第十八話・好き?
まず初めに。
前の話のときに文字間違いがありました。
“約”でゎなく“役”
です(T_T)
気づいた方、すみません。
気づいてない方は気にしないでくださいorz
「寝過ごしたぁー!!」
やばあ…。
時間まであと30分だ。
確か9時に駅だった。
駅はけっこう近いから
15分で着く。
だけどご飯とか顔洗ったりとか……。
絶対間に合わない。
仕方なく健太に電話をした。
――プルルル…
健太はワンコールででた。
『もしもし?』
「健太ごめん!!遅れるかも…」
いきなり、用件に入った。
『あ。まじ?んーわかった!!早めにな?』
「うん…ごめんね?」
怒ってないかなぁ?
……うぅ。
心配になってきた。
『心配すんな?大丈夫だから。ゆっくりでいいよ』
「えっ…あ、うんっ…頑張って早く行くからね!!…じゃぁ…ばいばい」
『おうよ。じゃぁな』
―――ブツッ…
……切れちゃった。
健太は私の心の気持ちがわかるのかなぁ?
なんか…エスパーみたい。
ふぅ、とため息をつき、携帯電話をしめて洗面所へ向かおうとしたときだった。
「っ…あ…?」
グラッと、目の前の景色が歪んだ。
「ゎ…なんだろ…」
目眩…?
なんか…体もだるい。
風邪かなぁ?
急いで体温計に手を伸ばして、熱を計った。
―――ピピピピ
「げっ」
“37.5”
び…微妙。
まぁそこまでだるいわけじゃないし、大丈夫かな?
30分後に私は家をでた。
―――…
―――――――…
「健太っ…ごめん」
結局着いたのは10時近く。
「1時間遅刻ー♪」
そこにはいつもと雰囲気が全然違う健太がいた。
黒のTシャツにピンク色がワンポイントで入っていて、
ジーンズの半ズボン。
膝の少し上が切れていてカッコイい。
そして、白のサンダル。
プラス、黒縁メガネ…!!
「さぁーわ?」
「へっ!?」
思わず見とれていた。
「…あっ…なんでメガネ?」
見とれていたことを隠すようにして、話題をふった。
「あぁ、見るの初めてだっけ?普段俺コンタクトだからさー」
そうなんだ…
知らなかった。
「ん?どした?」
はっ!!
だめだっ…!!
今日なんだか、ずっとボーっとしてそう。
「かっ…こいいね…」
そう言うのが精一杯。
実は私、メガネ男子大好きだったりとかする(笑)
「…なっ…バカ!!………さぁー…電車!!はい、手」
「ぶっ…!!」
今までに見たことないような、真っ赤な顔に、思わず吹き出した。
「あのなー…笑うなっての…!!マジ…ばか。お前の方が可愛いから」
「ばーか♪タコー♪」
「たっ…タコ言うなっ!!」
健太、からかうの面白い。
可愛すぎ。
まぁ…
“可愛い”って言われてドキドキしたのは、秘密ね♪
――――ガタン…ゴトン…
「まずはー…映画。何見たいの?」
電車の中で健太が問いかけてきた。
そ、そこまで考えてなかった…!!
「んー、なんでもっ」
私の返事にガクッとする健太。
「お前なー…。…んじゃなに?俺が決めていいの?」
「ぅん。いーよ」
私は即答。
ぶっちゃけ映画はあまり興味がない。
「…あとで決めとくね?」
そう子供のように笑う健太に
………健太に。
ドキッてした。
「あ。着いた」
健太の声で電車から降りて
駅の近くの映画館へ向かった。
駅から5分ほどで着いた。
大きくて綺麗な映画館。
中に入るといきなり健太が
「桜羽ー。ちょっとベンチで待ってて」
とのこと。
言われるがままにベンチに座っていた。
…どこいったんだろ?
もーーー!!!!
けっこう経つよ?!
チケット買いに行ったのかな?
