しょのろく 時雨のあれを治したい!!
近頃、かなり誤字があると注意されちゃっているので今回はいつもより頑張ってみました。
滅亡者、それは世界の全てを終わらせることができるもののことである。もとは神様が世界をやり直すために作った装置だったが、その装置が何者かに奪われてしまい、何者かの体と融合、そのものは世界を一度滅ぼしてしまい、その力を持つものは結果として神様に狙われることとなった。
『断末魔』メンバー、水神に襲われた時雨は今、中庭にて女の子と一緒の弁当を食べている。もっとも、羨ましそうなこの表現はたとえのもので実際のところは・・・
「まったく、まさかお弁当を忘れるなんてぬけてるんじゃないの?」
「はい、ごめんなさい。今度から気をつけます。」
お弁当を忘れた時雨は涼に頼みお弁当を分けてもらっているのである。
(と言ってもウインナー一本だけである。
)涼としては(妹がいるときは自分が上なのだからとしっかりしているが兄がいるなら思いっきり甘えたいとも思っている。
実は蕾より兄が出来たのを嬉しがったのは涼の方である。
)内心嬉しいのだがそんな彼女は蕾と違い素直ではないので決して口に出すことはないであろう。(さっき手が触れただけで時雨は顔を真っ赤にして鼻血を少々たらしている。)そして時雨も未だに抵抗があるのだが、(彼は一応治したいらしい。)これは自分の失態なので顔を赤くさせながらもお弁当を食べているのであった。
「けど、『断末魔』が時雨を襲うなんて珍しいんじゃないかなぁ?それにまさかこの高校にいるなんてねぇ。」
「たしかに、まさか学校の中にいるなんて思わなかったな。」
そんな二人の所に蕾がやってきた。彼女は先程時雨と涼が一緒に歩いているのを見て一生懸命追ってきたのだ。(一瞬、あの兄さんが?と疑った。)
「・・・・兄さん、さっき賢治さんから聞いたけど『断末魔』に襲われたって本当?」
ここら辺の地域では有名な話のようだなぁ。そんな襲われた当の本人(被害者ナンバー2番)がのんきな事を思っているとここで第四の人物登場。
「お兄様、お怪我は無いんですか?もし、血が流れているなら私が頂きますね。」
お腹がすいたらしい氷雨である。三人の女の子に囲まれているので他の男子が見たら羨ましがるに違いないだろう。(時雨がみたら少々ばかし苦しそうにするかもしれない。)もしかしたら体育館裏に呼び出されてリンチを受ける可能性も出てきた。(ここの男子は相手が番長だろうと恐れることは無いようだ。)
しかし、そこはやはり時雨であろうか?三人に囲まれて先程まで我慢していたものが鼻から吹き出そうである。
「時雨、この人誰よ?あんたの事お兄様なんて呼んでるみたいだけど・・・・」
必死にそれをこらえて時雨は説明しようとしたがどうやって説明しようか困った。なんせ氷雨は死んでいるはずである。
「ええとね、この子は・・・・不和 氷雨といって僕の双子の妹なんだ。いろいろ事情があって今まで離れていたんだよ。」
「え、それじゃあ、兄さんと血がつながっている兄妹なの?」
今度は蕾がそんな時雨の目を見て話してくる。個人的にそんなこと(女の子に睨まれたり、見つめられたり・・・)に弱い時雨の状態ははっきり言って蛇の生殺しと言う奴かもしれない。
「・・・・ああ、そうなるね。戸籍上でも僕の妹だと思うよ。」
最も氷雨が生きているものならばの話であるが・・・・。時雨はそんなことを思いながらその場を離れることにした。今度誰かが彼の顔を覗き込むような姿勢をとれば間違いなく鼻から勢いよく赤い液体が吹き出るに違いない。そう思って立ち上がろうとする時雨の腕をすべすべの手が握り、時雨の手はその持ち主の胸に当てられた。
「私は、嬉しいですよお兄様。ほら、分かるでしょうこの胸のときめきが・・・(やり方が古臭いかな?早くお兄様から血をもらわないと貧血で倒れるかも・・・)」
カウントダウン スタート スリー!!!
「ああ!あんた何やってんのよ。」
ツー!!
「!!なんて大胆なんだろう。」
ワン!
