きびだんごの行方⑥ 毒を吐く黒猫
「なっ……」
言葉を失う桃太郎。
「まあ日本語になってるんで言わせてもらいますとぉ、ぶっちゃけ人間なんてちょっとゴローンってしてニャーとか泣いとけばすぐ落ちるんだよね。猫の愛玩性についてそこのカラスがいろいろ語ってたみたいだけど? 実際はそんなに美化されたものじゃなくて、もっと腹黒なんだよ。さっきそこの鳩が猫かぶりがどうとか言ってたけど、まさにあんな感じ」
「……これって、俗に言う裏の顔を見たってやつですかねえ?」
鳩がため息混じりにそう言った。実際、猫好きの人がこの光景を見たらおそらくショックで数日寝込んでしまうだろう。そのくらい今の猫の言葉には破壊力があった。
「いや、今問題なのはそこじゃない。……こいつ、戦力として使えるのか? どう見ても手下になる気0な気がするんだが……」
しかし、桃太郎が気にしていたのはそんなことではなく、あくまで自分のために働いてくれるかどうか、ということであった。彼の最終目的は、あくまで鬼退治でその戦利品に財宝ザックザクなのだ。確かに匹数的には元よりも多い人数が揃ってはいるが、数より質、というのは桃太郎の持論であった。
「ああ、手下。そういやそれがあんたの目的だって、そこのカラスが言ってたな。鬼退治に行くなんて、今さら時代錯誤な子供がいたもんだ」
「てめぇ、マイロードに対して何て口を……」
飛び掛かろうとする下っ端カラスの一羽。しかし、猫はそれを睨んだだけでひるませ、動きを止めさせた。
「ヒッ……」
怯える下っ端ガラスたち。こいつ、なかなかの強者なんじゃないか、と桃太郎は猫に期待の眼差しを向ける。
「使えねぇ下っ端カラスごときが俺に文句つけてんじゃねーよ」
猫はそう言い放ってから、
「ま、桃太郎って言ってる以上はそのくらいしないと名前負けするよなぁ? ま、別についていく分には何の問題もねーから、俺もあんたについてってやるよ。面白けりゃ、何の問題もねーんだ。ちょうど俺はスリルと楽しさを求めてたからな」
桃太郎の方を向き、こう言った。桃太郎は猫なのに? というツッコミを飲み込んで、
「おお、ホントか? よろしく頼む!」
初めて素直に頼んだ。やはり下っ端ガラスを眼光だけで黙らせたのは魅力的だったようである。
「何か僕の時と態度が偉い違う気がするんですが……」
「あれならまだマシな方ですよ。私の時はもっと酷かったですし。もっとも私の場合は勝手にきびだんごを食べてしまったからですが。しかし、お互い苦労しますねぇ……」
納得いかなそうな鳩を、リーダーカラスは必死に慰めるのだった。




