しょのじゅう 第十回記念 司会 賢治と美奈
今回は休憩みたいなもので短いです。
「こんにちは、皆様方。記念すべき?十回目、司会をさせてもらいます霜崎 賢治です。」
「休日だったのに呼び出されちゃった時雨様のメイドの美奈です。」
「まぁ、なんというかですね。目標の半分が終わったわけですが・・・」
「え、後半分で終わるんですか?」
「いえいえ、あくまで目標ですよ。実は一〜二十まではぶっちゃけ、旧時雨君の罪を償ってもらうんですよ。全く、世界を滅ぼすなんて誰もしないと思いますがね。あの人はやっちゃいましたからねぇ。」
「・・・そうなんですか・・というより、そんなこと言っていいんですか?」
「いいのいいの、別に減らないからね。そして、彼は今かなり苦しんでいます。ええ、そりゃもう、いろいろと・・・記憶が戻ったらしいですからねぇ。だけど、彼はいずれ消える運命なんですよ。」
「ええ!!」
「いや、そりゃもう、あの時もあまり彼の血を飲まないほうがいいといったのに、がぶがぶ飲んだらしくて・・・せっかく僕がほどこしていたものまで駄目になったらしく、覚醒しちゃったらしいからね。それに・・・」
「彼の話が終わるまで私が頑張ります!!それでは、私の過去話でもどうぞ。」
私の名前は美奈と申します。
苗字はしいて言うなら霜崎でしょうか?もと、というか今でも私は命と言うものを持っていません。
実の所は私は人形です。
製作者は霜崎 賢治という人物で、私を作った理由は『ただ、なんとなく』だそうです。
その後、私は彼の家にいる沢山のメイドさんたちの手伝いをすることにしました。
掃除、洗濯、料理、筋トレ・・・最後のは冗談として、私は彼の家のメイドさんとなっていました。
そして、賢治さんからはその後、色々と教わりました。
この世界の事、魔界、天界、天国、地獄。
その他にも、人を騙す方法、あっち向いてほいの必勝法、落とし穴の作り方・・・・様々なことを学びました。
今思えば後半のものは私にとっては全く必要な物ではなかったと思います。
数年たったある日、賢治さんは私と一緒に喫茶店に行きました。
そして、まだ年の若い賢治様はそこのウェイトレスさんたちとあろう事か重火器を取り出して大暴れ。昔からの因縁らしく、店はぼろぼろ、賢治さんは私を見捨ててかえって行っちゃいました。そして、私に残された道は一つしかありませんでした。テーブルの上に乗っていた紙には『壊した分はこの子を使ってください。』と書かれているだけでした。
そして、それから数年たったある日、賢治さんと久しぶりにあった私は彼に剣を向けました。彼は言いました。
「オーケー、まずはその大根をスーパーの袋に入れよう。周りの人がびっくりしてるから・・・よし、今日から君は自由だ。先にいっておくけど、君の残り稼働時間は後、数年だ。それまでこの世界を満喫してくれたまえ。」
人間で言うなら残り寿命を宣告されたようなものでした。全く、酷い人物です。そして、私はその後も彼からいろいろ言われてとうとう、決心しました。死ぬ前に歴史に残る偉大なる人物になろうと・・・
それから、私は数ヶ月をたててどうしたら歴史に残るか考えました。
ずばり、世界を征服する事です。
今勤めている所をやめて私はとある喫茶店に勤めました。
そこの喫茶店はちょっと変わっていました。
そこの喫茶店はメイド喫茶でそりゃもう、珍しいのに客は全く来たりしなかったのですが唯一の客はあの賢治さんでした。
彼がきたときは店のみんなが大暴れ。
ただ、暴れる所は別の所でしたが・・・・どっちにしても彼に勝つことは出来ませんでした。
そこのメイド喫茶はそういうこともあるらしく・・・どこかで見たような物騒なものの使い方を教えていました。
その後、私はすぐさまその使い方をマスターしてそのメイド喫茶のメイド長の補佐となることが出来ました。
そして、私の目標もも少しで達成できると言うものでした。
しかし、あの時私の目標は変わってしまったのです。
時雨様とはじめて相対したとき、私は自分の血が踊っているのに気がつきました。いや、一応人形ですけど血は流れているんです。彼に負けた後の私は彼を鍛えることが楽しみとなりました。もう少しで稼働時間が終わりを迎えてしまいますが、それまでには時雨様に最後のお願いをしておきたいと思うんです。
ずばり、世界を征服して欲しい。
だから、私はこれからも時雨様のメイドでいたいと思います。
「・・・・・だが、彼は結局の所今の時雨君を見守る存在となったんだ。」
「ふぅ。ようやく賢治さんの長話も終わりました。」
「まだまだ、僕は物足りないからあの名刀との出会いを話してあげようじゃないか。」
「『紅陽』と『蒼月』ですね。まぁ、賢治さんはそういうのが大好きですね。未だに部屋にはいろんなゴミが飾っているんですか?」
「ゴミじゃなーい!あれは僕の宝物なの!!」
「そうですか、それはすいませんね。」
「さ、気を取り直したところであの二つの刀のお話をしたいと思います。」
昔々、あるところに賢治と言う十歳ぐらいの少年がいました。
