出発準備
それから三時間後、
「はい、きびだんごできたわよ。ごめんね、時間の都合で三つしかできなかったんだけど、これでいーい?」
「おお、ありがとう! お姉さんのきびだんごなら三つだって百だって問題ないって♪」
マリはきびだんごを完成させ、桃太郎に手渡した。
「いや、そのカウントはおかしいだろ、っていうかマリも何で普通にきびだんご作れるんだよ……」
陽太は桃太郎に軽いツッコミを入れてから、近所のスーパーで材料を手早くそろえたマリに驚きを示す。
「ああ、あたし岡山出身だから。あれ、知らなかったっけか?」
「初耳なんだが……」
陽太はもう付き合って二年になる恋人の出身地を今初めて知るという普通に考えればありえない出来事に遭遇した。
「よし、そろそろ鬼退治に出かけてくるとするかぁ。お姉さん、財宝楽しみにしといてくれよな。あと、そこのお前も」
「……おい、マリと俺でえらい態度が違うんじゃねーか?」
納得のいかない陽太。
「だって、俺お前に恩も何もないし。逆に聞くけど、お前は俺に何か感謝されるようなことしてくれたのかよ?」
「いや、それはそうだけど……」
押し黙る陽太。確かに何もしていないのは事実である。正確に言うと桃を買おうと提案したのは陽太なのだが、それを今ここで言っても始まらない。
「だったら持ってきてやるだけでも感謝しろよ。お前の分があるだけでもありがたいんだからな。本来ならもったいないくらいなんだ」
「……じゃあ、そのお礼に俺から一つ忠告しといてやる」
しかし、陽太にも反撃材料は残っていた。というか、なぜか誰も今まで突っ込んでこなかった重大な問題点である。マリは桃太郎の財宝ゲットしてくるぜ発言を聞いてからすぐに外に出て行ってしまったため、指摘できるのは陽太しかいなかった。おそらく外見が3歳児だから誰もあまり違和感を持たなかったのだろうが、外出するとなると話は別である。
「一体何だよ? 手短に頼むぞ。俺もこれから忙しいんだから」
一方の桃太郎はこいつは全く、といったウザったい物を見るような視線で陽太を見る。はぁ~、と陽太はため息をつき、こう尋ねた。
「それじゃあ聞くけど、お前服は?」