「・・・もう駄目。」
その後、鼻血を吹き出した時雨は午後の授業を出血多量で休むこととなった。(ちなみに氷雨は貧血で倒れることは無かった。)いやはや、大変なものである。
そして、彼が目を覚ましたときには既に放課後。隣には氷雨が座って赤い何かを透明のグラスでのんでいた。トマトジュースという奴であろうか?
「あ、お兄様起きましたか?まさか気を失うなんて思っていませんでしたよ。それと少々ながらお兄様の鮮血をもらいました。」
「・・・・それってトマトジュースじゃないの?」
「はい、お兄様から取れた鮮血ですよ。どうです、飲みますか?」
「いや、遠慮しておくよ。」
自分からとった血を自分で飲むぐらいならはじめっから出したりしないだろう。そんな事を思いながら体を起こしてみると体がかなりふらついた。
「結構血を拝借させてもらったので今は血が足りていないんだと思いますよ。それにしても流石お兄様です、こんな美味しいのは初めてですよ。」
ここは素直にありがとうと言うべきであろうか?しかし、彼としては未だにふらふらする頭でものを考えることは少々難しかったようだ。
「・・・・氷雨、今までどこでどうやって暮らしてたの?」
「そうですね、住所不定、無職です。住む場所は日によって変わってましたし、そうですね、ダンボール生活がよく似合うと言われたりもしました。食事は誰かを夜道で襲って血を飲んでいましね。(そんな失礼なことを言った本人を後ろから襲いました。)お兄様を探してしまえばいいと思っていましたからねぇ。」
「じゃ、何で番長みたいに皆から呼ばれているの?」
賢治や亜美が言う風には氷雨は間違いなく番長と言う奴である。
「それは簡単ですよ。番長になれば他校の番長が襲ってくるから思いっきり血をもらうチャンスなんですよ。」
ここらは微妙に高校が密集していたりするからそのような出来事が起こりやすいようだ。やってきた番長を殴り倒すなりなんなりして気絶している間に路地裏に連れて行き生き血をもらってたんだろうなぁ。なぜか時雨の頭の中にはそんな出来事がありありと浮かんできた。
「しかし、その心配はなくなりました。お兄様に出会えたので食料の心配しなくてもいいし、住む場所にも困りません。私の念願の夢も叶いそうなのでこれで十分です。もはやいつ死んでも後悔はありません。」
たぶん、彼女は死んでいるんじゃないかと思う時雨はそのことを口に出して言うことは無かった。理由は簡単、まだ頭がふらふらしているのでそんな事をいえなかっただけである。
「・・・同じ屋根の下にいるんだからもし間違いが起こっても・・・きゃっ!はずかし。」
まず、時雨ならそんな間違いは起こさないであろう。何かの拍子でそのようだ事態になりそうになってもその場に赤い彼の血が無様にぶちまかれてそれでおしまいになりそうだからだ。ようやくはっきりしてきた頭をさすりながらベッドから下りて帰宅の準備をすることにした。
「お兄様の血で分かったんですけど、お兄様はかなり珍しい罪人天使なんですね?マニアに売ったら高く売れそうですよ。」
「へぇ、血だけでそんなことが分かるんだ!(マニア?そんなのいるのか?)」
氷雨の将来は臨床検査技師なんてどうだろうか?そんな事を考えながら氷雨に話し掛ける。
「分かりますよ。例えばお兄様の好きな果物、動物、車、そして便器の形(?)。手にとるように分かるんですよ。血をもらった相手の情報が分かるのはいいことです。」
えらそうに胸をそらしていたのでついつい時雨はそんな氷雨を見ていたが、保健室の扉が大きな音を出してあいたのでそちらの方向を見た。入ってきたのは蕾と涼、そして賢治と亜美であった。
「久しぶりの兄妹水入らずを邪魔して悪いね。実は時雨君に話があるんだ。」
賢治はそう言って廊下に出て時雨に手招きをして他の人たちは保健室に残った。保健室の中から聞こえてくる話し声は保健室を出た時雨の耳にもかすかに聞こえた。
「あんた、時雨君にやらしいことしたらしいじゃないの!蕾と涼から聞いたわよ。」
「あれは私の身を守るための行為です。お兄様がいなかったら他の生徒を襲ってましたよ。」
そんな事を言っている亜美の声が聞こえてきたが、賢治が話し始めたのでそれ以降聞こえることは無かった。
