おやすみ、だーりん。
去年も今年も、そういえば一昨年も、夏と冬しかないような1年だった気がする。その短い春に出会った彼と付き合ってもうすぐ半年になる。春の訪れが、一切見えないこの冬を越しても彼は私を好きで居てくれるだろうか、とふと思った。
今まで見向きはしなかった、考えもしなかったから気づかなかったけれど、私は人の活力を奪うらしい。
付き合う前の彼よりも今の彼は、なんだか疲れているように見えた。何かへの動力を、好きなものへの執着心すらも、私は薄めてしまうらしい。無意識に。
普通に、愛するやり方を知っていたならこうはなっていなかっただろうか。
考えて見つけるものでもマネできるものでもないと思う。ただ、何もしないままではいられない。
誰かに教えてもらえるわけでもない。そもそも、私が間違っていると決まったわけでもない、判断できるものですらない。
正解がない。ただ、今の私に納得ができないだけだった。
横で眠る彼を見遣る。ずっと近くにいたはずで今もすぐそこにいるはずの彼がどこかにいってしまうような感覚を抱えて過ごしている。冷めた紅茶が勝手に温まることがないように、醒めた夢に自然と戻れることはない。
この紅茶を温める努力をしたら、彼を普通に愛せるだろうか。
規則正しい呼吸音に腹が立った。彼は気づいていないだろう、私がこんなにも彼の中身を吸い取るように、彼に迷惑をかけていることを。私といると、碌なことがない。
私はこのまま、彼を消費していくのだろうか。彼の感情を、彼の趣味を、彼の思考を、彼の能力も、彼の想いすら。
それならやめておこうと、今まではそう思っていた。でも彼に対しては違う。やめておけない、手を引けない。盲目ではない、自覚をもって見てすらやめない。
哀れ。
「夢でだけは、幸せでいてね」
この先が私にとって明るくて、彼にとっては暗くても、それを見せなければいい。それが見えないように、作り物でも照らせばいい。
こんなに苦しんで生きてきて、こんなに愛したい人への愛し方すらわからずに、それでもなお彼を手放せなんてそんなのあまりに残酷だ。そこまでできない、今はできない。
彼に愛されて、自分の愛し方を知ってしまったから。故に、今までの愛し方がおかしいと知ってしまったから。
最近はオフラインで小説を書いています。
ひまつぶしに恋愛小説をよんだりしていて、久しぶりに書きたくなりました。
今までは、サスペンスものとかホラーとかが好きだったんですけど、20になって価値観が変わったんでしょうか。
おやすみなさい。読んでくれてありがとう。