期戦になれば、被害を受けるのは国民だ。高市は、国民の利益、国益、を優先し、自分の過ちを素直に認め、今すぐに国民に向け謝罪し、発言を正式に撤回し、責任を取り辞任するべきだ。