…にしては長すぎ。
一人にされると不安で不安でたまらなくなる。
「そーいえば…」
那音の時もこんなことあったな…。
――夏祭りの時。
まだ新鮮に残ってるや。
…もう夏祭りから…2ヶ月かな?
……なんか、最近の事に思えるよ。
―――って…
健太といるのに、何考えてるんだか…。
「桜羽?」
「あっ…ごめん、なお…」
――――あっ…!!!
「那音」って言いそうになった。
やばい。
健太が黙っちゃった…。
「行こっか?」
そう言って笑った健太。
――笑顔ひきつってるよ……?
ごめんね。
私は心の中で必死に謝った。
「―――…って!!」
「ん?どした?」
ど、どうしたって…。
「ホラーなんて聞いてないー!!」
今にも泣き出しそうな声がでる私。
やだっ!!
ぜっっったいムリ!!!!
私はホラー大嫌い。
理由はそのまま。
“怖いから”
「なんでもいいって言ったもーん♪」
「う゛…いじわるだぁー…」
やばい。
始まっちゃうよー…。
「頑張れー♪」
余裕の健太。
くっそぉーー!!!
「いいもんっ!!」
拗ねてみたりする。
「うーそ。拗ねんなよ」
そう笑いながら私に謝ってきた健太。
完璧、バカにしてる!!泣
「べつに、拗ねてな…」
ちょっとムカついて否定しようとした時だった。
「ごめんな?」
そう言いながら、私の手をさりげなく握った。
「…うぎゃっ?!」
暗くて視界が悪いから突然の出来事に色気のカケラもない声がでた。
うーわぁ!!!最悪!!///
恥ずかしい!!
「きゃぁ」とかならまだしもっ……!!!
「…あははっ!!っ…さ…桜羽…腹痛い…!!」
健太サン、大爆笑。
かぁぁっ…と顔が熱くなる。
「笑わないでよっ!!」
若干涙目で訴えた。
「いやー…可愛くてね?」
そう言っている健太の顔がかすかに見えた。
「か…可愛くないっ!!…って、あぁー…!始まっちゃうよぉ…」
忘れていた…。
「意地悪してごめんね?目つむってな?」
急に弱くなる声。
おそらく本気で反省してる(笑)
可愛いな…。健太は。
お兄ちゃんぽかったり
意地悪だったり
急にすごく弱くなったり
いろんな、健太。
……那音の事、考えたりしたけど…。
あきらかに健太にドキドキしてる。
もしかしたら………
『きゃぁぁぁー!!!!』
映画の中の女の人のものすごい高い悲鳴に、肩がビクッと上がる。
び…びっくりした……!!
若干涙目の私…。
あぁ、情けない。
だけどっ
怖いし…!!
でたいよ!!(泣)
助けてー…、お母さん…
し…心臓止まりそう…。
「桜羽」
「は……はぃ?」
小さな、小さな聞こえないような声で返事をした。
「さっきさ?」
「……?」
もう返事をすることすら困難な私。
それに対して真剣な顔の健太。
こ、こんなときに何?
「那音…ってさ…」
ポソッと呟かれた一言。
「………!」
そういえば、さっき…。
忘れてたかと思ってた。
間違えて健太のこと
“那音”って呼びそうになったこと。
「…無理して俺と付き合ってくんなくてもいいからな?」
―――……え、
「…な…んで……?」
「桜羽、さっき俺の事待ってる時那音のこと考えてたでしょ」
ドクン、
と心臓が脈を打った。
私は何も言い返せなかった。
「俺の事利用しても、忘れらんない?」
「…な…!!」
“利用”
という言葉に敏感に反応した私。
「ムリなら…」
「好きだよ!!」
――――…はっ!?
え!?
私…今なんて………?!
ていうかココ映画館!!!
大声出しちゃったし!!
……す…好き?
って言ったよね…私。
「…は……ぃ…?」
あきらかに放心状態の健太。
わた…私、何を……!!
