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仮想世界で生きていく  作者: 月之住人
9/21

弓道場に!

「良く頑張ったな!もう大丈夫だ!後は任せてくれ!」


 紅太郎さんが助けに来てくれました!

 紅太郎さんはさすがです!

 盗賊を蹴散らして、あっという間に私のところまで駆けつけてくれました。

 ドアの方を見てみると、炎の壁が出来ていて、盗賊が入ってこれないようになっていました。

 紅太郎さんは、幾つか私に質問をした後に、私に背を向けしゃがみました。


「あの...どうしましたか?」

「おんぶするから乗ってくれ!」

「えっ...え?」

「おんぶでは駄目だったか?お姫様だっこが良いのか?それとも肩に乗るか?」

「お、おんぶでお願い...します...」

「分かった!背中に乗ってくれ!」

「でもなんで急におんぶですか?」

「いったんここから脱出する!無々は頑張ったから、疲れただろう?だから無々を背負って、すぐに抜け出す!これ以上大変な思いをさせたくないからな!」

「それはすごく有り難いですけど...」


 恥ずかしさを我慢しながら、炎さんにおんぶしてもらいます。

 私は今、腰が抜けてしまって、歩くこともままなりません。

 ですから、仕方が無くです。

 おんぶしてほしいからではありません!

 私がお願いしたわけでもありませんし...

 でも、一つ不満な点があります。

 子供扱いし過ぎです。

 確かに、頼りないですし、泣いちゃいましたけど...

 さっきまで、座りこんじゃいましたけど...

 連れ去られそうになりましたけど...

 あれ?

 子供扱いする要素しかありません...

 これは頑張らなければいけません。

 とりあえず今はそんなことよりも、この恥ずかしさに堪えないといけません。

 私が考えていることなどお構いなしに、紅太郎さんは私を背負ったまま、次の行動に移ります。

 紅太郎さんは、建物の壁に向けて、勢いよく炎を発射して壁を破壊しました。

 破壊して出来た穴から、私と炎さんは弓道場から抜け出す事が出来ました。

 弓道場から離れると紅太郎さんは、大声で、


「紫抒、いいぞ!」


 と合図をしました。

 離れた所から弓道場を見ていると、どこからか、無数のオレンジ色の矢が弓道場に向かって行きました。

 一部の矢は、弓道場を超えたあたりで、急に向きが反転して弓道場の方に向かったりと、おかしな軌道を取る矢もあったけど、そのおかげで、全方向から弓道場を攻撃しました。

 矢は、弓道場の壁に当たると大爆発が起きて、壁や柱をすべて破壊していきました。

 壁や柱を失った弓道場は、屋根が落ちて、中で倒れていた人を生き埋めにしました。

 お頭やまだ無事だった盗賊たちは、建物が破壊される前に抜け出しいていたようで、まだ10人ほど残っていました。

 でも、まだ攻撃は終わらないようです。

 盗賊たちの方に向けて、黄河君と碧希ちゃんがすごいスピードで近づいていきます。

 左近さんも一緒に近づいていましたが、さすがに大盾を持ったままだと、二人には追いつけないみたいです。

 足が遅いわけではないのです。

 きっとそうです。

 ある程度盗賊たちに近づいて行った黄河君は、ものすごい轟音と共にさらに加速しました。

 一瞬で盗賊たちのところに移動すると、地面に短剣を突きたてました。

 すると、その短剣に向けて雷が落ちたのです。

 黄河君はすぐにその場所を離脱すると、その場所に、激流が押し寄せました。

 雷のせいで感電した盗賊たちには、この激流を耐えられるはずがありません。

 さらにその激流に向けて、もう一回雷が落ちました。

 容赦がありません。

 でも、この攻撃を受けてもまだ立ち上がる盗賊がいました。

 それはお頭です。

 他の盗賊はみんな倒れちゃったのに、頑張る人です。

 その様子を、紅太郎さんに降ろしてもらって、地面に座ってゆっくり眺めていたのですが、隣に座っていた紅太郎さんが急に立ちました。

 

「紅太郎さん、行っちゃうんですか?」

「ああ!きっと皆なら余裕であいつを倒す事が出来るだろう!だが、念には念を入れるべきだ!私も手伝いに行くべきなのだ!」

「私も...」

「無々はここに残っていてくれ!何かあったら危険だ!何かあった時に、私が助けられる保証はないのだ!」

「でも、此処に誰か来るかもしれないでしょ?私、そうなったら弓しかないから、またさっきみたいに...」

「分かった!紫抒たちのところに移動しよう!不安にさせてしまってすまない!では、また乗ってくれ!」

「またですか!?えーと...お願いします...」


 私をおんぶした紅太郎さんは、足もとで大爆発を起こすと、空中で浮きあがった。

 そのまま、弓道場があった場所を越えて、遠くに立っていた紫抒ちゃんと千草ちゃんのところに落下し始めた。

 落下しているため、どんどん落ちるスピードは増していく。

 地面にぶつかると思い目を瞑っていると、突然フワッと、身体が浮き上がる感覚があった。

 驚いて目を開けると、紅太郎さんはゆっくりと地面にゆっくりと足を付けた。

 

「紅太郎さん!無々ちゃんを背負って飛んでくるのはやめてください!紅太郎さんだけなら、無傷ですむでしょうが、無々ちゃんは違うんですよ?」

「すまない、千草!千草がいるから大丈夫だと思ったのだ!」

「もう、気を付けてくださいね?」

「勿論だ!」

「あっちの方も終わったみたいだよ。」

「本当か、紫抒!それは良かった!」


 元弓道場の方を見てみると、最後まで立っていたお頭は、左近さんの大盾に押さえつけられていた。

 今回の騒動は、無事に終わりを迎えたようだ。

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