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~片想い~  作者: 春風 飛翔
片想い
10/27

・・・そこにいたのは・・・・・

・・・・・・・・・


・・・まったく・・・何なんだろ? 無理やり教室を追い出されたって感じだったけど・・・


階段を下りて、一階まで来た・・・あとは職員室に行って・・・行って・・・


・・・・・・・


・・・・行って・・・何すればいいんだ? 僕は・・・


・・とっ、とにかく職員室まで行くか・・・


そう思って、僕が廊下を歩き始めると・・・彼女の声が聞こえた・・・気がした・・・


そう、気がした・・・だって、送別会が始まるのは、九時半からだぞ?


・・・空耳だよな・・・うん・・・


―――――――でも・・・


僕が聞いたその声は―――――――気のせいでも  空耳でもなくて――――

―・・・


―――――彼女は・・・そこにいたんだ・・・―――――


?:「おーい? 和くん?」


ふり向くと・・・いた・・・


・・・長く煌めく髪・・・優しい・・・大きな瞳・・


・・お淑やかなその雰囲気・・・お姫様みたいに微笑んでいる・・


?:「・・・ねぇ、和くん・・・無視しないでほしいな・・・?」


――――――――――つっ!!


和:「あぁ、ご・・、ごめん」


・・・彼女の姿に見とれて、僕は返事をすることを忘れていた。


和:「おはよう、愛海」


愛:「うん・・・おはよう和くん」


え~っと・・・・


和:「確か愛海の場合・・・集合は九時半だったよね?」


僕たちは、愛海に九時半に学校へ来るように伝えてあった。


・・・まさか、愛海が一時間も間違えるとは思えない・・・


愛:「うん・・・そうだよ? 九時半に来るように言われてた・・・

・・・でもっ」


・・・でも?


愛:「今日・・・ううん、昨日もなんだか・・よく眠れなくて・・・今日も朝は早く起きちゃって・・・家でもじっとしていられなくて・・・、和くん・・・和くんたちが、朝早くに準備するって、聞いてたから・・・だから・・・」



愛海は、笑ってこう言った・・・「来ちゃった」・・・と。


・・・・・愛海――――――


和:「そっか・・・なら一緒だね」


愛:「・・・一緒?」


和:「うん。・・・・実は僕も昨日は眠れなかったんだ・・・そして今日は珍しく早く起きちゃったんだ・・・」


・・・・・・・・・


・・・・・・


僕たちは、お互いに微笑んだ・・・・


・・・・・


・・・・


・・・っと・・・何かしに来たんだよな・・・えーっと・・


・・・っそう! 職員室に行かないと!


ちょっと待っててと愛海に言って、職員室に向かおうと歩きだすと・・


愛海が僕を呼びとめた。


愛:「もしかして、職員室に行こうとしてる?」


頷くと愛海はクスッと笑って言った。


愛:「もしかして凛から頼まれた?」


・・・・・・? どうしてわかったんだ?


愛:「もしそうなら・・・ううん、きっとそうだと思うから言うけど、用事があるっていうのは嘘だと思うよ?」


・・・・へっ? ・・・というか用事があって来たとは・・まだ言ってないんだけど・・


和:「・・・どうして愛海にわかるんだ?」


愛:「どうしても・・・だよ。親友の私が言うんだから、きっとそうなの」


・・・なんたる理由、根拠だ・・・・・でも、半ば強引に押し出されたしな・・・悠一と二人で話したかったのかもしれない・・・


・・・・それじゃあ、戻るかな・・


和:「それじゃあ愛海、Sクラスに行くか?」


僕がそう言うと、愛海は首を横に振る・・・


そして・・・


愛:「あのね・・・。ちょっと、私に・・・付き合ってくれませんか? 和樹・・・くん・・」


・・・上目遣いで言われちゃ・・・僕も嫌とは言えないし・・・特に断る理由もないから、愛海に付き合うことにした。


それじゃあ、と愛海は僕の手をとり・・・歩き出した・・・。


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