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仮想世界で生きていく  作者: 月之住人
8/21

盗賊が!

 弓道場に、20人もの人が流れ込んできました。


「俺らはハゲワシ盗賊団!金目の物を出しやがれ!」

「おや?お頭、そこに小っこい娘がいますぜ!」

「おお、この小娘は金になりそうだ。野郎ども!小娘を捕まえろ!ジョン、カール!他に金目のものが無いか見てこい!」

「分かったぜ、お頭!」

「ちょっくら見てきやす!」


 これはちょっとヤバそうです。

 2人だけ外に行ってくれましたが、それでもまだ、18人もいます。

 これは勝てそうにないです。

 でも、やらないと逆にやられてしまうので、ちょっとだけ頑張ってみます。

 リーダーがはげている盗賊団に、負けたくないという理由も有ります。

 怖くなんて無いです!

 本当です!

 盗賊団の人たちは、じりじりと近づいてきます。

 とりあえず、近づいてきている盗賊の、前の方に居る人たちの足を狙っていきます。

 ですが、足に矢を受けても関係なく、どんどん近付いてきます。

 結局、5人の足に命中しましたが、2人しか倒れませんでした。

 もう少し粘ってみましたが、もう一人を倒せただけで、状況は全く変わりませんでした。

 盗賊たちはさらに近づいてきます。

 仕方が無いので、休憩室の中に逃げ込みます。

 ほんの少しだけドアを開けて、その隙間から、少しずつ弓を射ます。

 

「嬢ちゃんよ、そんなとこに隠れないで出てきてくれよ~。おじちゃん、傷ついちゃうぞ。」

「人を殺す事も出来ないなんて、かよわいな。ははは!」

「いや!こっちに来ないで!」

「来るなって言われて従うほど、俺たちは優しくないぜ。」


 本当にやばいです。

 この状況を打開できそうにありません。

 近距離武器があれば、何とか出来るのですが...

 弓でちまちま射っても、先頭に出て来たお頭に全て弾かれてしまいます。

 どこに射ってでもです。

 助けが来てくれる気もしません。

 いや、きっと来てくれるはずです。

 今までたくさん助けてくれたのです。

 皆が来てくれるまで、ひたすら耐えます!

 まだ怖くないです!

 まだ大丈夫です!

 ドアの隙間から弓を射っても、全然効果がありません。

 だから、ドアを閉めて鍵を閉めます。

 さらに、入り口のところに机も置いて、少しでも時間を稼げるようにします。

 ドアがドンドンと叩かれる。

 

「開けろ!」


 という怒声が聞こえてくる。

 私は、先ほどまで抑え込んでいた恐怖を、だんだん抑えきれなくなってきました。

 私は、部屋の隅で縮こまると、動けなくなってしまいました。

 ですが、ドアが叩かれることも、開けろ!という怒声もやむことはありません。

 そのせいで、さらに恐怖が掻き立てられます。

 涙が出てきそうです。

 泣いちゃだめだと、頑張ってこらえます。

 しかし、縮こまっているだけでは、状況はどんどん悪くなっていってしまいます。

 少しの間、私を守ってくれていたドアは、壊されてしまい、おいておいた机は、なにも効果はありませんでした。

 さっきまで怒声を上げ続けていた盗賊は、休憩室に入ってくると、歪んだ笑みを浮かべて近づいてきました。


「へっへっへ。やっと入れたぜ。そんなに怖がんなよ。」

「いや!誰か助けて!」

「助けを求めたって無駄だぜ。ジョンとカールが誰も居ない事を確認したからな!助けなんて来るはずが無いんだよ!」

「いやー!」


 私は腕を掴まれ、布団に投げ込まれ、小柄の私からしたら大きい掛け布団に、くるまれそうになります。

 抵抗してみますが、すぐに抑え込まれてしまいます。


「助けて!」

「だから助けは来ない...」


 盗賊が何かを言いかけた瞬間、弓道場の入り口のところで、爆発が起きた。


「助けは来ない?そんなはずはないだろう!我々は無々を補助すると約束した!約束を果たすために我々は、どこにいたって、何度だって助けるのだ!下賤な盗賊共め、無々を連れ去ろうとしたこと、後悔するがいい!すまない、無々!遅くなってしまった!」

「なんだお前?」

「こいつを殺せ!協力してかかるんだ!」

「了解で、お頭!」

「仲間の仇!」

「紅太郎!」

「盗賊如きが何人来ようと、全員片付ける!」


 大きな穴から入ってきた炎さんは、かっこいいセリフを言ってくれたあと、盗賊と戦い始めました。

 急に溢れた涙のせいで、視界がにじんでいますが、紅太郎さんの雄姿がばっちり見えます。

 紅太郎さんは、一直線にこちらに、盗賊を赤子の手をひねるかのように、簡単に倒しながら向かってきてくれます。

 大剣に炎をまとわせ、切りかかってくる盗賊には、短剣で受け止めたとしても、そのまま壁まで吹き飛ばし、今にも走り出そうとしている人には、炎を勢いよく発射し、走り出す前に吹き飛ばしていきます。

 そのままあっという間に、私の元まで来てくれました。

 そして、部屋の中に居た盗賊は、紅太郎さんが部屋の外に投げ出しました。


「何かひどいことはされていないか?怪我はしていないか?どこも痛くないか?」

「うん、大丈夫です...でも、でも、えぐっ、こ、怖かったです...ぐすん」

「そうか、よく頑張ったな!もう大丈夫だ!後は任せてくれ!」

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