いざ図書館へ!
「ここが……?」
桃太郎はその建物を見上げる。彼が首を目一杯伸ばして必死に見上げたその視線の先には、コンクリートでできた建築物がどっしりとそびえ立っていた。
「ああ、何でも図書館っていうらしいぜ。人間たちがよくここでいろいろ調べてから出てくるのをよく見かけるから、ここだったら何か手がかりが見つかるかもなぁ」
「なるほど……」
桃太郎は感動した様子で黒猫を見る。
「おお、確かにここなら行けそうだ!よし、行こうぜ相棒!」
下っ端ガラスの一羽がもう片方にそう声をかける。二羽が飛び立とうとしたその時、
「待ちなさい。私たちは全員ここで待機です。少なくとも見張るくらいしかここで私たちにできることなどありませんよ」
リーダーカラスがそう声をかける。翼を二三度羽ばたかせたカラス二羽はその翼の動きを止め、
「どうしてですリーダー?」
首だけ振り返り、そう尋ねる。
「よく考えてもみなさい、ここは人間の出入りする場所ですよ。先ほどまで私たちがいた公園とは訳が違うのです。普通の人間なら私たちが入ろうとした時点で追い返しにかかるでしょう。それはそこの猫にしろ、鳩にしろ、私たちカラスにしろどの動物にだって当てはまることです」
「そういうこった。俺たちじゃあ中に入ることすら許されない、それがこの空間だ。言ってみれば人間だけに用意された神聖な空間なんだろうぜ。そんな人間だけに優遇された条件っていうのがあるから俺の性格がこんな風に歪んじまったんだがな」
猫はリーダーカラスの言葉にそう吐き捨ててから、
「そんな訳だ桃太郎さん。ここから先はあんた一人で行ってもらうことになる。俺たちはここにいるくらいしかやることがないからな。あんたにすべてを任せるしかないってことだ。とりあえず、頑張って調べてくれ、としか言えることがねえ。頼んだぜ? わざわざあんたについてきてやったんだからよぉ」
無駄にプレッシャーをかける。
「私も、猫さんほど厳しいことは言えませんけど、確かにここだけは桃太郎さん頼みになります。期待させていただくしかありません」
鳩も同じように桃太郎に言った。しかし、
「まあ心配すんな。大船に乗ったつもりで待ってるといいさ。こんなの俺が調べてくればチョチョイのジョイで終わるから、お前らはのんびりそこら辺の道に落ちてる飯でも食って待ってるといいさ」
当の桃太郎はまったく気にする様子もなく、意気揚々と図書館に入って行った。




