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イン・ディヴァインマスター 銀河の救世主  作者: 夢野楽人
女帝戦 Ⅱ

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女帝戦終了、そして……

 輝夜は鉤爪を投げ捨てていた。ルカも武器は持っていない。

 二人の狙いは同じで、正面からぶつかろうとはしなかった。

 疾走して互いの左横を進み、すれ違い様に片手で攻撃を繰り出す。

 二人の手刀が唸る! 裏拳撃ちバックブローだ。

「「ふんっ!」」 

 パン、と二つ同時に背中の風船が割れた。

 ルカと輝夜の動きは完全に同調シンクロしており、初めて成したとは思えない。

 息のあった二人コンビならではの、武闘ダンスだった。

 風船を見ないで割ったのだから、極芸とも言える。

 ルカと輝夜の勝負は引き分け。

 ビデオで確認しても、一ミリ秒の差もなく風船は割れていた。


 互いに振り向き、顔を合わせる。

 ルカは結果に納得せず、強がりを言う。

「あたしの方が、少し早かったわよ!」

「はいはい、そう言うことにしてあげましょう。おほほほほほ!」

「その余裕は、むかつくわねー!」

 これでは、ルカの方が駄々をこねてる子供のようだった。

 口では過激な事を言っても、本気で二人は喧嘩したことはない。

 突っかかってくるルカを、輝夜が上手くあしらうからだ。

 それと、心のどこかで感じ恐れていた。

「本気でやり合ったら、どちらかが死ぬ」と。


 ブザーが鳴る。試合終了の合図だ。

 天井まで上っていた壁が、ゆっくり下がり始めた。

「どっちが勝ったと思う? 輝夜」

「私は有香一押しです」

「じゃーあたしは、エリスね」

 壁が地面まで下がり、二人の姿が見える。

 勝負の決着はついていた。


 ルカと輝夜が見たのは、喉元に槍を突きつけられた有香の姿だった。

 有香の持っていた一剣は、手から弾かれて地面に刺さっていた。

 どう見ても、負けたのは有香に見える。

 だが、エリスは意外な事を口にした。

「有香の勝ちだ」

「勝負ならエリスの勝ちよ」

 お互いを勝者と言い合った途端、エリスの風船が割れた。


 有香が最後に投げたのはブーメラン。

 正面から当てるつもりはなく、始めから背後の風船を狙っていたのだ。

 武技マテリアルアーツ――三刀襲は正面・頭上・背後の三方向から攻める技だ。

 光太郎のアドバイスから、有香が編み出した努力の結晶とも言える。

(この勝利も光太郎さんのお陰、一生かけても尽くしきれませんわね……うっふふふふふ)

 まあ、愛情は歪みまくってはいるが。


 エリスにして見れば、勝負に勝って試合に負けた、という所だろう。

 負けてもサバサバしており、悔しさはない。途中で試合を抜けたので罪悪感もあった。

 気持ちを切り替え、次は必勝を誓う。

「次は私が勝つ」

「ええ」

 二人の闘いはまだまだ続く。

 光太郎は、拍手しながら四人に近づいた。

「みんな、素晴らしい戦いだったよ!」

「うん」

「ありがとうございます」

「ま、まあね」

「光太郎さんのお陰です」

 四人は照れて頬を赤くする。他の誰よりも、光太郎に褒められて嬉しいのだ。

 

 一人外れたヒナはふくれ、鉞を振り回して催促する。

 自分も褒めてもらいたくて、仕方がない。

「早く、次の試合をするのー!」

「はいはい、ヒナちゃん。休憩はなしだけど、準備はしないとね」

「私が抜けるわ」

 エリスが言った。

「そうしますと、私と有香、ルカとヒナの勝負でいいですわね?」

「いいわ」

「あれ!?」

 次の組み合わせが決まったところで、けたたましい警報音サイレンが聞こえてくる。

 それはブザー音より高く、人々の不安をあおる。

 万人が聞きたくない音は、女王達には合図であり、戦闘態勢に切り替わるスイッチだ。


「これは……」

「いよいよ……」

「ようやく……」

「やっと……」

「来たわね」

 女王達は何が起きたかを察し、顔つきが変わった。

 特にルカは、怒りを露わにした。拳を固く握り、体を震わせている。

「早く来なさい! 八つ裂きにしてあげるわ!」

「落ち着きなさい、ルカ!」

 興奮しているルカを、輝夜がたしなめる。

(ルカの両親がなー……恨むのも無理はない。けど、暴走したら止めないとあやうい)

 光太郎はルカに同情し、一番心配した。


 ドーム内に一人の星騎士が駆けつけて来た。

 女王達に敬礼し報告する。もう皆、予測はついていた。

  

「御注進! 外縁軌道がいえんきどう上にマゲイア艦隊接近! 敵の襲来です!」


 第三話 終わり

ここまでお読みくださり、有り難うございます。m(_ _)m

評価など頂ければ幸いです。2017年12月改稿

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