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罪人天使  作者: 雨月
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しょのじゅうご しぐれとしぐれ!!

今回はかなり短いです。

 『断末魔』が滅びたことを知らされた時雨は今、生徒会室にいる。


「風神はね、僕たちが説得したからもはやあの組織の一員ではないんだよ。」


「僕達?やっぱり賢治のほかに誰かいたの?」


 賢治が天使化した時に使っている剣の形はなんとも禍禍しい形をしたお世辞にもかっこいいとはいえない剣である。しかし、たびたび時雨を助けてくれた謎の紫の天使はなんともはや・・・・はりせんの形をしていたのであった。


「ああ、彼の名前は・・・天道時 時雨と言うんだ。この世を破滅させた重罪人天使だよ。彼の罪がようやく無くなったから今日中に彼はこの世界からいなくなると思うんだ。」


 賢治は時雨にどのようなことが起こってどうなったかと伝えた。賢治もそのことはほとんど覚えていなかったが紫の罪人天使が雑巾でこけたことは知っていた。ついでにそのことも話しておいた。


「さ、今から彼に登場してもらおうかな?」


 賢治がそういうと生徒会室の扉が開いて入ってきた。


「・・・どうも、はじめまして・・・・」


 入ってきたのはもはや幽霊でも通るであろう色白い・・・・というより廊下が透けて見えた。


「時雨(旧)君、あと十分で消えてしまうからね。早く彼に言いたいことをいいなよ。」


「ああ、わかっているよ。最後に彼に伝えたいことがあるんだ。本当はぜひとも君にいろいろと教えておかないといけないことがあったんだけどね。ま、これも運命。」


 古いほうは笑っていた。ああ、これが世代交代というやつか?


「・・・・・最後に僕が思っていたことを・・・いや、君に完璧な時雨の姿となってもらうよ。もう時間がないんだ。行数短くしようと誰かががんばっているからね。」


 古いほうはそう言うなり新しいほうを思いっきり殴った。


 ずばぁしぃぃ


 もはや殴ったときに出てくるような音ではなかったが、そのことに気をとられてはいけない。時雨は自分を殴った自分を見ようと目を開けた。だが、そこにいるのは賢治だけである。


「・・・・時雨君、彼は君の力となったんだよ。ほら、最後に君が思ったことはなんだい?」


 そう、時雨は完璧な時雨となったので最後に時雨がかすかながらも思ったことが今ならわかるのだ。賢治はそれが聞きたかったのだが・・・・当の時雨は顔をしかめている。


「いや、まぁ・・・・(ちなみに最後に彼が思っていたことは次のようなことである。

「ああ、自宅の机の上から三番目に友達から借りてた本がいまだに封がされていたんだけど・・・・・死ぬ前に中身が見たかったなぁ。多分、僕がここで消えたら新しい世界でその本を探してやる!!」

といったものだ。いや、彼らしいといえば彼らしいかもしれない。)」


 ここで、時雨は苦し紛れの言い訳を思いついた。いや、恥ずかしいからしょうがないのである。許してほしい。


「・・・最後にとある本を見たかったんだけどね。それで僕は絶対にその本を見たかったらしいんだ。」


「ふぅん、なるほど。」


 賢治は納得してくれたようだ。その顔には疑いという文字は浮かんでいない。新生時雨はとりあえずここからさっさといなくなりたかった。


「じゃあね、賢治。」


「ああ、最後に言っておくけどね・・・君が君であるのだから・・・前の君に関係した人物たちがもしかしたら君の前に現れるかもしれないね。」


 賢治は意味ありげな表情を浮かべてそういった。時雨は昔会った人物たちを思い出そうとして思い出せないことに気が付いた。まぁ、人生そう都合よくいかない。


「・・・・さて、とりあえずは・・・メイドさんたちと戦ってこよう。」


 時雨はそのまま冥土喫茶まで走っていった。だが、夜にならないとあかない喫茶は影も形もなかった。しょうがないので家に帰ることにした。


「あ、時雨様。おかえりなさい。」


 あれからメイド服となった美奈は返ってきた自分の主人に挨拶をした。彼女は時雨に会っていたことから少し彼のことが心配であった。この人物には何かが足りていないと思ったのである。だが、今の彼にはその何かが戻ってきたようで初めてみるような笑顔を見せてくれた。


「うん、ただいま美奈さん!」



「あ、兄さんお帰り。」


 お菓子作りをしていた蕾は自分の兄を見て幸せな顔になった。彼がこっちに帰ってきたのもうれしかったが・・・・そのとき見てもこの兄は何かが足りていないと思ったのだ。彼女なりに考えてみた結果、多分、カルシウムが足りていないと思った。だが、今の彼にはカルシウムが完璧に足りていると思うことができた。


「ただいま、蕾!」



 涼は今、時雨の机をあさっている。先程、賢治から電話があり、二階に前から置いてある机の上から三番目の引出しをあけて中身を彼に渡しておいて欲しいと言われたのだ。彼女はそれを見つけ出した。それはどうやら、本であった。

 ちょうど、時雨は二階に上がってきたので涼はそれを今まで見る中で一番幸せそうな自分の兄に渡した。


「はい、時雨。賢治さんが渡してくれってさ。」


 黒い袋に入っていたので中身はわからなかったが・・・・時雨が受け取ろうとして、落とした表紙に中身が出てきてしまった。


「・・・・へぇ、だから幸せそうに帰ってきたんだぁ。時雨のエッチ。」


「いや、べ・・・別に・・・・」


 今まで幸せそうな顔をしていた時雨はかなり顔を真っ赤にして黙り込んでしまった。

 中身が露出してしまった本は彼が最後に賢治から借りていた本であった。ああ、運命とは残酷なものである。


 ええと、遅くなってすいません。あと短くなってしまいましたが・・・・こっちのほうがいいと少し思っています。さて、一見きれいに終わってしまったようですが・・・まだまだ、パーフェクトな時雨となった彼の物語は始まってもいませんので・・・できれば楽しみにしてもらいたいと思います。

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