走馬灯劇場 真実
相模の周りの全ての泡ははじけた。
すると、相模の周りの光景は、相模が大学四年生の時分へとなった。
そして、そこは相模がサークル仲間との飲み会の帰りであった。
酒が入り、上機嫌の相模の前に太牟田と、徳子が寄り添って歩いている。
そして、微笑む徳子の目は星のように煌めき、太牟田を見つめていた。
その徳子を見て、相模は徳子が好きになってしまった。
と言うより、太牟田から奪ってやりたくなった。
そして、次の日から相模は徳子を口説く事を始めた。
だが、徳子は一向に相模に靡かない。
一年経っても、相模は徳子と食事スラ出来なかった。
そんな相模は苛立っていた。
どうして、徳子は僕に振り向かない!?
僕は顔も良く秀才で、国内トップ企業に就職が決まり、将来も約束されているんだぞ!!
相模が悩んでいると、相模の母が傍に来た。
「龍三ちゃん、どうしたの? 何か、嫌な事があるの?」
「ママ!? 何でもないんだ!!」
「何でもない訳ないでしょう? さあ、ママに話してごらんなさい」
「うん、ママ……」
相模は、母に徳子の事を話した。
話を聴き終わった相模の母は、相模にこう言い残し、部屋を後にした。
「後は、全てママ達に任せなさい。龍三ちゃんは、なぁ~んにも悩む必要なんてないのよ……」
それから暫くして、相模と徳子の見合いが行われ、すんなり二人は結婚した。
だが、この裏では相模の母の力が働いていたのだった。
そんな事を全く知らない相模の目の前に、相模の母と、その父の会話の様子が、
まるで映画のワンシーンの様に流れて来た。
「お父様。お話があります」
「何だね、真純?」
「龍三ちゃんの事でして……」
相模の母は、相模の悩みを話した。
すると、相模の母の父、つまり相模の祖父は、かかっと笑い、
全て儂に任せなさいと優しく言った。
そして、その映画のシーンは、まるで一昔前のフィルムが巻かれる様に、
カラカラと音を鳴らしながら進んだ。
進んだ先の映画のシーンは徳子の両親と、相模の祖父、
それに、体格の良い男の秘書らしき人物が話し合っている場面となった。
「では、この申し入れ、承諾していただけると言う事で、宜しいですね?」
「は、はい! ですが、こちらこそ本当に宜しいのですか?」
「岡田さん。会長の方が申し入れているのですよ?」
「久保、皆まで言うな……」
相模の祖父は、かかかっと笑い、秘書らしき人物と、徳子の父との話を終わらせた
相模の祖父は多くの会社を経営し、その頂点に君臨していた。
その会社の一つに消費者金融があり、徳子の両親はそこから多額の借金をしていたのだ。
徳子の両親は小さな工場を経営していたが、その運営が上手く回らず、
借金しても、あと数か月もすれば倒産状態まで陥っていたのだ。
そこでその情報を仕入れた相模の祖父は、その借金をチャラにする代わりに、
解く事、相模との縁談を持ってきたというわけだ。
徳子の両親は悩んだが、従業員を路頭に迷わす訳にもいかず、泣く泣く徳子を言い伏せ、
相模との縁談を了承させたのだった。、
だが、この縁談にはさらに裏の話がある。
ーー
どうしても
「皆まで言うな」
言ってみたい
だから言わせた
三途の川で
ーー
まあ冗談はさておき!
次の話で最後です。
この後の相模氏の運命や如何に!?
最後までお付き合い願えれば幸いです 紅p☆