「実は、少々(君にとって)厄介なことになってね。『断末魔』から君宛にメールが来たんだよ。」
いつのまにか賢治が時雨のケータイをなぜか持っており、その画面には次のようなことが書かれていた。
『お初にお目にかかります、僕の名前は『断末魔』の炎神と申すものです。今日は水神が盛りのついた犬みたい(笑)に時雨様に襲い掛かったと聞いたのでお詫びを申し上げます。あ、アドレスは賢治さんから頂きましたので安心してください。さて、本題に入りますが、これから先、『断末魔』はあなたを狙うことをここに宣言します。あなたは幸か不幸か知りませんがとっても面白そうな実験対象ですからね。それではまた今度。』
「いやぁ、これで君以外が襲われることはなくなったみたいだね、皆のために犠牲になれるんだからよかったねぇ。」
賢治は他人事みたいにそんな事を言っている。(彼にとっては本当に他人事なのだが・・・)
「冗談だよ。もしも、君に襲い掛かってきた『断末魔』に対しては僕が事前に対処しておくからね。苦戦しないようにしておくから期待しておいてくれたまえ。」
それよりも、敵にアドレスを教えるような行為はして欲しくない。いっそのことだからアドレスを変えておいたほうがいいのかもしれない。そんな感じで時雨が賢治を見ていると彼は苦笑していた。
「そんな恐い顔しないでくれよ。この埋め合わせはするからね。それじゃ、僕は忙しいからこれでさいならだよ。」
片手で時雨に手を振り去っていってしまった。残された時雨もそのまま帰ることにして校舎を出た。
そして保健室にいた全員は置き去りを喰らっていたのであった。
「あれ、時雨君がいない!!」
一人家に向けて帰っている時雨は暇なものだ。部活にも入ってないし、別に慌てて勉強しなくてはいけないほど学力は悪くない。家にかえった場合は美奈の手伝いをすることにしていた。そんで時雨が電柱の横を通りかかると電柱が話し掛けてきた。
「お久しぶりですね、時雨さん。」
木刀を持って顔を隠しているどこかで見たような人物が時雨の目の前に現われた。今日は三人おらず、襲ってくる気配も無い。
「・・・・他の二人はどうしたんですか?」
「えーと、竹箒を持ってた人は今日は風邪でお休みなんですよ。そんで竹刀を持ってたこはデートでいません。」
集まりの悪い集会みたいな状況に時雨は疑問を覚えた。この人たちは暇人なのだろうか?
「じゃあ、今日は何で一人できたんですか?また、何かの相談を聞いてくれたりするんですか?」
木刀さんは首を振って時雨の真正面にたって口を開いた。
「・・・・事情が変わってしまったのでこれ以後はいったんあなたを襲うのはやめて、あなたを助けることになりました。『断末魔』があなたを狙っていると聞いているのでこれ以後は襲われていたらサポートさせてもらいますね。」
そして右手で自身の顔を覆っている覆面に手をかけてそれをとった。
「!?って君は・・・・確か僕のクラスにいた・・たしか高仲さんだっけ?」
覆面から覗く顔はどこかで見たことのある顔であり、時雨の前の前、その右の席だったと思う。(時雨の席は一番後ろの席であり、近くには三人の男子がいる。)
「覚えててくれたんですね、だけど下の名前までは覚えてないようだからここでいっておきますね、私の名前は高仲 凪実は『断末魔』に襲われた(実は被害者ナンバー1。)のは私なんですよ。だから私も時雨さんと共に『断末魔』を壊滅させたいんです。それでは今日は帰りますね。また明日・・・」
ちなみに言っておくが直接『断末魔』のメンバーが彼女を襲ったわけではない。少々脅かした所、彼女が予想以上に驚き叫びながら逃げたときにこけてしまったのだ。(そのとき襲っていた人物は思いっきり驚いた。どちらかと言うと襲った本人の方が驚いていたらしい。)彼女はそう言って走って夕陽に消えてしまった。
「・・・・・・。結局何がしたかったのだろう?」
驚いて声も出ない時雨はそのまま家にかえることにした。これ以上かなり頭が困惑してしまう状況は本日中にまたあってしまったら頭から真っ白い煙を出してしまうに違いない。
「ただいまぁ。」
「あ、おかえりなさい、時雨様。」
