桃太郎の鬼退治① 再会
「たっだいまー、あなたのための桃太郎です……ってどうしたお前たち?」
再び戻ってきた桃太郎は相当な上機嫌で戻ってきた。
「ああ、おかえりなさい。で、何かありました?」
「ああ、俺が行くべき場所、それは分かった」
しかし、予想に反して桃太郎はしっかりと答えを持ってきていた。これがおそらく動物と鳥類の差なのだろう。猫も桃太郎と同じ哺乳類ではあるものの、話せるようになった言葉を封じられていた。つまり、この場で一番有利な条件にあったのは良くも悪くもいろんなことを知りすぎている桃太郎だったのだ。
「まさか、鬼が島に行くんじゃ……」
「いや、それはさすがにねーよ。俺も調べたけど、岡山、香川、岐阜の三つはここからじゃどれもかかるし、第一俺も行きたくない。そもそも、俺は鬼退治をするとは言ったが、鬼が島に行くとは一言も言ってないぞ?」
下っ端ガラスの問いに桃太郎は首を横に振った。
「じゃあ、一体どこに行くんですか?」
「まあ、ついて来いって」
桃太郎は勝ち誇ったように家来全員に命令した。
「ここは……?」
「俺が生まれた場所だよ」
桃太郎一行が戻ってきたのは、マリと陽太の家であった。
「……なぁ、俺ここで帰っていいか?」
黒猫は突然そんなことを言い出した。
「いや、何でだよ? これから物語はクライマックスでハッピーエンド、財宝ザックザクお姉さんとの膝枕耳かきプレイが待っているかもしれないというのに!」
「……後半は完全に桃太郎さんの願望ですよね」
「シッ、それは言わない約束ですよ、カラスさん!」
小声でたしなめる鳩。とその時、
「……あら? 帰ってきたんだ、って何かずいぶん大所帯ね? カラスが三羽に鳩に黒猫……黒猫?」
たまたまドアを開けたマリと鉢合わせした一行だったが、マリが黒猫を見て視線をそちらに向ける。
「あなた……クロ?」
黒猫は答えない。マリの方は向かず、ずっとそっぽを向いている。
「ねぇ、クロ? クロなんでしょ?」
マリは叫ぶ。さっぱり事情の分からない桃太郎と鳥たちはポカーンとしたままだった。




