さ よ な ら
ふおおおおお
もうすぐで、ふおおww
すごい強い風の音が、屋上に続く扉から聞こえた。
「すごい音だな」
僕は、もうすぐで屋上に着くところだった。
ここしか思い当らなかった。ここにもいなかったら、諦めて、教室に戻ろうと考えていた時だった。
「――――― っえ」
「(……っえ? 今の声って愛海?)」
良かった。どうやら僕の考えも当たって――――――
「俺の恋人になってくれないか?」
「(…………この声は……悠一?)」
僕は、息を殺して、ゆっくり階段を上り、少しだけ扉を開けた。
僕は、その時から自分の度胸のなさを一生悔やむことになるだろうと思った――――――――――――
「………悠一くん」
彼女が、そう言ったのが聞こえると………、次の瞬間、目の前にいる二人が重なった……
屋上へ続く階段に和樹の姿はなかった ―――――――――
―――――――――――――――彼は、心のない人形のように、自分の教室へと向かっていった。
………………………………………
………………………………………
少しして、悠一と愛海は一緒に帰ってきた。
「二人ともおかえり」
平林さんが二人に声をかける。
「二人ともどこ行ってたの? 一応探したんだよ?」
僕がそう言うと、愛海は黙って俯いた………
「悪い悪い、いろいろあってな?」
悠一がそういうと、愛海が僕のところに来た。
「ちょっといいかな?」
「どうしたの? 愛海?」
その時、彼女のことをちゃんと見ることが出来なかった。
ふと周りを見ると、悠一が残っているみんなを呼び、外で最後に遊ぼうぜっと言って、出ていく。
「和樹と愛海は後からちゃんと来いよ?!」
そういって、教室に残ったのは僕と愛海だけになった。
「あ…あの和くん?」
「……なに?」
僕は、窓からオレンジ色に輝く空を見つめている。
「あのね……聞いてほしいことがあって…」
……もう、知ってるよ?! そんなこと!!
「あぁ、わかってる……」
「……っえ?」
僕の反応に驚いた様子だった。
「わかってる……って?」
僕は言いたくはなかったけど、信じたくはないけれど、
――――――――――――――――言った
「愛海と悠一って付き合うんでしょ?」
「っえ?!」
彼女は驚いていた。
もう知ってるんだよ? あの時、僕はいたんだから…
「おめでとう……お祝いするよ? ……そういうことなんでしょ?」
「えと…えっと……」
僕は笑顔が壊れそうだった。けど、必死に耐えていた。
「確かに悠一くんには……その……こくはく…されたよ? ……っでも―――」
僕は、半分聞くか聞かないか、
―――――― さよなら ―――――――
そう、言いながら、愛海の横を通り過ぎて行った。
よろしくです ノシ