顔から火がでているんじゃないか、というくらいに顔が熱くてたまらない。
“好き”だなんてあんまり考えなかったのに…!!
なんでいきなり…?
自分で自分にびっくりしている私に健太は目をパチクリさせている。
「桜羽…意味が分からない…ん…だが」
ふと健太の声で顔を上げると、健太は真っ赤な顔をしていた。
…きっと
“好き”っていう感情が私の中で生まれてるんだ。
だから
声にでちゃったんだ…。
…きっと…ね?
私は気持ちを落ち着かせるためにふぅっと息をはいた。
そしてゆっくり…口を開いた。
「…まだ…よくわからないの」
「…ん?」
「…聞いて?」
そう言って
私は映画上映中のため周りに迷惑がかからない程度の声で話を始めた。
「好き…かも、なんだ」
「…かも…?」
一瞬、健太の顔が曇った。
だけど、私は続けた。
「よく…わからないの。那音の事…まだ好きかもしれない。だけどね、健太が気になるの」
あぁ…。
なんか涙がでそうだよ。
よくわからないの。
誰が好き?
誰に側にいてほしい?
答えを出すのは私なのに…私自身なのに。
出せない。
出ないんだ…。
しばらくの沈黙のあと、健太が私の手を握った。
「…うん…そっか。桜羽はまだ答えが…でないんだ?」
コクン、と頷くことしかできない私。
「…わかってるよ。忘れられないよな…簡単に」
「…………」
ポロポロと落ちていく涙が服に落ちて、色が変わってく。
「…そんな簡単に忘れられたら…こんな悩まないよな…」
健太が泣きそうな声で呟く。
「…っごめ、だけどっ…好き…に…なれるよ…」
好きになれる。
「…なんで?」
冷静な声。
理由は…よくわからないけど。
健太に握られていた手を強く、強く握り返した。
「私、健太の良いところ…いっぱい知ってる。
それに、健太の優しさにいっぱい助けられたんだよ。
今日は那音の事より…健太の事、いっぱい考えてたの」
「…ばぁか。忘れさせてやるって言っただろ?」
涙でぐちゃぐちゃな顔の私に向かって笑顔を見せた健太。
「…ばぁか、…」
そう言って私も笑いかけた。
ホラー映画中だったことも忘れて私たちは映画が終わるまで話し込んだ。
健太、健太、健太。
もう少し、待っててね。
**********************
「ひやっほぉ〜!!!」
「きゃぁぁーーー!!!」
只今恐怖のジェットコースター中です。
いつもより、空に近い。
だけど私は目をつぶっていて、そんなこと気にもできなかった。
「ふぃ〜…おつかれ桜羽」
「…はぁ〜…つか…れた」
私たちは映画のあとご飯を食べてすぐに遊園地に着いた。
そして、もう3時になろうとしていた。
時間が過ぎるのが早い。
楽しいからかな?
――にしても…
なんだか無性に暑い。
クラクラしてきた。
「桜羽…どした?具合悪い?」
ヨタヨタしている私に気づいて健太が声をかけてきた。
「ん。大丈夫だよ?」
これくらいなら大丈夫だろう。
ただ疲れただけだろうし。
「そ?ちょっとジュース買ってくるから、そこいな?」
「はーぃ…」
私は近くにあったベンチに腰をかけた。
途端、頭痛が私を襲う。
「…痛っ…!!」
なんだろ…。
だるいし、頭痛い。
―――あ…!!
そういえば私今日朝熱あって、そのまま出てきたんだった。
熱、上がったのかな。
そりゃそりゃだよね…。
結構動き回ったし…。
「さーゎ」
少し遠くに健太が見えた。
健太のところに行こうと立とうとしたときだった。
「あっ…けん、」
―――グラ、
視界が一気に真っ黒になった。
「――桜羽っ?!」
そう、叫ぶ健太の声が最後に聞こえた。
「―――…ん」
「桜羽っ…!!…良かった〜…」
目の前には心配そうな健太の顔があった。
「…ここどこ?」
周りにはベッドなどがあって保健室っぽい感じ。
「あぁ…遊園地内の休憩所っていうか…まぁ学校でいう保健室だよ」
あ、やっぱりか。
ふと時計に目を運ぶともう5時を回っていた。
――私2時間寝てたの?!
