表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

異世界トリップしました・・・友人が

作者: スタ

 

『うっ・・・ぐすん・・ううっ・・・・加奈子、ここどこぉ~!!????』



 友人の美紀から突然そんな電話がかかってきた。







「知らないわよ。私がちょっと離れてる間に消えたと思ったらそんな電話かけてくるとかとんだ迷子もいたものね。」


 私は呆れたため息を吐きながら先程まで自分達が居た席を見遣っていた。

 取り敢えずトイレの前で突っ立っているのも何なので自分達のテーブルまで向かうことにした。

 そこには先程彼女と私が頼んだものが乗っているトレーと彼女のカバンだけがポツリと置かれているだけで、彼女の姿は見当たらなかった。

 電話越しにはいまだに美紀のすすり泣く声が聞こえる。

 私はもう一度深い溜息を吐いた。










 学校も冬休みに突入し、その日は予てより美紀と遊ぶ約束をしていた為、何時もの場所で待ち合わせしショッピングを楽しんだ。

 そして、夕方に差し掛かったころ、小腹が空いた為近くの某ドーナツ店で小腹を満たそうと思い入ったのだった。



「それで、今どこに居るの?」

『・・・・草原。』

「はぁ???」


 何処か頭でも打ったのだろうか?

 北海道でもあるまいし、東京に草原などある訳無いと言うのに。


『あ!!何言ってやがんだこいつ。とか思ったでしょ!?』

「マサカソンナコトハナイデスヨ(棒)?」

『棒読みなうえに片言!?白々し過ぎるよ!?本当に見渡す限り草原なんだって!!』

「ほうほう。」


 モグモグ

 おっ!この新作美味しい!!


『人っ子一人見当たらないんだって!!』

「へえ。」


 モグモグ

 あ~ストロベリーもいいよねぇ。


『ここが何処かも分からないし・・・・。』

「うんうん。」


 ズズズゥゥ・・・・・うん、やっぱりコーヒーはブラックに限るわね。


『・・・・・どうやって帰ればいいか分かんないし。』

「ふむふむ。」


 モグモグ

 このチョコもおいしいわね。


『・・・・・・・・・・聞いてる??』

「うんうん。聞いてる。聞いてる。」


 モグモグ

 うわっ、これ生地までチョコ尽くしじゃん!!


『聞いてないでしょ!?』

「聞いてるってば・・・・・チョコ尽くしってのは飽きるけど、偶には良いわね。ズズゥゥ・・・・ゴッフウゥゥ!!甘!!ちょっ!カフェオレに砂糖いくつ入れてるのよ!?はぁあああ!??五つも入ってるとかありえない!!」


 トレイの上にはシュガースティックの殻が五つ。

 私はそれを忌々しげに見つめながら電話相手に怒鳴っていた。


『え!?ちょっ!!何で私の食べてるの!?』

「ちょっとは糖分控えなさいよね。」


 思わずため息が出る。

 美紀は糖尿病になるんじゃないだろうか。

 少し心配になる。まあ、少しだが。


『ちょっ!!ずるい!私の食べないでよ!!』

「ふう、そうは言うけど美紀の言っていることを信じるなら見渡す限りの草原なんて東京にあるわけないし、と言うか平地の少ない日本にあるわけないし。直ぐに戻って来れそうにもなさそうだし?それなら主人のいないこの可哀そうな食べ物たちを心優しい私が食べてあげてるのよ。」


 パクッ、モグモグモグ。

 あぁ、口の中が甘すぎて何かしょっぱい物が食べたい。


『加奈子はただ単に食べたいだけでしょ!?』

「それにしてもあんたあれでしょ?異世界トリップとかいうラノベ的展開(笑)」


 それにしても笑える。

 まさか親友がそんなことになってるとは。


『無視!?そうだけど!馬鹿にしてるでしょ!?』

「してないしてない(笑)」

『絶対してる!!』

「まあ、冗談はさておき。其処には本当に誰も居ないの?」


 美紀をからかうのは楽しいのだが話が進まないので先を促して見る。


『うん、何処にも見当たらない・・・・あ!!ちょっと遠いけど、前から何か近づいてきてる!』

「モンスターだったりして。」

『ええ!?ちょっ!!!冗談止めてよ!!冗談だよね!?』

「否、知らないわよ。私が見た訳じゃないんだから。」

『あ。そ、そうか。』


 冗談を真に受けるなよとため息が出そうになる。

 何時か騙されるんじゃないかと心配になる。これは割と切実に。

 美紀の起こす騒動はこっちにまで被害が及ぶし。


「それで?どんなのが近づいて来てんの?」

『えっと、何か銀っぽいものが・・・・鎧かな?』

「じゃあ、人なんだ。」

『そうみたい。ど、どうしよう。』

「ん、まあ頑張れ。美紀なら何とかなるよ。仮にもうちの学校をまとめた生徒会長なんだし。」


 私と美紀が通う学校と言うのが、何と言うのだろうか。金持ち学校の典型と言えばいいだろうか?

 庶民金持ち問わず特待制度がある。様々な分野で優れたものを育てる為と言うことらしい。

 ちなみに、美紀は文武両道才色兼備な為言わずもがな、私は成績は平均並みだったがスポーツ全般が突出していた為入ることが出来た庶民です。

 そんな学校なので、庶民と金持ちとの身分格差が激しい。否、激しかったと言った方がいいかな?


 本当、入学当初凄かったからね。

 庶民と金持の間でバチバチ火花が散ってたよ。

 怖い怖い。

 まあ、今はもう溝も薄れてきている。

 これも生徒会長である美紀の改革のおかげだね。

 親友様様だね。



 うん。

 だから、美紀の今置かれてる状況をあまり心配してはいなかったりする。

 ヘタレだけどやる時はやる女だからね。



『何か適当に言われた気がするよ!?』

「あっはっは、大丈夫大丈夫。」

『その根拠は何!?あっ・・・・・ち、近づいて来たよ!!』

「じゃあ、頑張って~。」


『あッ!ちょっブツッ・・・・・・・・ツー・・・ツー・・・・』










 さてと、口が甘ったるいし。このドーナツ食べたら口直しにラーメン屋にでも寄ろうかな。










 続きを書くかもしれないし、書かないかもしれないので短編として読んでください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