広間で黒光りしている武器の数々を布で丁寧に拭いている美奈が時雨を見て答える。時雨はその数々を眺めながらその光景に興味をもった。
「どうですか時雨様、何か使ってみたいものがありますか?」
そんな物騒なことを聞いてきた美奈に対して時雨はやめておいた。これでまた家が破壊されてしまったら今度こそみんなでダンボールに住むしかない。しかし、興味があるのは事実なので説明をしてもらうことにした。
「使い方やその物騒なものの説明とかしてくれませんか?」
「ええ、いいですよ。まずは自慢の一品、私が愛用している刀ですね。この前時雨様に折られましたが、このたび復活したので(名前は『蒼月・改』)ほっとしました。名前は『蒼月』と言いまして、これは『紅陽』と対になる刀なんですよ。そしてこの前時雨様に対して初め使用したこの銃は・・・・・」
ほんの軽い気持ちで人に説明を頼むのはいけないことだと時雨は本日始めて知ったのである。時雨の妹達がかえってくるまで時雨は正座した状態で先生の授業を聞いていた。もちろん、先生とは眼鏡を(時雨のものである。)つけている美奈がどこから持ってきたのか分からない黒板を使って武器の授業を受けていた。
「・・・・ここの装置をですね、そうそう、上手ですね時雨様は・・・」
「「「ただいまぁ。」」」
「あ、帰って来たようなので今日はここまでです。今度は他の種類の武器の使い方を教えたいと思います。楽しみにしておいてくださいね。」
去っていく時雨の家庭教師となってしまったメイドの後ろ姿を眺めながら真剣な表情で時雨は考えていた。
(・・・・この知識はいつか役に立つのであろうか?できればそのような事にはなりたくない・・・・)
そして時雨も立ち上がり、いい匂いのしてくる方に向かって廊下に踏み出したのであった。勿論、未だに残っている武器は美奈の部屋に持って行くのは忘れていなかった。もし万が一誰かが触ってしまったら大変である。
夕食の席でニコニコ笑っているメイドさんに氷雨の事を話した。やはり彼女は笑っていてこう答えた。
「私は構いませんよ。この方が時雨様の妹さんなら結構ですし、吸血鬼さんなら暴れて時雨様を傷付けられると思いませんしね。もっとも、時雨様を仕留めようと思っているなら私がこの場で料理しても構いませんから。」
首をかくかく動かす氷雨を見て他の一同は思った。
(このメイドさんに逆らったら命はないかもしれないし、お弁当やそのほかいろいろ自分達がやらなくてはいけないかもしれない。)
意外にめんどくさがりやな性格が多い天道時一家であった。ここに書いておくが時雨の母は凄いめんどくさがり屋で、たとえ蚊が手に止まっても叩こうとしない。
「分かればよろしいんですよ。そしてこれは私からのプレゼントです。」
美奈が氷雨に手渡したのは大きな注射器であった。そして時雨たちが聞こえるか聞こえないか微妙な大きさの声でこう言った。
「・・・いいですか、この注射器は特別なもので相手に痛みを与えないような作りになってます。もし、氷雨様が必要になったときはあなたのお兄様に対して使用してくださいね。」
まだぼそぼそ言っていたが時雨はそれは安心できる状況ではなかった。痛みが与えられないならずっと血をとられていて失血で気を失ってしまうかもしれない。それどころか二度と目がさめないことにもなりかねないのである。話し終わったのか今度は食べ終わって逃げようとする時雨が部屋に戻ろうとしたので美奈はその時雨を呼び寄せた。
「・・・・今日寝る前に私の部屋に来て下さいね。実は賢治さんから言っておくようにと言われていることがあるんですよ。」
それだけ言ってみんながいない(いつのまにか消えていた。)テーブルの上を片付け始めたので時雨はその後部屋に戻ったのだが彼の部屋には三人が既にいてトランプをしているのであった。
「・・・何やってるの?」
「誰が兄さんと同じ部屋になるか決めているんだよ。」
この家は前いた家より大きいが、流石にここまで多くの人物が住む事は出来ない。親達の部屋は一応一緒だが、それでも他の部屋は荷物などがあり、住めない。相部屋になるのは当然で既に涼とつぼみは同じ部屋である。とんでもないことだが、時雨にとっては少々大変なことであるので彼は彼の部屋を賭けたトランプ勝負に身を投じたのであった。
