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妖魔執行人 〜永永無窮の呪い〜  作者: 冬時雨
成崎姉妹は普通じゃない編
3/11

第一話 会長にバレた

近代都市天明(てんめい)に住み、もうすぐ高校二年生になる普通の女子高生!

ではなく、私成崎(なるさき)あおいは、全く普通ではない。

どう普通じゃないかと言うと、妖魔祓いの家系しかも異能持ちの家系に生まれ、幼い時から妖魔祓いのための教育と訓練を受けて、16歳の時に対妖魔特務部隊、通称一夜に所属。

年の離れた姉は優秀で比べられて。

通常七〜八歳頃に出るはずの異能も未だに出ず。

親の期待に周りの期待も裏切り続けている所存。


小学六年生の時、朝家を出ると道路にはキラキラと輝く中学生や高校生がいて、普通とはなんだろうと考えるようになった。


だからこそ、中学も高校もわざと平均的な普通の所に通い、執行官である事をひたすら隠して過ごしていた。


なのに___


「成崎さんって、……もしかして執行官なの?」

「えっとー……、もしかしてもしかしての執行官かもしれないし、違うかもしれません。それよりも夏夜(なつや)先輩はどうして深夜に学校いるんですか?」


今私は深夜に、自分の通っている学校に来ている。理由としては、妖魔がいるかもしれないから見てこいと任務が入ったからだ。


普通になりとは思っているけど、別に執行官が嫌になった訳では無いから、今もずっと続けてはいる。


私が学校に来ている間に妖魔の姿は一切見てもないし、気配すらも感じたことないのに。

春休み中だから、その間に妖魔が出現したのだろうか。

そう思いながら、教室を一室ずつ妖魔が居ないか確認して回っている時だった。


生徒会室に来てみたら何故か生徒会長である雨宵夏夜(あまよいなつや)先輩が居たのだ。

そう、もう一度言おう。生徒会長でもあろう人が、春休み中の深夜の学校にいたのだ。


あと、私は学校では一夜に所属している事を、本当に一切一言も言ったことは無い。


「ちょっと探し物をね……。で、執行官ではないっとこと……?」

「えぇーっと……」

「それじゃ、一夜ではあるって事?」

「……それは」


声を遮るように生徒会室の外から大声が聞こえてきた。


「あおいーー! どこ行ったのー!」

「おーい! あおいーー!! 妖魔見つかったかー?」


よく知る女の声と男の声だ。

後半の声はとてつもなくクソデカボイスだった。妖魔も驚く程に。


扉の隙間から二人が見えたからじっと見ていると、向こうも気づいてこっちに走ってきた。


「どこに行ったかと思ったらこんな所にって……、雨夜先輩じゃないですか。どうしてここに……」

「滝ーー、あおい見つかったかー……って、えっ!? 雨夜先輩……!?」


私が生徒会室のドアを開けた時とまるっきり同じ反応だ。

二人の視界からは手前に私がいたから、後ろにいた夏夜先輩のことは見えていなかったのだろう。


最初に喋った女の子は天川滝(あまがわたき)。後ろでポニーテルで纏めた髪に、緑色のインナーカラーが特務的だ。見た目はクールビューティそのもの。ただし見た目だけ。


後に喋ったのが先程クソデカボイスを発していた城ヶ崎(じょうがさき)桃太郎(ももたろう)。金髪の頭に、黒をベースとして上下に白いラインの入ったヘアバンドをしている。

モモのことを簡単に言うと、おばあちゃんが階段を上るのに苦労していたら、優しく声をかけておばあちゃんをおぶって上まで連れて行ってあげる優しいヤンキー君。

全くヤンキーじゃないんだけど、見た目がね。


二人は幼馴染で、今回の任務も一緒に行っている。


「えっと……、天川さんと城ヶ崎くんもいるってことはそういうことでいいのかな?」

「はい……そういうことです」


誤魔化すのは諦めることした。これ以上誤魔化したとて無駄だから。


できることなら高校生生活、三年間一夜に所属している事を誰にもバレずに過ごしたかった。


それよりも、夏夜先輩をいかに安全に怪我なく脱出されられるかを考えなくてはいけない。


何故なら、滝とモモが来た時ぐらいから、少しづつ妖魔が放つ嫌な邪気を感じていた。


「二人とも……」


 滝とモモの方に視線を向けると、しっかり二人とも邪気に気がついて周辺を警戒していた。


「どこから来るか全く分からない……、周辺の警戒を怠らないで」


滝の言う通り、本当にどの方向から近づいて来てるのかさえ分からない。


夏夜先輩守るように囲って、私は窓側に、滝と桃は扉側に立った。


邪気にある程度の適性がなければ、咳が出たり、吐き気がしたりと具合が悪くなってしまう。

 夏夜先輩は大丈夫かと心配になり、振り返ってみると、今のところ具合が悪いという様子は全くなかった。


「夏夜先輩、絶対に私達から離れないでください。それと、具合が少しでもおかしいと、悪いと感じたらすぐに言ってください」

「わかったよ、成崎さん」


邪気だんだん濃くなっていく、近づいてきているのだ。


「なぁ、これやばくね? 今のうちに要請出てた方がいいんじゃね?」


モモの言う通り、今まで任務をこなして来た中では一番やばい邪気の濃さをしている。

これは私達の手には負えない。


「そうね、要請を……」

「しゃがんで!!」


滝が要請を出そうと端末を取り出そうとした時、私の目の前の窓の外に巨大な影を落とす土蜘蛛が現れた。


考える暇もなく土蜘蛛は六本ある内の一番上の脚で窓ガラスを割ってきた。


散らばるガラスの破片を後に、左腰に差していた刀を抜いて、身を乗り出して入ってくる土蜘蛛の脚に向かって刀を振る。


振るうまでは良かったものの、土蜘蛛の脚は硬すぎて傷一つついていなかった。


「うん! 無理だ、逃げよう!!」

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