表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
道連れ転生  作者: 凡鳥工房
13章.目指すはスローなセカンドライフ編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

153/157

13-09.ガーディアンの登場



 二度あることは三度ある。


 コンステラリス伯爵家より、適当なスキルオーブを所望するとのご依頼が舞い込んだ。


「仲介業でもはじめたのか?」

「噂に実績が伴って、断り切れないのかもしれませんね」


 なお伯爵様的には、領主化に取り組む血縁者、ジュスティーヌへの資金援助込みのご厚意半分。

 もちろん貴族的な各種取引に有効なブツだが、ドロップ品は時の運。ダメでもしょうがないとも思っている。


 でまあ、あるのだ。まだ。処分したいブツが。


 クラン『アスタリスク』の面々には、遠い地での絶叫は聞こえない。

 身体強化系に武術系、複合魔術の計7点を金貨3600枚でお買い上げいただいた。



   ☆



 春恒例のお誕生日おめでとうの会は、ジュスティーヌの開会の音頭で始まる。

 そのジュスティーヌも今年度で28歳、メンバー全員に言えることだが、若さに任せて突っ走れる歳ではなくなってきた。


「年長さんは年少さんの面倒をみてね。それはともかく、今年も元気にやっていきましょー」

「「おー」」


 すでに5人は学院の寮に行ったが、ダイニングには30人近い子どもたちがひしめいている。

 マリエルの子もなんでかんでクランハウスで過ごすことが多いし、イベントへの出席率は高止まり。こちら探索者クランのコミュニティと、事業を拡大しているマリエル財閥系のコミュニティとの両属という微妙な立場ではあるけれど、仲間外れは泣いちゃうもんね。


 さて、春分祭週と、そして夏至祭週の祝福の儀では、ジャルマリスの子が【極限集中】、プリムローズの子が【土魔術】の加護ギフトを授かった。


 学院本科に進むまでの英才教育もノウハウが蓄積されてきており、おおむね1年間、父母集団による予習や手ほどきが行われる。

 祝福の儀を経れば探索者組合に登録できるので、追い込みのダンジョン実習も追加でドン。


「いいか、一番怖いのは人間だからな。絶対に1人になるな」

「なんか変だと感じたら、まず、逃げろ。何もなければ笑い話にできる」

「えー、というわけでこちらが通称ファンガス農園の見張りのおいちゃんさんです。挨拶~」


 一部、英才教育がすぎませんかねえ?


 え? 避難所?

 手羽先の包みを懐に入れるおいちゃん、あんたそれでいいのかい。



   ☆



 春季・夏季の領主化事業は、計画の見直しと次の段階へステップアップをやった。


 案件が動き出して2年目の半ば、初期の10平方km伐採計画の半分は超えただろうということで、今後の見通し、目標を設定したのだ。


 そのために、まだ雪の残るうちから棒道林道グリッドの各所に赴き、高低差や小川など補足したより詳細な地図に更新。

 地形を踏まえた領内街道の敷設計画と、4人の爵位持ち各自の管轄する村集落の場所選定を行った。


 一等地は谷筋の狭い盆地になる。

 日本の戦国時代をかじった転生三人組にしてみると、『なんとか谷』に割拠する国人領主ってなこんな感じかなという印象。


 実はお上としても、そういう谷地の一つ二つを騎士領として認めるつもりだったのだが、代官様の伝達ミスとクラン『アスタリスク』のもらえるもんは全部精神の合わせ技で、騎士領としてはあり得ない広さの開発が進んでいる。


