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7日目 の終わりに

 オグゾンドールアが女性である疑惑など無かったかのように今日も太陽が落ちようとしていた。


 この場所に来るまでに打ったビーコンの信号が無事であるかを確認し、世界樹に置いてきた少し特別なビーコンからは天体観測の情報も取得しておく。


 衛星以外に開発できそうな天体を探す。この恒星系の中に存在するほかの惑星が手ごろだが、いま居る惑星がかなり大きいため、他の惑星が簡単に行き来できる距離に存在するかどうかは期待しないほうがいいだろう。


 衛星ですら三つあるうちの二つは目視での観測が難しいのだ、衛星そのものが小さいというせいもあるが、それを加味してもだいぶ遠くにあるらしく、地球と火星ほどの距離ではないが、地球と月との距離と比べると倍ほどあるのではないかという暫定の観測結果が出た。


 まあ、他の天体の資源を期待してしまうのは仕方ないことだが、今はこの星の事をもっとよく知るべきだろう。雷太は気持ちを切り替え、今日一日をまとめて見ることにする。




 今日の成果はかなり多い。


 なぜか知性体との遭遇が圧倒的に多く、理性をもたないたぐいの野生動物はアルマディウムと小さな飛ぶ蜘蛛のような虫しかいなかった。しいて言えばひとりでに動く樹木に頭を叩かれた事があったが、基本的に組成組織は木のそれであったため、動物と分類していいのかは微妙なところだ。


 そこに、まだ名前も決めてい無い四歩脚の動物と、その中から採取したイリュートロン性炭素の結晶。どういう働きがあるのかは謎だがイリュートロンが抜けると不安定になるようで、一部は粉にする途中で跡形もなく燃えてしまった。燃えるのだから何かには使えるだろう。


 その結晶体以外はほとんど地球の生物と変わりないという事がわかった点も大きな収獲といえる。



 次にこの世界独特の風土病から、魔法と魔力についてさまざまな推論が立った事だ。今まで得た情報といくつか矛盾する可能性が出てきたが、逆に不明だった部分を埋める可能性も、新たな観点をもたらしてくれる可能性も示してくれた。


 やはり情けは人のためならず、という事なのだろうかと、雷太はまた母国の古いことわざを思い出した。


 具体的には、魔力とイリュートロンが密接に関わっているという裏づけと、イリュートロンと結合した物質は何らかの変質をしてしまう可能性。手元の機材が不足しているせいで、本当に変質しているのか、どう変質しているのかまでは絞り込めないところがもどかしいが、この辺りはやはりあとから来るだろう専門職の者に任せるべきなのだろう。


 正直なところ、一から十まで全部解き明かせといわれても雷太一人にはムリだ。なにより知識が不足しているのだから。



 次に、更なる人的資源だ。


 雷太の上司や所属する組織が、アルカンコー族を人類としてみなすかどうかはまだわからないものの、雷太個人は既に彼らを人間のなかの一つの種族としてみなしている。いずれ来る後続の開拓者たちにとっても、この土地の原住民である彼らの協力を得られる事は必ず利益になるだろう。


 現状も、いちおう老人達を救うという大義名分はあるものの、見方によっては老人たちを実験動物にして魔力の研究を行っているともとられかねない状況だ。


 雷太は今自分がとっている記録が後々彼らに不利に働かないよう、気をつけようと思った。



 ここまでまとめて、雷太はふと何かを忘れているような気がした。


 なんとか思い出そうと試みるが、いつの場面に忘れたのか、忘れ物がどのジャンルであるかすら思い出せない。


 少しの間、しかめっ面のまま音も出さずに思い出そうとがんばっていたのだが、結局諦めた。これだけ思い出そうとしても出てこないのだから、きっと大したことではないのだろう。そう簡単に考えて今日のまとめに戻る。



 人的資源の続きである。


 元いた世界から人員、大掛かりな機材を送るには膨大なエネルギーを消費する。


 雷太が最新鋭の設備で身を包んでいるとはいえ、単独でこの世界に飛んでこられたのは、そういったエネルギー事情もある。


 他にもさまざまな要因から一度に大量の人員をこの平行宇宙へ送り込む事は、できなくはないが文字通り無限にある平行宇宙の中の一つにだけ人員を集中することは、非効率的であるとされてあまり積極的やろうとはされない。


 では調査・開発にかける労力はどこから得るのか。この天体に生物が居ないのならば、エネルギーを大量につぎ込んで初動資源を送り込み、半自動のロボットを現地で組み立てて使う。


 しかし動物が、とりわけ話の通じる知性体がいるのならば、彼らから助力を得ればいい。これは先にも述べたとおりだ。


 ここで重要になるのはその知性体の性質、とくに学習能力が重要になる。そういう点で、ゾーリューネヅ、オグゾンドールア両名の働きは文句なく及第点だった。


 彼女らのように、雷太の文明が持ち込んだ技術に対し高い適正を示す者の教育は、ロボットを持ち込んで利用するよりもずっと安価になる。


 そのうえ、雷太という例がはじめから出はしたが、雷太の宇宙から来る者の皆が皆とも魔力への適正を示すかどうかはわからない。そう考えると、魔力への適正がありつつ、持ち込まれる技術への適正も示しつつある二人のような実例はこの惑星の開発に彼らを利用するという案に対しとても強い説得力を持つだろう。


 

 雷太は、元の平行宇宙へ戻ったあとこの宇宙で過ごす間におきた一連の出来事について報告書を書かなければならない。プライベートメモに今までのまとめを軽く書いて、今日はもう眠る事にした。


 雷太の睡眠は短い。


 またすぐに、活動を始めるだろう。



 帰還可能時刻まで、あと役101時間。


観覧ならびにご感想、ありがとうございます


文章量は少ないものの、もう少しこのペースで投稿させていただきます。


少しずつ書きたまってはいるので、もう少し更新のペースを早める、


かもしれません。 あくまで「かも」です。

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