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イン・ディヴァインマスター 銀河の救世主  作者: 夢野楽人
第二次マゲイア大戦

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プロローグ アヴァロン侵攻

 暗闇の中に、星が煌めく大宇宙。

 果てない空間に、どれほどの星があるのだろう? 一体幾つの生命いのちがあるのだろう?

 兆を超え、無量大数を超えても、数えきれはすまい。

 ただこの世の全ての物は、生まれては消えゆく運命さだめにある。

 それが自然の摂理なら受け入れようもある。が、他者による淘汰とうたはどうであろうか?

 一方的に蹂躙じゅうりんされ、皆殺しにされるのは運命か?


 いな、断じて違う!

 生まれたからには、生きる権利があるのだ。それは他者から奪われる物ではない!

 ならば、侵略者は倒さねばならない。恋人を、家族を、友人を守るために人は戦う!


 アヴァロン星系外縁部に現れた、マゲイア艦隊は姿を消した。

 二日後、アヴァロン星圏に開球体が現れる。巨大な白球から、続々と戦艦が出てきた。

 次元転移したマゲイア艦隊は、アヴァロン衛星に迫る。


 ヴィヴィアンとエレイン――アヴァロン星を回る、二つの衛星。


 主成分は岩石と鉱物でできており、大気はない。

 百度を超える温度差と宇宙放射線にさらされる環境では、生物の存在は確認されなかった。

 アヴァロン星からヴィヴィアンまでの距離は三十五万キロ、大きさは直径三二二六キロ。

 大規模な軍事施設があり、衛星ごと要塞と化している。

 アヴァロン防衛の最前線基地だ。不用意に近づこうものなら、ミサイルとレーザーが雨あられと浴びせられる。

 前大戦後から建設が進められ、攻撃力は高く防御も固い。

 攻め落とすとなれば、多大な犠牲を払うはめになるだろう。

 

 進軍してきたマゲイア艦隊も敬遠し、ヴィヴィアンまでは近づかなかった。

 二番目のエレイン衛星を占拠し、拠点作りを始めた。

 アヴァロン星までの距離は七十二万キロ。直径四四二一キロ。

 やや遠くにあり、防御には適さない地形だったので戦力は置かれなかった。

 まあ、兵員不足ゆえに置く余裕がなかったとも言える。

 マゲイア艦隊は抵抗もなく占領し、エレイン宙域に駐留する。


 宇宙戦艦十二隻、巡洋艦二十隻、駆逐艦三十五隻、機動空母五十三隻。

 そして後方には、巨大な兵器が控えていた。

 マゲイア軍は降下作戦の準備に取りかかる。

 一両日中にはおわり、アヴァロンへの侵攻が始まるだろう。

 マゲイアの旗艦アナトリアから、高笑いが聞こえてくる。


「ふはははは! アヴァロンのカス共め、我らマゲイアの力を思い知るがいい!」

 艦橋から全軍をながめ、浮かれている男がいた。

 身長は百六十センチで、黒の軍服を着ている。軍人の割には華奢だった。

 それもそのはず、彼は最前線で戦う奴隷兵ではないからだ。体を鍛えたこともない。

 官僚の監察官であり、遠征軍の内部を見張る憲兵だった。

 反乱に目を光らせており、事あらば本星に連絡して督戦艦隊を呼ぶ役目。

 味方殺しの番犬だ。彼の名はハサン、灰色の髪に糸目の狐顔をしていた。

 今は、司令官代理として威張り散らしている。


「準備を急がせろ!」

「はっ!」

 本来であればハサンに戦端を開く権利はない。

 司令官の到着が遅れてる間に、功名心にかられ軍を動かしたのだ。

 隕石ロケット作戦が失敗した段階で待機命令が出され、情報収集にあたるよう厳命されていたが、ハサンはそれを破る。

 アヴァロン星に降りた偵察隊は、可能な限り正確な情報を送り続けていた。

 それで分かったことは、アヴァロン星の戦力が脅威であり、マゲイア軍の戦力では太刀打ちできないむねを、ミウ准尉は報告している。

 あらゆる比較データを根拠に添えて、詳細に送っている。

 誰が見ても「勝てない」と分かる内容だった。


 その上で、

「無謀な戦闘は避けて司令官の到着を待ち、戦略を練り直すべきでしょう」

 と上申している。

 命の危険を冒してまでも手に入れた、ミウの情報は握りつぶされた。

 ハサンは報告書をゴミ箱に放る。

「ふん! 実にくだらん内容だ。所詮は奴隷兵、敵に恐れをなして正確な分析もできんとはな。この圧倒的な大兵力をもってすれば、アヴァロンなぞ一ひねりだというのに――!」

 おびただしい数の、無人機が機動空母に搭載されていた。

 更に予備兵力として、宇宙戦艦からも強襲降下艦が発進している。

 この戦力で一気に王国首都をついて、攻略する作戦だった。

 ハサンが強気でいられるのも、数あってのことだ。

「戦など、一日で終わらせてくれるわ!」

 マゲイア軍、兵力総数は無人機――約二百万機、奴隷兵――約十万人。


 前大戦では合計百万で、半数が奴隷兵マムルークだった。

 今回は奴隷兵の数がかなり減り、後方任務に回される。仕事は遠隔操作による兵器運用だ。

 無人機が増えたので、最前線に出て戦う機会が減ったと言える。

 かと言って、奴隷兵の扱いがましになった訳ではなく、マゲイア軍も兵員不足なのだ。

 戦争とは人員と物資を注ぎ込むだけの、愚かしい行為でしかない。

 ただ奴隷兵達が、むやみに自爆しなくなっただけマシである。

 どちらにしても、前大戦より二倍以上に膨れあがった軍勢は、数の上では脅威だ。

 一気に攻め込まれたら、アヴァロン星は一溜まりもない。

 準備を終えて、マゲイア軍がついに動き出す!

 

 第二次マゲイア大戦が始まった。

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