「ヨッシーは東側拠点改め放牧村で決定だし、ジュスティーヌもそこから西に進んだ盆地がいいだろ」

「なるべく領の中央に置くべきだしねえ」


 ジュスティーヌのボーヴァルディ家管轄は、現在、前進拠点の一つを置いているあたりで確定。

 ヨッシーの牧場から西に直線なら10km強、道なりだと15から20kmくらい。一日向こうのお隣さんといった距離感になるだろう。


 近くに温泉が湧いていたのも大きい。整備させた露天風呂は人足たちの慰労に役立っている。


 南側拠点は開発余地が狭いので、領地境の関所運用どまり。

 強いて言えば、腹心のヴィオラを置いておく感じか。


 ラッドは南東部のアチュール川と支流との合流地点、セバスは北東部のバンド川に接するところを、それぞれ暫定の予定地とした。


 いずれも領の境に位置し、川湊による船運が見込める立地である。

 ただし、どちらも既存街道との接続に難があり、領内街道も長くなるため、あくまで予定地、候補にとどまる。


「俺のとこも、重機を使って水路を確保すれば川をつかった船運できそうだけどな」


 アクヤの街からのアクセスは、ヨッシー管轄の放牧村が一番だ。



   ☆



 ダンジョン活動(ダン活)、春季は通常通り。

 夏季の前半、1回目のダイブで異変が起こった。


 なんと、第十層に入った途端、見せつけるように島が降下してきたのだ。


「ラピュタは本当にあったんだ!」

「……あー、ごめん。ちょっと反応遅れたわ」


 突っ込み不在でボケ不発のヨッシーだが、なぜか満足そうであった。


 転生三人組に、ユイとマリエル、ジュスティーヌとヴィオラの7人パーティが見つめる前で、沿岸に、ちょんと接するように降着。


「誘われている!」

「浮遊島には手ごわい敵がいる、でしたっけ?」

「伝説ではね」


 ぐるりで100メートルもないだろう。

 起伏のない地表面は、もっぱら雑草か芝か、丈の低い草でおおわれている。


 敷石で舗装された道が台形状の建物の中央に続き、ちょっと大きなひさしの奥に、両開きの大扉が待ち受けている。

 表札めいた額には『ガーディアンルーム』と記されている。


「守衛室と書くと一気に格が落ちる不思議!」

「通用口っすかぁ」

「やめーや」


 ヨッシーとラッドのボケにセバスが突っ込む。他のメンバーも、意味はいまいちわからねど雰囲気で笑みがこぼれた。


「さて、緊張もほぐれたところで、行くんだろ?」


 ラッドが、高度な計算に基づくギャグなのだよとでもいった風に扉を指さす。もちろん全員、異存はない。


 準備を整え扉を開け、短い通路の先は、直径100mはありそうな吹き抜けのグラウンドとなっており、中央に、重厚な鎧で全身をまとい、大きく、分厚い盾を持つ何者かが立っていた。


 こちらを認識したのか構えをとった瞬間に、用意万端のAK-47からためらいのないフルオート連射。


 若干一名は、アメリカン・ギャング映画で有名なトンプソン銃にこだわったが、「弾種ふやすんじゃねぇボケ」の一言で却下され、歩兵用突撃銃はAK-47で統一されている。

 なおトンプソン銃にこだわった若干一名は、そそくさと簡易陣地を展開しながら走る。


 各自遮蔽に入り、「スイッチ!」「リロード!」の合図を交わしあい弾幕は切らさない。


 特に何もできないまま蜂の巣にされ、恨みがまし気な目を向けたような気がするが、ガーディアンは倒れ、霧散していった。


「勝ったの?」

「狩ったな」


 警戒しつつ探索すると、壁際に一段の敷石があり、その上に宝箱がのっていた。


「宝物の守護者ガーディアンだったのか」


 島を出たら、また浮上して空へと帰っていく。


 なお、2回目のダイブはウキウキの10人編成で臨んだが、浮遊島は現れなかった。



   ☆



 浮遊島および宝物ガーディアンとの遭遇というイベントの発生したダンジョン活動。


 春・夏通して、レベルは転生三人組が93、アドルフ、フィアフにユイ、プリムローズが91、ほかは90に上がったか横這い。


 オークションには出品40点、金貨3605枚。

 特記レアもんは収納の腕輪で、性能差はあるが、実に19個目になる。


 また、宝箱からは『バルディッシュ』と名のついた長物ポールウェポンを入手。

 鑑定の巻物によるとレアリティは過去最高で、スーパーゴッドレアとでも言っておこうかな。


「伝説に出てくる武器の名前なんだよなあ」

「さすがに実物ってことはないと思うが……」


 レプリカだね。性能は一切変わらないけど。


「浮遊島、1回目にしかなかったのは、リポップ時間か?」

「春までと夏からの違いって、全員レベル90以上になったことくらい?」

「それか?」


 それなんだ。


 パーティメンバー全員が『地竜討伐証』と『ダイオウイカ討伐証』を持ち(ホルダー)、かつレベル90以上の場合、浮遊島が降下してくる。エクストラBOSSってやつです。



   ☆



 年度内の話としては訃報から。


 冬の始まりに、家具木工組合所属のマルク元親方が亡くなった。

 実子のマクダネルに親方株を譲って後見に退いてからも、拡大した職人系コミュニティのまとめ役で忙しそうにしていたが、70も近い大往生だった。


 冬の終わりには、ユイの母が死去。享年51歳のはずだとユイは言う。

 同居したのは半年足らずだが、目が不自由になり、生きがいの仕事も失い、子も孫も順調だし、生きる気力が減っていたのかもとセバス母の談。


 ちなみに、ヨッシーやオルガたちがお世話になった養護院の院長も、だいぶ前に亡くなっていたらしい


「縁が切れてるからなあ」

「「だねー」」


 ヨッシーやオルレア、ジャルマリスたちのことを薄情というなかれ。

 養護院を経営する神殿への献金はしているので、十分に義理は通している。


 これまた人の死と絡むが、おやっとなったのがかつての学友、ドゥーレン・デ・リメル氏からのお手紙。

 もみあげの印象が強い彼だが、なんとリメル男爵家を継いだそうだ。


 三男だったのだが、はやり病で親と上兄ズがぽっくりいったらしい。


「こういうのも、あるんだろうな」

「おめでとうと言っていいのか悪いのか。それが問題だ」


 魔術的手段はあるけれど、そのせいでかえって医療技術が進まない弊害もある。

 ケガや毒にはともかく、病気には意外と弱い社会なのだ。


 このほかにも生まれたり、死んだり、嫁いだり、娶ったり。

 人それぞれに営みがある。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
マルク親方はこの作品の名バイプレイヤーでしたね。 自認が大人であろう転生三人組に現世の世知を教えてくれる導き手でもあったように思います。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