第十六話・side那音.一石二鳥
題名ゎ気にしないで下さい。(;∇;)/~~
体育祭が終わってクラスが落ち着いてきたころ
もう秋が近づいていた。
だいぶ暑さがなくなった。
桜羽に別れを告げられてから俺は
ずっと1人で考えた。
誰を想っていた?
誰を…傷つけたくなかった?
答えなんてでなかった。
わからなかったんだ。
どちらとも傷つけたくなかったんだ。
――…でも
夏祭りの時に俺はなんで桜羽の手を振り払ってまで律の所へ行った?
考え直してみれば
桜羽と一緒にいるとき、
たまに笑顔が律と被ってなんだか…ズキズキしたり
桜羽といるのに律のこと無意識のうちに考えていたりした事があった。
最初は
元カノだから
そう考えていた。
………だけど
ごめんな…桜羽。
俺、律じゃなきゃダメみたいなんだ。
桜羽のことは本当に好きだった。
だけど
俺の大事な人は
……桜羽じゃなかった。
桜羽……。
きっと桜羽は優しいから
俺に…
自分の気持ちに気づいてほしくて
別れを告げたんだろう。
優しすぎたんだ。
だから
桜羽ばっかりが…
心を痛めていたのだろう。
それでも
“側にいたい”
そう思えた人は律だったんだ。
なんだか
―――那音…
そう言って笑う
桜羽の顔が頭に浮かんだ。
笑ってろ。
ずっと、ずっと。
俺は桜羽の笑顔が
……大好きだから…
**********************
「なおー」
「ん?」
女友達が声をかけてきた。
……ダル。
そんな事思いながらも俺は人にあまり冷たくできるタイプではないため
適当に話を聞いた。
「今日カラオケ行かない?」
「えー…どうしよ」
俺には律がいるの!!
なんて言えないし…
だけど断るのもかわいそうかなー…?
「だぁめ♪那音は今日俺とカラオケ!!」
いきなり割り込んできた声。
「えー…じゃぁまた今度ねッ♪」
そう言って女友達は廊下へかけていった。
「さんきゅー…助かった…絢斗」
「まったくー!!断ることもできねぇの?」
絢斗はけっこうこういう時、助けてくれたりする。
……本当に助かります。
「じゃ♪そゆことだから!!学校終わったら、カラオケ集合な」
「まじかよ…」
ガクン、となりつつも
まぁ“絢斗ならいいか”と
俺は帰る支度をし始めた。
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「あっ!!おせぇぞコラ」
「すまん…」
絢斗の声に迫力なんてないけど。一応謝る俺。
てか
ふたりじゃなかったんだ。
絢斗と一緒に違うクラスのまぁまぁ仲いい男子が多少いた。
……プラス
健太。
「まぁいい。ジュース奢れよー」
「はぃっ!?…つか…えっ?!そもそも俺なんで怒られてんの!?」
そうだった。
重大なこと忘れてた。
“おせぇぞ”
つったって…まだ時間の5分前。
「20分前行動厳守」
そう真顔で俺に訴えてきた絢斗に俺は呆れて言葉がでなかった。
こいつの自己チューさには、かなわない。(笑)
ガヤガヤしながら部屋へと進んでいる時だった。
ウロウロしている女の子が1人。
―――…桜羽だ。
ウロウロしているってことは、きっとトイレの場所ででも悩んでいるのだろう。
「さ…」
「あれ?桜羽ー…だよね?」
俺の声と健太の声が重なった。
きっと俺の声は誰にも聞こえていなかっただろう。
健太の声にくるっと振り向く桜羽。
「あー!!やっぱり」
そういいながら近づいて行く健太。
そういえば健太は桜羽が好きなんだっけ……。
「何やってんの?」
健太が問いかける。
「あっ…と…トイレわかんなくてっ」
少し顔を赤らめて恥ずかしそうに言った。
不覚にもその顔にドキッとしてしまった。
「あぁ、それなら…」
健太が道を教えようとしたときだった。
「綾野さん〜…だょね?健太知り合い?」
ツレの男子が桜羽に話しかけた。
……なんだ?
「…へ…ぁ…はいっ」
桜羽はかしこまる。
たぶんまだ知らない人なのだろう。
「ちょ、お前…」
健太の話を遮るようにして、男子が続ける。
「可愛くね?紹介してよっ♪」
そう言いながら桜羽の頭を触ろうとした。
ちょ…なにこいつ!!
初対面の女子にこんな事言うか?
俺が止めようとして、手をのばした瞬間だった。
「触んなよ」
ビクッと俺の体が跳ねた。
お、俺?!
そう思って健太に目を向けた。
その瞬間俺は固まる。
そこには今までしたこともない目で
その男子を睨んでいた、健太がいた。
「け…健太?なにキレて……」
あからさまに動揺している、その男子。
「触らないで?俺の」
“俺の”
その言葉を俺は理解できなかった。
俺の……って…。
あぁ…そうか。
こいつら、付き合ってんのか…。
全然言ってくんないからわかんなかった。
なんだろ。
少し寂しい、この感じ。
「ぁの…け、健太…?」
あきらかにあたふたしている桜羽。
そんな桜羽とは裏腹に健太は冷静に桜羽に言う。
「…こっち…来て」
そのまま
桜羽は健太とどこかへ行った。
「…び、びびった!!健太のあんな顔初めて見た」
絢斗もあたふた状態。
「てかぁ。あの2人付き合ってたんだな」
ツレの男子が口にした言葉。
「…………」
これでいい。
桜羽は俺の事忘れられたんだ。
ちゃんとした道選んだんだ。
それでいいじゃないか。
俺はもう桜羽の事気にしなくていい。
俺はもう桜羽の事で悩まなくていい。
桜羽は健太と幸せになる。
一石二鳥じゃん。
――――律が好き。
その気持ちに嘘なんてない。
だけどなんだか
心に
穴があいたみたいだ。
この気持ちをなんという?
誰か、教えて。
那音、よくわからないですね,,,
中学生って甘酸っぱいです(^w^)