00,前世、理沙子
「りさちゃん、帰ろ!」
その言葉に理沙子はっと顔を上げる。
最後だから、友達との時間を大切にしようと決めてたのに。やはり、本は家に置いてくるべきだった。
理沙子がランドセルにしまった本を見て、早希が聞く。
「また悪役令嬢転生モノ?」
「うん、これは結構面白い。前のはつまんなかったけど。」
「えっと、『乙女ゲームの悪役令嬢に転生していまいました!』だよね?」
「そうだったっけ、あんまり覚えて無い。」
「読んでる人が覚えてなくて、私が覚えてるって」
早希が笑うので、つられて理沙子も笑う。でも、少し乾いた笑いになってしまった。
「校庭に残らないで!」
坂本先生が2階から怒鳴ってくきた。理沙子と早希は、慌ててに校門に向かって走る。
「今日、坂ティー機嫌悪いね。」
と理沙子が言うと、早希が
「最後くらい、にこやかでいてくれたら良いのに。」
と続ける。校門を抜けたので、道を曲がり、ノロノロと足を進める。
「明日、卒業式だね。」
早希がポツリというので、「だねー」と答えながら理沙子も悲しくなって来る。
早希と理沙子は、小1のころから一緒に帰っている。理沙子は親の方針で、幼稚園や保育園に週一くらいしか行っていなかった。なので、なかなかみんなに馴染めず、早希が初めての友達だった。まあ、今でもコミュ力があまり無いため、友達は片手で数えられるほどしかいないのだけど。
「早希ちゃんは、都立中学受けたんだっけ?」
理沙子の言葉に、早希がうつむく。
「そう、でも落ちた。」
残念ながら、理沙子は、こんな時、早希を慰められるようなコミュ力は持ち合わせていない。
なんなら、明るい顔でこんなこと聞いてしまう。
「つまり、同じ中学行けるってこと?」
理沙子は言ってから、これは流石に無神経過ぎたかと後悔した。怒っているだろうか。
しかし、理沙子の考えとは裏腹に、早希は顔を上げて、ニヤリと笑った。
「そうゆうこと♪」
早希の明るい声で、理沙子の顔がぱっと明るくなる。
理沙子には、同じ中学に行く人と、ずっとしたかった会話があった。
「早希ちゃん、突然だけど、制服、ネクタイかリボンどっち選んだ?スカートとズボン、どっちにした?」
早希は、「いきなり?」と笑いながら答える。
「リボンとズボンでーす!りさちゃんは?」
「私はネクタイとスカート!お揃いはできないね。」
すると、早希は首を横に振って、やれやれ、という顔をする。
「わかってないなぁ、りさちゃんは。交換して制服全部試せるじゃん!」
「本当だ!早希ちゃん天才!」
今度は、2人で大笑いする。特にそこまで笑う理由は無いのだが、なんだか、笑いたい気分だった。
そんな盛り上がっているときだった。
理沙子の頭に鋭い痛みが走った。体が麻痺して立っていられなくなり、倒れ込む。
「りさちゃん!?」
理沙子は、だんだん意識が薄れていくのを感じた。
ああ、せっかく早希ちゃんと同じ中学行けるのに。
せっかく制服買ったのに。
体操着とかリュックを合わせて10万したのに。
ごめんね、お母さん。
「早希ちゃん!」
自分の声で飛び起きてしまった。頭がまだ痛い。
理沙子は、なぜか知らないベットで寝ていた。目の前には知らない、金髪、青い瞳のおばさんが座っていた。
「起きたのね、クリス。」
知らない人、知らない場所。理沙子にとってはとても苦しい。なんて言えば良いのだろう。さっきも言ったように、理沙子はコミュ力を持ち合わせていないのだ。
だめだ、だめだ。なんたって私は小学校最高学年!頑張れ、理沙子!
いやー、全然頑張れない励まし。小学校で1番高学年だからって何?他に何万人もいるんだし。
理沙子は泣きそうになった。
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