およそ子供らしからぬ子供
(おい、どうすんだよ一体……)
(とにかくうまくやり過ごして出てってもらいましょ。ただでさえ二人で生活するのもギリギリなのに、これ以上人なんて居候させられないわ)
ひそひそ声で話した二人は意見を一致させ、目覚めた子供の第一声を待つ。すると、
「ん? 今度はじいさんじゃねーな……」
子供はそんな訳の分からない言葉を発した。その言葉を聞いた二人は首を傾げる。
(じいさんって、言ったわよねこの子?)
(何言ってるんだこいつ? それに、何で子供なのに口調がおかしくないか? 見た目からしたらまだ舌っ足らずでパパママ言っててもおかしくないのに……)
再びひそひそ話で相談する二人。とその時、その子供が再び口を開いた。
「まあお前らでもいいや。おいお前ら、鬼がどこにいるか知らないか?」
「はぁ?」
「鬼?」
こいつは何言ってるんだ? という考えが途端に二人の頭の中をよぎる。しかし、この話は彼ら二人ともどこかで聞いたことがあった。さらにその子供は続ける。
「俺は今から鬼を退治しに行かなきゃならない。俺がこの世界に生を持ったのはそういうことなんだ。それが桃太郎って者の定めなんだから。んで、鬼の場所、知らねーか?」
「そんなこと言われてもねぇ……」
マリは一応真面目に考えるものの、もちろんそんな心当たりはない。陽太に至っては胡散くさそうな目でその子供を見つめるだけである。
「俺は鬼退治に行かなきゃならないんだよ。俺は桃から生まれたんだ。だったらその行きつくところは鬼退治に行って帰ってきて財宝ガッポリだろ?」
とりあえず彼の話をまとめると、桃から生まれたのだから鬼退治に行きたい、ということらしい。その欲望が丸出しなところが唯一の子供らしさ、ということなのだろうか。