「あれ、こんな所でみんな何やっているんですか?」
「いや、どうやら僕の部屋を賭けて勝負しているらしいんだ。」
その後、美奈もその戦いに混じったので大変なこととなった。ルールはシンプルなものでババぬき。一番初めにぬけた人が勝ちで、その期限は一ヶ月である。
「やった!あがりだ!!」
非常に他の人は面白くないのだが、一番初めにあがったのはこの部屋の持ち主であった。そんなに嬉しかったのか現在進行形で飛び跳ねている。
「じゃ、ここは氷雨の部屋でいいよ。」
「え、お兄様良いのですか?」
「うん。」
時雨はそんなことを言って数少ない家具を持って部屋を出た。
「僕は居間で寝るからここを使ってもいいよ。」
残りの人物が唖然としているなか、時雨はそういい残して元、彼の部屋を出て行ったのであった。その後、居間で誰が寝るか再び対決が起こったのは言うまでも無いかもしれない。その優勝者には一週間の今で寝る権利が与えられると言うものであった。
「・・・・ほら、氷雨はやく取りなさいよ。」
言葉で相手を誘ったり、フェイントをかけたりとその勝負は熾烈を極めた。
そのおかげか知らないが氷雨は早速新しい家族と仲良くなったりもするのである。
しかし、勝負には勝ち負けが存在しており、妥当な線として勝利者は今のところ時雨の保護者的な存在の美奈が第一回の激戦を制したのであった。かかった時間は一時間近くだったらしい。そんな美奈が部屋に戻ると時雨が部屋の前に立っていた。今回負け犬の人たちはすごすごと退散してそれぞれの部屋に戻って行った。
「それではどうぞ、私の部屋に入ってくださいね。」
促されて入った部屋のベットに腰をおろす。女の人の部屋の中に入ったのは初めてであったし、その部屋はかなり片付いていた。(さすがメイドさん。)机の上(これ以外に家具はベッドしか見当たらない。)には白い封筒が置かれており、それを美奈が時雨に手渡した。無言で受け取ってそれを開ける。
『えー、時雨君には少し話しておきたいことがあるんだ。まずは僕の正体から教えておきたいと思う。僕は君と同じで罪人天使なんだ。まぁ、その名のとおりなんだけど近頃僕は一つ分かったことがあるんだ。ずばり、罪人天使は必ず何か罪を背負っており、その罪はなかなか消えることは無い。ちなみに僕が背負っているものはね、ゴミ箱に空き缶などを放り込むことが出来ないんだ。そして思うことに、時雨君の罪は女の子が極力苦手だと思うんだよ。そしてこれからが本題。罪はなくそうと思えばなくすことができるんだ。とりあえず今の状況をずっと保っていればそれはなくなると思うから頑張ってね。追伸 きっとそんな罪を被っているのは過去に女の子をたぶらかしたからじゃないかと思う。』
それで手紙は終わっており、時雨にとっては嬉しい?手紙であったとしよう。
「つまり、僕はその罪がなくなるまで鼻血を拭きださいといけないのかな?」
悲しそうな顔をしてみてくる時雨に美奈はこう言った。
「良かったじゃないですか、鼻血を吹き出してもそれを氷雨様になめてもらえば彼女も喜びますよ、それでは早速鼻血を出してもらいますね。」
美奈のその言葉を聞いて時雨は扉を開けて逃げようとしたが扉にはいつのまにか外から鍵がかかっており、開かない。何度も何度も試してみるがやっぱり無駄であった。
「・・・・無駄ですよ、時雨様。」
いつのまにか抱きつれており、何かが時雨の頭に当たる。
「う、うわぁああああ!」
彼は叫んだ後いつものようにすぐに気を失うことが出来なかった。時雨は思う、何故だ?何故いつものように気を失うことが出来ないんだ!!叫んでも誰もこないので少しばかり覚悟をしよう。ちなみにこんなに叫んでいても誰も彼女の部屋にこなかったのはこの家には防音効果をもつ素材が使われていたからである。
「・・・・許せ、時雨君。これも君のためなんだ。」
いつのまにか家に侵入していた賢治は美奈の部屋を外から鍵をかけていたのであった。これにより、時雨は逃げられなくなったというわけである。
「多分、今頃部屋は(鼻)血まみれになっているだろうね。これも世のため人のため。とりあえず時雨君には女の子恐怖症を急いで治してもらわないと・・・・」
