家来たちの行動
「さて、俺たちも動くか?」
その様子を見た黒猫はリーダーカラスと鳩に近寄る。
「ええ」
「そうしましょう」
三匹は満場一致で頷く。が、
「お前さっき待ってるとか何とかって……」
下っ端ガラス二羽は納得いかない様子で猫に突っかかる。猫がそれを睨むと、カラスたちは再び引っ込んでいった。
「バーカ、あんなの桃太郎をその気にさせるための嘘に決まってんだろ。そもそも、あいつはあると思ってるみてーだけど、この世界に鬼が島なんて存在しねーんだ。そんなのお前らも知ってんだろ?」
「いや……」
「それは確かに……」
カラスたちは言いにくそうに目を背けながら言う。もちろん、この場の誰もが鬼が島が存在しないことなど常識で知っている。
「俺は暇つぶしでついてきたけど、お前ら全員いつまでもあいつに付いてく訳にはいかねーだろ? だから、俺が気まぐれで助けてやるのさ。人間に媚びることでしか生きがいを見つけられない哀れな黒猫がな」
そう言って後ろを向いた黒猫の背中はなんだか寂しそうだった。
「過去に何かあったんですか?」
「気にするな、お前らにゃあ関係ねーよ。 ……さ、そうと決まったらとにかく行こうぜ。あの世間を何も知らねーガキに、何かいい妙案を授けてやるんだ」
鳩が聞いては見るものの、猫は何も答えることはなく、そのまましなやかな足を使ってどこかへと行ってしまった。その様子を見た下っ端ガラスたちも何だか思わしげな表情になる。
「きっと、あいつもいろいろあったんだろうな」
「ああ、何だかかわいそうになってきたぜ……」
「とにかく、マイロードやあいつのためにも、俺たちもちゃんと調べてこねーとな」
「ああ、」
二羽のカラスはそのままそんなことを言いながら、情報を探しに猫とは反対の方向へ飛び去って行った。
「……そんな単純な性格だからいつまでもあの黒猫に馬鹿にされてるって、なぜあいつらは気が付かないんでしょうね」
そんな二羽の様子を見ながら、ため息をついたリーダーカラスはまだ他の仲間が飛び去っていない方向へと翼を広げた。
「あのカラスさんも相当な苦労人……、いや、苦労烏か、みたいですねぇ」
そのセリフを聞いた鳩は、リーダーカラスとは逆の方向へと羽ばたいていった。




