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イン・ディヴァインマスター 銀河の救世主  作者: 夢野楽人
女帝戦 Ⅰ

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製作開始

 二日目。光太郎は藤原家の門をくぐっていた。

 有香はいないので、会いに来たわけではない。

 藤原理事長の、あるコレクションを見せてもらいに来たのだ。

 樹里に案内されて応接間に通される。

「こんにちは理事長、今日はお世話になります」

英雄ひでおと呼んでくれ光太郎君。肩書きで呼ばれると疲れる」

「はい、分かりました」

「それでは、私のコレクタールームに行くとしよう」

 後ろについて行き、案内された場所は大広間。

 そこには所狭しと、アニメと特撮グッズが大量に置かれていた。

 透明ケースにはフィギュアやプラモデルが展示され、ジオラマもある。

 棚には関連本と、DVDなどの光ディスク類が並べられていた。

 古いセル画もあり、そのまま博物館を開けそうだった。


「文吾さんに聞いてましたが、これは凄いコレクションですねー!」

「気に入ってもらえて何より、文吾の奴は興味がないからここは素通りだ」

「メイドには興味があるんですけどねー」

「だな、あっちに座ろうか」

「はい」

 二人はプロジェクターの前に座る。

 英雄がリモコンを操作すると、懐かしのロボットアニメが映し出された。

「これアニマル・ロイドですね。動物型のロボットに乗って戦う話だ」

「メタル・ディヴァインはこっちに近いと思ってな、少しは参考になるだろう」

「はい、それで英雄さんの意見をお聞きしたいのですが?」

「私としてはやはり、これだな!」

 英雄はDVDを入れ替えて再生する。


「……マグネットファイブですか。磁石合体のロボットアニメ」

「そう合体こそロマン! そして人間ドラマ! これこそがロボットアニメの神髄!」

 英雄は力説したが、光太郎は心の中ですぐに却下していた。

(……巨大ロボットは良いまとで、重くて素早くは動けない。燃費も悪くなるし欠点がありすぎて、戦闘には使えないな)


「まあ、これは現実的ではないな、ただ無理・無意味な物でもヒントになったりするものだ。それで光太郎君に勧めるのは、こっちだ」

 英雄も伊達に、財閥のトップにいるわけではない。

 光太郎に、あるアニメを見せてアドバイスをする。

「おお! これは――!」

「どうかな? メタル・ディヴァインに使えると思う」

「これならいけます! 自分の中でイメージがまとまりました。ありがとうございます!」

「うむ、お役に立てたようだな。ところでパイロットスーツがあるんだが、着て……」

「お邪魔しました! 失礼しまーす!」

 コスプレ趣味に付き合わされそうになり、光太郎は脱兎のごとく逃げだした。


 その日のうちに、光太郎は小玉の部屋に行き、書き殴ったノートを見せる。

 わき出たアイデアを、まとめたものだ。

「おい光太郎! また私に無茶振りするんじゃない!」

 汚いノートだけではわかりにくいので、光太郎は詳しく説明する。

 聞いた小玉は、呆れて怒る。

 製作からは少し外れた話を、持ち込まれたからだ。

「僕も頑張って手伝うから、お願いしますよー、小玉博士ー」

「まだ博士じゃない! 時間もないのに手間のかかることを……」

 小玉はブツブツ言いながら、キーボードを叩く。


「ちっ! アーサーにお前の提案を診断させたら、『非常に有効』との結果だ」

「じゃー……」

「私一人じゃ無理だから、プロジェクトチームを作ってやるしかない。分担作業しなくちゃ、とても間に合わん。メンバーの人選は私がするが、言い出した光太郎も覚悟しろよ、休みなんかないと思え!」

「了解しました。玉ちゃん」

「玉ちゃん言うな――――!」

 光太郎はふっとばされた。

 

 本格的にメタル・ディヴァインの製作が始まった。

 工房エリア内に、光太郎は連日泊まり込む。

 光太郎の描いた落書きが、<アーサー>によって変換され、大まかな設計図になる。

 それを元に修正を重ね、新たなメタル・ディヴァインの設計図ができあがった。


 まずは中心部分となる竜骨キール骨格フレームを作る。

「ほんとに骨なんだな」

「人と違ってカルシウムじゃないがな、複合素材で剛性と柔軟性を両立させている。これで、かなりの衝撃にも耐えられるぞ、前のエクリプスより数倍上だ」

「前のは古いままだったからね。それにしても引力法3Dプリンターは凄いな、分子レベルで造形されていく光景は感動ものだ」

 目の前には立方体の無重力槽があり、特定の場所に引力を発生させて分子材料を送り込む。

 様々な分子材料を徐々に結合させ、造形していく装置だった。

「プリンターで作るのは基幹部だけだ。あとは複合部品モジュールの組み合わせになる」

「ここからが大変なんだよねー」

「結局テスト&トライの繰り返しだ。部品が一つ変わるだけで性能が上下する。妥協しながら調整するしかない」

「うん」


 仲良く作業している二人を、遠くから見つめているエリスがいた。

 物陰から監視し黒いオーラを出している。イライラ顔でとても恐く、近寄り難い。

 エリスを遠くから見た者は通路を変え、近くを通ってしまった者は、足早に逃げ去る。

「ううぅ……引っ付きすぎよ!」

 光太郎が製作にかかりっきりになったので、ここしばらくまともに話をしていない。

 理由は分かっていても、顔も合わせられなくなったら、我慢するのは無理な恋乙女。

 第一、他の女と一緒にいること自体が許せなかった。

 とは言え、妨害するわけにもいかず、エリスは悶々としていた。

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