表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三途の川  作者: 紅p
8/11

鬼と化した男の末路 一寸の虫にも五分の魂

 絶対にあいつ等を天国にいかせてなるものか‼

 相模に沸き上がってきた力。

 それは、怨念だった。

 その燃え上がる怨念によって、恐ろしい事に相模は三途の川の水面に浮かび上がったのだ。

 相模の血走る眼は逃げる二人を捉え、煮えたぎる血潮は三途の川を蒸気と化した。

 相模の姿は鬼と化していたのだ。

「太牟田ぁ!! 徳子ぉ!! お前等だけ幸せになれると思うなーーー!!

 お前達こそ不義の関係じゃねえか!! お前達、絶対に地獄に堕としてやる!!」

 蒸気の中から伸びた相模の鬼の手が太牟田と徳子を掴みかけた。

 だが、相模は頭上から落とされた何らかの大きな力によって、また三途の川底に沈められた。

「ゴオダッデブ!? ゴボジデ!!」

 三途の川底の中で藻掻く相模。

 その相模の前を、優雅に手の指先ぐらいの緑色の虫が泳ぐ。

 そして、その虫は蹼を持った誰かの大きな手により掬われていった。

 相模がその手を目で追っていると、奪衣婆の声が聞こえてくる。

「お前さん。なぁーんにも、分かっておらぬようだから、教えてやろう……。

 あの小さな虫はな、お前さんが意味もなく殺した虫じゃよ。

 一応、お前さんは勉学にも励んどいた自分もあったみたいじゃから知っておろう?

 一寸の虫にも五分の魂という言葉ぐらいはな?」

 奪衣婆の話を聞いた相模が水面を見上げると、そこにゆらゆらと揺れる懸衣翁の満面の笑みが見え、

その所々、歯が無い口から声が聞こえてくる。

「つまりじゃな……。ここでは、どんな生き物も同じと言う事じゃ。

 そして、仏様は、えろう慈悲深い御方じゃ。じゃから、あの哀れな虫を助けたという訳じゃな」

「!???!!」

「お前さん……。まぁーだ、分からぬのか? はぁ……、仕方がないのぉ……」

 懸衣翁は水面が揺れる程の深い溜息をついた。

 すると、その揺れに伴い相模の目の前の光景は変わった。

 そして、これから相模は地獄のような光景を目の当たりにする事となる。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
まるで日本昔ばなしを観ているようで本当に楽しいです╰(*´︶`*)╯♡ ありがとうございました♡
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