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妖魔執行人 〜永永無窮の呪い〜  作者: 冬時雨
成崎姉妹は普通じゃない編
8/11

第六話 仮入隊……?

夏夜先輩が喋ったあと、ポンパドールの人、小澄那月(こすみなつき)さんという名らしい、小澄さんが中心となってまずは自己紹介から始まった。


「あたしは遊馬七瀬(あすまななせ)! 七瀬ちゃんって呼んでいいからね!」


ハーフツインな明るいギャルお姉さんは遊馬七瀬さん。

七瀬ちゃんか、呼んでは見たいけど恐らく年上の人だし呼びずらい。ここは我慢して七瀬さん呼びで行こう。


「初対面にいきなりその呼び方は無理があるだろ……、俺は不破悠利(ふわゆうり)だ」


悠利さんの自己紹介が終わると、小澄さんはパンっと手を叩いてから依蕗姉を見た。


「んでー、依蕗はもう自己紹介したの?」

「無線で聞いてたんじゃないの?」

「そういえばちゃんとしてたな」


無線繋がってたってことは、小澄さん達が来るまでの間の会話は全部聞かれてたってこと……?

聞かれて困るような話は全くしてないけど、無線繋がってたと思うと何か失言をしていなかった急に不安が込み上げてきた。


「私達の自己紹介は……」

「全員名前知ってる、どこの所属でどの階級かも全部知ってる」

「ですよね……、あはは……」


私達のことはともかく、夏夜先輩のことは無線が繋がっていたなら納得だ。


「でだな、夏夜くんは異能を持ってるってことで、もう少し詳しく話を聞かせてもらいたいんだけど、壬隊の本隊舎に来てもらいたんだけどいいかな?」


「今から……ですか?」


夏夜先輩は困惑している様子で言った。

そりゃ困惑もするよ、今夜中の三時なんだから!!


「うん、今から。ちなみにお前達もな」


夏夜先輩だけじゃなくて、私達も今から隊舎に来いと聞いて、依蕗姉と話してからずっと不貞腐れていたモモも、あっけらかんとしていた。


「え、本当に今からですか?」


滝が疑うようにもう一度聞いた。


「そう、今から」


聞き間違いはなかった。


「ほらー! 那月が全部すっ飛ばして話すから、皆困惑しちゃってるじゃーん!!」

「今のは流石に直球すぎるよ」

「そんな冷めた目で見られると、さすがの俺でも傷つくぞ依蕗」

「夜中だぞ、だいたい親にはどう説明……、この三人はそんな心配不要だったな」


悠利さんは私と滝モモの顔を見てから言った。

私達三人は執行官家系の生まれなんだから無理もない。親がダメだと言う理由が無さすぎる。

ダメというか、何したんだと怒られる方が容易く想像ができた。


モモが頭を抱えながら何かブツブツと言っている。と思ったら急に大声を出した。


「俺はぜってえに行かねえ! 本隊舎になんか行ったら兄貴がいるじゃねえかよ!!」


モモには六歳上のお兄さんがいて、そのお兄さんは壬隊副隊長をしている。だから当然本隊の人が住んでいる本隊舎にはお兄さんがいた。


モモ曰く、兄貴は余計なお世話ばっかりしてきてウザイとのこと。


「そうだよな、ウザイお兄さんがいるところなんて行きたくないよな、家に帰ってもう寝たいよな、わかるわかる」


小澄さんはモモに近づいて、モモの肩に片腕を回して共感めいたことを言いながら慰め始めた。


「「「一人っ子じゃん」」」


するとすぐに依蕗姉、悠利さん七瀬さんがツッコミを入れた。


わかると言いながらもあの人一人っ子なんだ……。


「なんて言われても、俺は絶対に行かねえから!」



超絶反対しながら抵抗するモモを小澄さんと一緒に、壬本隊舎に向かう車に無理矢理乗せた。

妖魔の相手をするよりも大変だった気がする。


車は十人ぐらい乗せられる大きさで、全員で乗り込んでもあと二、三人は乗れる余裕があった。

運転手の人は壬中隊の人らしいけど、見たことあるようなないような人影が薄い人だった。

一つの隊の全体の人数はザッと百五十人いるかいないか程度ぐらい。だから、見たことある人の方が多いはずなんだけど、あの運転手の人は記憶に全くない。


「さっきから運転手の人見て、どうかした?」


たまたま隣になった依蕗姉に気づかれてしまった。


「いやー、あの人見覚えない気がして……」

「当たり前ですよ、僕は壬に移ってきたばかりですから」


運転手の人は聞いてたのか突然喋りだしてびっくりした……。


「そうだったんですね」

「そんなに畏まらないで下さい、恐れ多いです。成崎あおい様」


運転手の人は丁寧な口調で返してきた。

いくら無能だと言われても、成崎には違いないから皆こうして表では丁寧に話しかけてくる。この人は純粋そうでそういう人には見えないけど、人は見かけによらぬもの。

それに様で呼ばれるのはあんまり好きじゃない。私は成崎ってだけで別に偉くもなんでもないし。


外の景色を見ていると、気づけば夜の闇を掻き消すぐらい明るい光に包まれたネオン街まで来ていた。


「ネオン街まで来ましたので、あと数分ぐらいで本隊舎に着きます」


運転手の人は教えてくれた。


近づいて来たことにより、車に乗せられてから大人しくなっていたモモがソワソワとし始めた。夏夜先輩も眉間に皺を寄せて不安そうにしている。滝は車の揺れがちょうど良かったのか寝ている。


「雨宵くん! そんなに体強ばらせて緊張しなくてもいいよー!! うちの隊の人達は優しい人ばっかりだから!」

「あ、はい」


夏夜先輩の斜め後ろに座っていた七瀬さんは明るく声をかけた。

あれ、そういえば本隊って今何人いたっけ。この前までは猫の手でも借りたいぐらい人がいなくて本隊は三人で回してると聞いていたけど、依蕗姉達が来たってことは他にも増えてるのかな。

ちょっと気になったから依蕗姉に聞いてみることにした。


「依蕗姉、今本隊って何人いるの?」

「私達四人含めて七人だけど、隊長は今主張に行ってるから、帰ってくるまでは六人かな」


普通本隊って十人以上必要なはずなのに、現状六人で回してるのやばすぎる。壬隊ってこんなに人手不足だったけ……。


「あーでも確か、秀臣さんが明日庚隊から一人移ってくるって言ってたから、明日からは七人になる」


七人になっても十分人手不足……。

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