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三途の川  作者: 紅p
9/11

走馬灯劇場 開園

 相模の目の前に現れた光景。

 それは、相模がまだ子供の時分の頃の様子だった。

 その相模は家庭教師の下、勉学に勤めている。

 だが、その光景に紛れ、相模の両親の声が聞こえてきた。

「全く……、龍三には困ったものだ。これで、何人目かね?」

「そうねぇ……。一〇人目くらいかしら?

 自分の成績が上がらないのを家庭教師の先生のせいにするんだから……。本当に困っちゃうわ」

「そうだな。

 どうして上の二人は何の手も掛からないのに、龍三だけはこうも私達を困らせるのかね?」

「少し、私が甘やかしすぎたのかもしれません」

「いや、お前のせいじゃないよ」

「あなた……」

「取り合えず、相模家の恥にならぬようにするしかないな」

「そうですね」

 両親の半ばあきらめをも感じる会話が続く中、懸衣翁の声が聞こえてくる。

「お前さん。お前さんは知らんかったようじゃが、お前さんは色んな者に迷惑を掛けとったんじゃよ」

「!!!??」

「お前さんが罵倒した家庭教師とやらの中には精神を病んだ者もいたんじゃ……。

 そして、その中には人生を狂わされた者もおった……」

「!?!!!?」

 これは何かの間違いだ!

 相模は懸衣翁の話を信じなかった。

 すると、今度は奪衣婆の声が聞こえてくる。

「まだ、分からぬようじゃのぅ……。お次は、これじゃ……」

 そして、相模の目の前の光景はまた変わり、今度は高校時代になった。

 その時代の相模は誰からも慕われているはずだった。

 これだ!

 これを見てくれ!!

 相模は目を見開き、奪衣婆達の声がする方を見た。

 だが、またもや驚愕の事実を語る声が聞こえてくる。

「ちっ! 相模の野郎、面倒臭え奴!!」

「ホント、それな!」

「大体さ、親父が俺達の高校の系列大学の偉い教授だから、

あんな奴がこの高校に入れたんだろ?」

「そうに決まってる! じゃなきゃ、あいつの成績で大学の推薦なんてもらえる訳ないじゃん?」

「はぁー!! いいよな!

 あんな何の取り柄もなくて嫌われ者が努力せずとも良いトコいけるんだからさ」

「まあ、世の中そんなもんさ!」

「そうだよなぁ……。

 変に逆らって、あいつの親父の機嫌を損ねたら、俺達、系列大学いけなくなっちまうぜ!」

「ホント、それな!」

「大学は、絶対あいつと違う学科を選ぼっと!」

「俺も、そうするわ!」

 二人の男子の相模を馬鹿にする笑い声が聞こえる中、奪衣婆の声が聞こえてくる。

「お前さんはな、学校中の笑いもので、嫌われ者じゃったんじゃよ。

 唯、太牟田とかいう者一人を除いてな……。

 じゃーーがっ! お前さんはその善人を裏切ったんじゃ‼」

 奪衣婆は叫んだ。

 その叫びは相模の周りの光景を揺らし、全てを泡と化した。

 そして、また新たな光景が映し出され、相模は新たな事実を知る事となる。


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