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桃太郎  作者: 小麦
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きびだんごの行方② 三羽烏の提案

「はぁ……」

 落ち込んだ彼はそのまま公園の中に入り、ブランコに座ってこれからの対策を立てることにする。彼は再びきびだんごを一つ取り出した。

「元気出してくださいよ桃太郎さん?」

 後ろではリーダー格らしきカラスがそう声をかける。どうやらきびだんごを食べた動物が話せるようになり、人間並みの知能を持ち、桃太郎に絶対服従、というその形は変わっていないらしい。普通のきびだんごを作ったはずなのに、なぜその仕組みだけがそのまま受け継がれたのかは桃太郎にも分からなかったが。しかし、今の彼にとってそんなことはどうでも良かった。今現在彼を悩ませているのは、キジがカラスという大衆性の高い動物に成り下がってしまったというその一点の事実だけである。

「そうそう、きびだんごおいしかったし」

「また欲しいくらいだよなぁ」

「ふざっけんな! てめぇらのせいで俺の鬼退治の予定が台無しだよ!」

 しかしそうとは知らないカラスたちはそんな好き勝手なことばかり騒がしくまくしたてる。もちろん彼らに悪気はないのだが、桃太郎は3歳児である。いくら精神年齢が高めでも、感情に任せて怒ってしまうのは子供の性であった。

「まぁまぁ、私たちカラスだって捨てたものではないですよ?」

「……じゃあ聞くが、てめぇらに何ができるってんだよ? 残りのきびだんご消化します! とかだったらはっ倒すぞ?」

 リーダー格のカラスはそんな風に慰めるが、桃太郎は完全いじけモードに入ってしまっていた。カラスたちは全員で少し相談しあい、意見がまとまると再びリーダーカラスが口を開いた。

「では、こういうのはどうでしょう? 私たち3羽のカラスが、あなたの鬼退治に合いそうなうってつけの動物を空から探して、あなたの前に連れて参りましょう。あなたは休めますし、私たちはあなたのきびだんごを食べてしまったお詫びができます。いかがでしょうか?」

 このリーダーカラス、リーダーだけあって思った以上の人格者、いや、鴉格者からすかくしゃだった。かつてこんなに優れたカラスが一体どの物語に出てきただろうか? それだけで桃太郎の目が途端にぱあっと輝く。

「よし、じゃあ桃太郎が命じる! 俺の鬼退治にふさわしい強そうな動物を連れてこい!」

「イエス、マイロード!」

 すっかり機嫌の治った桃太郎は王様気分でカラスたちにそう言い放つ。カラスたちはネタの投下を気にしないどころかそのネタに乗っかり、主人の命とあらば! という感じで、喜んで大空へと飛び立っていった。

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