2時間も…健太は側にいてくれたの?
「け…健太…ごめん…」
せっかくのデートが、台無しだ…。
私のせいで…。
「本当だよ」
―――…え
やっぱり、怒るよね…。
「なんで熱あること言わねえんだよ…ばか」
「……へ?」
そ、そこ?
そこに怒ってるの?
「はぁ〜もぅ!!…心配した…」
そう言って健太は私の頬を撫でた。
―――ドキンっ…
「ひゃっ…」
「?!」
健太の手が冷たくて思わず、声が漏れた。
「わ…ごめ、…ごめん」
「や…大丈夫…。俺こそ…すまん」
なんだかあわあわしている健太。
私変なことしたかな!?
「…け、健太…?」
心配になって声をかけた。
「…わ、ちょ…見ないで…」
そう言って健太は顔を背けた。
……ガーン……。
そこまでっ?!?!(泣)
「…ごめ…なさ、」
少し泣きべそかきながら謝った。
「…や…ちが、ちがくて」
健太は首をぶんぶんとふった。
「……?」
意味が分からない。
怒ってるんでしょ??
健太は、はぁ〜…と息をはいて私を見た。
「可愛すぎだよ?」
「…へっ?!」
意味が理解できない私。
か…可愛すぎって…?
どゆこと?
「ど、どゆこと?」
首を傾げる私。
「…だからぁ〜。俺も男なのっ!!わかる?」
「……んん?」
な、何?
男?まぁそりゃ男だよ?
何言ってんの。健太…。
「あ〜もうっ!!…純粋すぎっ…!!」
―――グイッ
腕を思い切り引っ張られた。
「ゎ…」
健太の顔が私の顔に近づいた。
と、思った瞬間…。
―――ちゅ…
「!?」
いきなりの出来事に何が起こったかわからなかった。
そのまま健太の唇は私の唇を離さなかった。
息…できないっ…!!
「っ…んぅ…!」
声が漏れる。
「…ふ…はっ!!」
やっと唇が離れた。
「け…けん…」
「…ごめ…我慢できな…」
そう言いかけると健太は私の唇をまたふさいだ。
「…っ」
だめだ…。
クラクラする。
やっとのこと唇が離れた。
「あー!!好きだっ」
そう言って強く抱きしめられた。
「…健太…」
まだ残っている、唇の感触。
―――那音以来のキス。
初めての、長い長いキス。
すごくドキドキした。
「うん…」
「きゅ…急にごめん。…まだ…その…那音…」
あきらかにキスした事を後悔している健太。
私…嫌だなんて思わなかった。
むしろ…もっと、なんて。
「私…嫌じゃなかったよ…?」
心臓がバクバク。
だって
こんなこと言ったことなんてないし…。
「…でも…」
「ね?」
否定しようとする健太に笑顔を向けた。
「…ん」
納得したようなしないような声で返事をする健太。
「なんで今更気にしてんの〜…」
クスクスと笑いがもれた。
なんかしゅんとしてる健太が可愛くて。
「…うっさぃ〜…」
そう言いながらまた更に強く抱きしめられた。
「…ッ!!」
―――ねぇ健太?
私今日1日楽しかったよ。
健太のいろんなところもっと知れた。
好きに…なれた。
ただ…もう少し待って?
まだね、心の端っこに那音がいるから…。
100%健太でいっぱいになるまで待っててね。
そうしたら
“好き”
すぐに伝えるよ。
なんだか
この頃
話がよくわかりませんね
ごめんなさい(ρ_;)