・・・そこにいたのは・・・・・
・・・・・・・・・
・・・まったく・・・何なんだろ? 無理やり教室を追い出されたって感じだったけど・・・
階段を下りて、一階まで来た・・・あとは職員室に行って・・・行って・・・
・・・・・・・
・・・・行って・・・何すればいいんだ? 僕は・・・
・・とっ、とにかく職員室まで行くか・・・
そう思って、僕が廊下を歩き始めると・・・彼女の声が聞こえた・・・気がした・・・
そう、気がした・・・だって、送別会が始まるのは、九時半からだぞ?
・・・空耳だよな・・・うん・・・
―――――――でも・・・
僕が聞いたその声は―――――――気のせいでも 空耳でもなくて――――
―・・・
―――――彼女は・・・そこにいたんだ・・・―――――
?:「おーい? 和くん?」
ふり向くと・・・いた・・・
・・・長く煌めく髪・・・優しい・・・大きな瞳・・
・・お淑やかなその雰囲気・・・お姫様みたいに微笑んでいる・・
?:「・・・ねぇ、和くん・・・無視しないでほしいな・・・?」
――――――――――つっ!!
和:「あぁ、ご・・、ごめん」
・・・彼女の姿に見とれて、僕は返事をすることを忘れていた。
和:「おはよう、愛海」
愛:「うん・・・おはよう和くん」
え~っと・・・・
和:「確か愛海の場合・・・集合は九時半だったよね?」
僕たちは、愛海に九時半に学校へ来るように伝えてあった。
・・・まさか、愛海が一時間も間違えるとは思えない・・・
愛:「うん・・・そうだよ? 九時半に来るように言われてた・・・
・・・でもっ」
・・・でも?
愛:「今日・・・ううん、昨日もなんだか・・よく眠れなくて・・・今日も朝は早く起きちゃって・・・家でもじっとしていられなくて・・・、和くん・・・和くんたちが、朝早くに準備するって、聞いてたから・・・だから・・・」
愛海は、笑ってこう言った・・・「来ちゃった」・・・と。
・・・・・愛海――――――
和:「そっか・・・なら一緒だね」
愛:「・・・一緒?」
和:「うん。・・・・実は僕も昨日は眠れなかったんだ・・・そして今日は珍しく早く起きちゃったんだ・・・」
・・・・・・・・・
・・・・・・
僕たちは、お互いに微笑んだ・・・・
・・・・・
・・・・
・・・っと・・・何かしに来たんだよな・・・えーっと・・
・・・っそう! 職員室に行かないと!
ちょっと待っててと愛海に言って、職員室に向かおうと歩きだすと・・
愛海が僕を呼びとめた。
愛:「もしかして、職員室に行こうとしてる?」
頷くと愛海はクスッと笑って言った。
愛:「もしかして凛から頼まれた?」
・・・・・・? どうしてわかったんだ?
愛:「もしそうなら・・・ううん、きっとそうだと思うから言うけど、用事があるっていうのは嘘だと思うよ?」
・・・・へっ? ・・・というか用事があって来たとは・・まだ言ってないんだけど・・
和:「・・・どうして愛海にわかるんだ?」
愛:「どうしても・・・だよ。親友の私が言うんだから、きっとそうなの」
・・・なんたる理由、根拠だ・・・・・でも、半ば強引に押し出されたしな・・・悠一と二人で話したかったのかもしれない・・・
・・・・それじゃあ、戻るかな・・
和:「それじゃあ愛海、Sクラスに行くか?」
僕がそう言うと、愛海は首を横に振る・・・
そして・・・
愛:「あのね・・・。ちょっと、私に・・・付き合ってくれませんか? 和樹・・・くん・・」
・・・上目遣いで言われちゃ・・・僕も嫌とは言えないし・・・特に断る理由もないから、愛海に付き合うことにした。
それじゃあ、と愛海は僕の手をとり・・・歩き出した・・・。