部屋の中からかすかに聞こえてくる時雨の絶叫を聞きながらそんなことを考えている賢治は考える人のようであった。そして、賢治に気づいた人物が一人彼のもとによってきた。目をぎらぎらさせた少女は注射器片手に賢治に話し掛けた。
「・・・賢治さん、献血にご協力ください。少々小腹が空いたので血を拝借させてもらいます。」
「・・僕の血は美味しくないと思うよ。ま、いるならあげるよ。」
注射器でとった血液をそのままダイレクトで口に持っていく氷雨を見ながら賢治はまた扉の中から聞こえてくるかすかな時雨の叫び声を心に残していたのであった。少年よ、成長したまえ。
「うえ、まずう。これならどぶを飲んだほうがまだいいかもしれない。」
隣で口から血を吹き出しながら悶絶している氷雨に賢治は苦笑しながら(微妙に傷ついた。)あるものを渡した。それは、彼が今朝から集めていた時雨の(鼻)血であった。
「いいかい、今度からは時雨君の血を念の為に集めておいた方がいいよ。だけど、あまり彼の血を飲みすぎると君は大変なことになるからね。」
「はぁ、分かりました。お兄様の血はたまにしか飲まないようにします。しかし何であなたがここにいるんですか?」
「ちょいと野暮用だよ。」
扉が中からノックされて鍵を開けると中から血まみれ(全て時雨の鼻血と思われる。)となった美奈が現われた。その顔は何かをやり遂げたときの顔であった。
「・・・・賢治さん、約束通り時雨様を普通の男の子ぐらいまでに戻しましたよ。」
彼女の床では今でも鼻血を吹き出しながらとうとう気絶してしまった時雨がいた。目からは涙まで出ているくらいである。後に、彼はそのときの感想を述べている。
『ええ、あれは凄かったですよ。僕はもう出血多量で死んじゃうかもしれないと何度も思ってますしね。』
賢治はかたわらで心配そうな氷雨にこう告げた。
「今日に限り飲み放題。と言うより彼を奇麗にしてあげてくれないかな?」
「わかりました。」
氷雨は方膝ついて気を失っている兄、時雨にタオルを使い顔を拭いてあげた。
「・・・さて、これで彼が明日襲われても大丈夫だろう。美奈さん、お礼を言うよ。」
「いえいえ、これで私も彼と話せるようになるんですからいいですよ。彼は一定の距離を私から置いて話してきますからね。」
その夜、時雨は目を覚ますことは無かった。そして彼らの学校のある教室では『断末魔』のメンバーが集まって会議を行っていた。
「・・・今日、天道時時雨の弱点を手に入れたんだが、聞いてくれ。」
「いや、多分それは全員知っていると思うぞ。どうせ女の子が苦手だって言うんだろ、炎神。」
「彼の教室にいる人ほとんどがそのことを知っていますよ。てか、ほんとに役立たずさんですね。」
「・・・ふぅーんだ!!いいもーんだ!!どうせ僕は駄目人間の役立たずリーダーだよ。」
「ひがまないで早く進めてくださいよ。そんなことよりフルネームで呼ぶのも古臭いですよ。」
「・・・リーダー、あんたホントやく立たないね。これなら雷神さんのほうが役に立つよ。あ、後俺も彼の事を堅苦しい名前で呼ぶの反対。意外に彼はフレンドリーな感じがするからね。」
「・・・・へーへー、じゃ、今度から標的の呼び名は『しー君』だ。そして今回の作戦は風神にやってもらおう。」
「まぁ、いいでしょう。私がしー君を倒してあげますよ。役立たずは一人で十分ですからね・・・・・」
罪、それは人によって変わる物。
そしてそれを償う方法は自分にとって苦しいことである。
『救世主』と呼ばれていた伝説の罪人天使もその罪にさいなまされていたのだ。彼がどのような罪を犯したのかは不明だが、一説によると彼がその罪を受けるとき、さらに不幸が訪れるらしい。目撃した者達が言っているのは『彼の頭からいきなり空き缶(その他、空き瓶、パック、ガム)が落ちてきて、必ず彼の頭に当たるんだ。その後、さらに大きなものが彼を襲う。』とのことであり、嘘かどうかは分からない。
さて、今回でようやく?時雨のあの症状を改善できたと思います。(僕の場合は誤字をなくすのを目標に掲げております。)そして今度は宣言どおり、風神が時雨に襲い掛かる予定です。これからもよろしくお願いします。




