桃太郎の鬼退治④ 決着
「くそっ、何かこの家に戻ってきてから主人公を乗っ取られた感があるぞ……。むしろ悪役になってきているような……」
桃太郎はボソッと呟くが、それに答える者は誰もいなかった。というか、このままでは実際何のための家来集めだったのかさっぱり分からなくなってしまう。
「くそっ、そんなことあってたまるか! 俺は、俺はこの物語の存在感ある主人公になるんだ! ゲームのラスボスとか影が薄い主人公になんかなってたまるか!」
それを恐れる桃太郎は何としても黒猫を倒さねばならない、と再度捕まえようとする。しかし、黒猫はそれをまたも避けると、桃太郎の視界から姿を消した。
「くそっ、どこ行った?」
「もしもし俺だ。今、お前の後ろにいる」
「月隠の●リーズ●ールかお前は!」
驚いた桃太郎が振り向こうとした時には、タンスの上に移動していた黒猫は桃太郎の首に一直線に飛び掛かっていた。桃太郎はそれを避けられず、
「ぐはっ……! 親父にもぶたれたことないのに……」
そのまま首に手刀を見舞われたように意識を失った。
「お前はもう、死んでいる」
「いや、そもそも死んでねーし、それだと完全に別の漫画になっちまうよ……。でも、ありがとな。お前がいなかったら俺多分気を失ってたと思う」
「……気にするなよ、元はといえば、俺が勝手に出てったのが悪いんだから」
陽太は素直にお礼を言うと、黒猫は照れたようにそっぽを向いてこう言った。
「あれ、そういやマリは?」
すると、その声に呼応するかのように玄関が開く音がした。
「あら、終わったの? とりあえず危なそうだから外出てたんだけど、ってこれはひどいわね。鳥の羽だらけじゃない」
「お前は相変わらずマイペースだな……。でも、これはどうするよ、ちょっとひどいぞ。俺の怪我はまぁ、病院行けばいいとして、この部屋はこのままだといろいろ面倒なことが……」
「それなら心配しなくても大丈夫だ、いい方法があるからさ。今、闇の扉が開かれる」
黒猫はニヤッと笑うと、桃太郎の方を見た。




