鬼退治に行くぞ! ……で、鬼って?
「……さて、一番の問題だな」
どうにか仲間が集まって、さあこれからだ! と喜ぶはずの桃太郎は、しかし、先ほどよりも深刻そうな顔で呟く。というのは、誰もが分かりきっている理由であった。
「なぁ、この中で鬼の居場所について知ってる奴いないか?」
当然と言えば当然だが、誰も鬼情報を持っていなかったのである。すでに最初の時点から幾度となく示唆されてきた問題ではあったのだが、誰も考えようとしないといういわゆる現実逃避状態であったのだ。とここで、黒猫が口を開いた。
「……それは分からねーけど、そういうのが分かりそうな場所になら心当たりは無くもねー。」
「まさか、練馬の大根デパート、とか言うんじゃねーだろうな?」
先ほどのカラスの例があるので、まずは疑ってかかる桃太郎。
「……あのなぁ、俺をそこの下っ端カラスなんかと一緒にすんなよ。あいつらよりはよっぽど役に立つぞ俺は? んで、どうする? 俺についてくるかい、桃太郎さん?」
「おお、心の友よ!」
桃太郎は黒猫を抱きしめた。
「じゃあ、俺についてきてくださいよ、桃太郎さんに最初の家来さん方?」
黒猫は悠々とした足取りで歩いて行った。それについていく桃太郎を見て、
「あいつ、気に食わないな……。どう思います、リーダー?」
先ほど睨まれていた下っ端ガラスのうちの一羽がリーダーガラスに声をかける。
「仕方ないでしょう、使える人材がどんどん出世していくのは世の性ですからね。私たちも認めてもらいたかったら彼のように活躍するしかないのです」
「そういうことです。僕たちも今は彼についていって、いつか彼を見返してやればいいんですから。今はお互い頑張りましょう」
「鳩……」
下っ端ガラスたちは鳩を尊敬のまなざしで見つめ始める。鳥は鳥同士、何か感じるところでもあったのだろうか、カラスと鳩はより信頼度を増していった。




