情報収集の結果
しかし三十分後、
「……おい、どうするんだよ。俺たちしかいないとはいえ収穫0ってあるかぁ?」
「いやぁ、所詮鳥の脳みそじゃ、なぁ……」
「3歩歩くと忘れるって言うし、なぁ……」
下っ端ガラスの言い訳に黒猫は呆れる。結局彼ら3匹は何も情報を得られず戻ってきたのだ。
「それは烏じゃなくて鶏だっての……。あとは鳩ともう一羽のカラスだけか……」
そうこうしてるうちにリーダーカラスが戻ってきた。
「どうでした、皆さん?」
「こっちはダメだった。お前の方はどうだった?」
「私もです、さすがに私が日本語を話したら気味悪がられて逃げられてしまいますからね、遠くから会話を盗み聞きするので精一杯でした」
どうやらどの動物も状況が全く同じだったようである。
「やっぱりそれが問題だよなぁ。実際今の俺たちは籠の中の鳥みたいなもんだ。話せる言語を封じられて自分の元々持ってる鳴き声でしか話せねーんだから」
「……あなた以外は元々鳥ですしね」
リーダーカラスがどうでもいいツッコミを入れる。とその時、
「みなさーん、何か情報的なのは手に入りましたか?」
今度は鳩が戻ってきた。この分だと鳩の方もあんまりいい情報はなかったのかと半ば諦める他の動物たちだが、事情を知らない鳩はそのままこう続けた。
「何でも鬼が島っていうのは女木島って島のことみたいですね」
「何、お前情報を持ってきたのか!?」
鳩の意外な報告に仲間一同おおっ、という歓声を上げる。
「ええ、まあ……」
しかし、鳩の顔は他の誰よりも浮かない。情報を持ってきたはずの彼が何故こんなに落ち込んだような表情なのか、それはすぐ明らかとなった。
「実はそこって香川県にあるらしいんですよ。ここから香川まで歩いていくとか、船に乗って鬼が島に行くより時間かかると思いません?」
「……それもそうだな」
黒猫は納得してから思い出したように言う。彼らがいるのは都会のど真ん中、東京である。距離が遠いのは紛れもない事実であろう。
「あれ、そういえば桃太郎の発祥って確か岡山って言うのが一番認知されてるやつでしたよね? 何で香川県なんです?」
今度はリーダーカラスが聞く。どちらにせよ辿り着くには絶望的な距離だ。
「いえ、岡山の話もしてはいたんですが、マイナーな方が人が少ないから鬼もいるのではないか、と思いまして……」
「確かに木を隠すなら森の中とは言ったもんだけど、そもそも木がないんじゃ隠れるしかないよな。しかし、これじゃあまるで役に立たない情報しかないぞ……」
考え込む家来四羽と一匹。が、そんな穏やかな時間は二分も続かなかった。