とても美男子で頭もよかったのですが、(嘘は言わないで下さい!!)(わかったわかった!!けど事実だからしょうがないじゃないか!)腹黒くて誰も友達になってくれませんでした。
友達が出来なかった彼は趣味をもつことにして、本屋に行きました。そして、彼の運命を変える一冊の本とであったのです。その名前は『赤ちゃんでもできる簡単な名刀の作り方』というなんとも胡散臭い本でした。(そんなの買うなんて馬鹿じゃないんですか?)(さっきからうるさいな。ちょっとは黙って欲しいものだ。)
「すいません、これ下さい。」
「あ、はいはい、20850円になります。」
そのとき、少年は思った。金持ちに生まれてよかったと・・・(うぉい!それは酷いだろう!!)札の中で一番高価なものを三枚出してレジのお兄さんに渡す。
「いい買物したぜ。」
少年はそう言って店を後にするのであった。
「アーやっと売れたよ。あんなもの買ってどうするのかなぁ。」
その本はかなり前のもので、そのレジのお兄さんに色々と教えてくれた店長さんの一代前の人のときからあるものだった。
家にかえった賢治少年は早速その本を読み始めた。
しかし、漢字が多すぎてまったく分からず(うわ、やっぱり十歳なんですね。
)読める所はないか探した。何しろ漬物石並みの重さで、厚さはホットケーキを十二枚ぐらい重ねているぐらいの大きさなのだ。気がついたらあたりは真っ暗になっていたが、少年は構わず続けた。そして、最後から一ページ目と二ページ目(まずは目次を読みましょうよ。)(えーい、僕は目次なんて物は必要ないんだよ。)
の所にひらがなでかかれているところを発見した。そして、賢治少年はそこに書かれている材料を探しに行くことを決心したのだ。(何て書かれてたんですか?)(えっと、たしか・・紅いクレヨンと蒼いクレヨンだったかな?)(・・・・・)幾度となく文具店に足を運んだが、定員の反応は現実的だった。
「僕、ごめんねぇ。紅いクレヨンと蒼いクレヨンは今品切れ中なの。」
賢治少年はそれにも負けず、その材料を求めて、魔界に旅立つのであった。
(凄いですね、たかがクレヨンを求めて旅に出るなんて・・・)そして、そのクレヨンを持っているという魔王を倒すために旅に出たのであった。(た、たいへんだぁ!クレヨンごときの為に打倒魔王まで行きますか普通?)まず、賢治は魔王の娘を誘拐(とうとう犯罪までやったんですね。)悲しむ魔王一家に対して紅いクレヨンと蒼いクレヨンを要求したのであった。
「おらー、早くクレヨンを渡さないとお前の娘の命はないぞ!!」
「く、なんてあくどいんだ!娘を、ハデスを返しなさい。」
「ははははは!なんとでも言いたまえ!『正義』のためならどんな『悪事』を働いてもいいのだ。」
なんとも酷いことを連発している賢治少年はその後、クレヨンを自力で奪って逃走。
人質となっていた魔王の娘の一人は顔にタヌキの落書きをされた状態で見つかったそうだ。
これに激怒した魔王は魔王軍を動かすことを決定したのだ。
そして、念願の材料を手に入れた賢治少年は早速、名刀を作り始めた。
とても利口で手先の器用な賢治少年は失敗する事無く、名刀を二本作り上げたのだ。
しかし、出来上がったときに魔王軍に賢治少年が魔界で隠れ家にしていた場所がばれてしまった。そして、あたりは騒然となり、囲まれてしまった賢治少年だが、できたてほやほやの二本の名刀を使ってやってきた魔王軍を蹴散らした。まぁ、切りまくったのでその名刀はもはや名刀ではなくなり、その刀は意志をもつようになった。そして、なんともはや、賢治少年がそれを触ろうとすると
『触らないで下さい!賢治様!!』
『・・・・・触れないで下さい。』
といわれるようになったのだ。
仕方なく、賢治はその刀を鞘に収めて、紅く刀身が光る方を『紅陽』、蒼く鋭く光る方を『蒼月』と名づけたのであった。しかし、鞘に収めているのにあの二本の刀は賢治に毎日のように文句を言ってくるのだ。それをうるさく思った賢治は知り合いの冥土にそれをプレゼントすることにした。(それって私ですか!!)せいせいした賢治はその後、二度と名刀などを作ろうとしなかったそうだ。
「うん、なんとも涙をそそる話だったねぇ。」
「どこがですか!!」
「うんうん、あ、そうだ。ちなみに魔王軍の総大将の魔王は討伐しておりませーん。」
「え、なんでですか?」
「途中まではいっそのこと魔界をいただこうかと思ったんだけど、意外に魔王って仕事が多いんだよねぇ。だからめんどいんだよ。」
「・・・・無気力人間。」
「ま。なんとでも言ってくれたまえ、僕は今の生活でいいからね。」
「はぁ、と言うよりどうするんですか?まだ何か話すんですか?」
「いやいや、今回はただ単に十回目だったからね。ただそれだけだよ。それでは皆様、また今度!!司会は霜崎 賢治と・・・」
「冥土の美奈でした!」
ここまでくるのに長かった。そんなことはさておき、どうだったでしょうか?面白かったら幸いです。これからも頑張っていきたいので出来ましたら応援よろしくおねがいしますね。