再会 女
この話で折り返しです☆
さて相模氏に話し掛けてきた女とは……。
「勘違いじゃないわ、龍三さん!」
「そ、その声は……、徳子!?」
声の主は相模の妻、徳子だった。
徳子は相模と大学時代の同級生で、二人は二四歳の時に結婚した。
そして、二人の間には一人の子供が出来たが、徳子は子供を生み、約二年で死んでしまった。
そんな徳子の姿は何故か大学生の時のままだった。
「どういう事だ、徳子!? 説明しろ!!」
藻掻きながら相模は徳子を見た。
しかし、徳子は相模から顔を背けるかのように背を向け、表情は窺い知れなかった。
そんな徳子の傍に、太牟田が近づいて来る。
「それは、俺がしてやるよ、相模」
太牟田は、何故か水面を歩いて来た。
「太牟田!? 何でお前は沈まない?」
「そりゃそうだろ? 俺は生前の行いが善かったからなぁ」
「お前の生前の行いが善いだと!? 僕よりか?」
「相模……。いい加減に、ふざけた事を言うのは止めてくれ」
太牟田は徐にしゃがみ、ある事を話し出した。
「三途の川は生前の行いによりその深さが違う事ぐらいはお前でも知ってんだろ?
俺はな、生前、真面目にひたすら生きてきたんだ。
だが、お前が俺から徳子を奪ったせいで、俺は焼け酒をして不慮の事故に合って死んだんだ!!
そして、ここに来た……。
俺はお前なんかのせいで地獄にいくかと思ったぜ。
だってそうだろ? お前なんかのせいで、俺は大切な命を粗末にしたからな。
だが、慈悲部柿仏様がその手で俺をすくってくれたんだ。
だから、俺は天国へいけるって訳さ!
そして、天国で徳子と幸せになる!!」
「太牟田!? お前こそ、何をふざけた事を言ってんだ!!
どうして、徳子とお前が天国にいけて、幸せになるんだ?
徳子と天国で幸せになるのは、僕の方だろ?」
相模は必死に溺れまいと藻掻きながら太牟田を見上げた。
そんな相模に、徳子が話し掛けてくる。
「龍三さん。もう、止めて……。繁さんが言った事は真実よ」
「徳子!? 説明しろ!!」
「分かってる。話してあげるから、聴き終わったら龍三さん、地獄に堕ちてね?」
「ちょ!? おまっ! 徳子!! 何言ってんだ?」
動揺する相模。
その相模は徳子に手を伸ばしたが、徳子は乱暴にその手を払い除け、ある事を話し出した。