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第四十七話 二度目の一目惚れ



アルベルは戦慄エリアにて、パロミデスとダストとその部下と別れた。

そして一旦エリナのところに戻り、メグを紹介するためエリナとデルミアの泊まっている『ホテル・ヘルメス』へと向かっていた。



「そういや俺たちってどれくらい外で遊んでたんだろうな。この街ずっと夜だから全然想像つかねぇんだよなぁ。」


「多分・・・5時間とか、ですか・・・?」


とメグが予想の時間を口にした。

メグを買った後に、飲食店に入ろうとして全然入れなかった事や、服を買いに行った事、体や髪の毛を洗った事、食事をした事、散髪をした事、その後の快楽エリアや戦慄エリアでの遊んだ時間や、その間の移動時間も含めれば、それくらいが妥当だろうと、アルベルも考えていた。


「ま、それを加味してもちょっと長いような気がするけどな・・・じゃあ今、この結界の外は夜くらいなのか、俺たちがこの街に来たのが大体昼頃とかだから・・・地下迷宮にいた時間もあるし、やっぱりそんくらいか。」


アルベルが外の景色など見えもしない黒い結界を見上げると、それを見たメグは真似して空を見上げた。

しかし、メグの場合はアルベルとは少し違った。

メグの眼の結膜が次第に黒く染っていく。


「えっ・・・ちょっ!どうしたメグ!!」


目を懲らすメグに対してアルベルは、何故今メグが禍威の眼を発動しているのか分からず戸惑った。

そして、結界の天井付近を暫く睨みつけていた。

しかし、満足したのか、暫く天井を見つめた後、メグの眼は普通の目に戻っていった。

するとメグはおもむろに


「やっぱり・・・外は暗いです。」


と言った。

メグのその言葉にアルベルは一つの疑問と興奮を覚えた。


「メグ・・・もしかしてお前・・・ある程度なら"透視"とか出来るのか・・・?」


「トウシ?えっと・・・箱の中身とか、見ることは出来・・・ます。」


メグは言葉の意味を理解していなかったが、やはりそれは透視だった。

アルベルの禍威の耳は、異常なまでの聴力と、風を声として聞くことが出来るというのが特徴であり、その点禍威の眼を持つメグは、敵の次の行動が目視で判断できたり、異常な視力で遠くまで鮮明に見れるなど、目に関係する特性を持っていたが、まさかそれが透視まで可能にしているとは。


「お前には驚かされっぱなしだな。城に戻ったら色々な事をして、メグ自身に何が出来るのかとかも探らなきゃな。」


「ご主人の為なら・・・メグはなんでもします。」


アルベルの手を握る力が一層強くなった。

メグの意思の表れなのだろう、とアルベルは考えた。

しかしその握る力は強すぎるあまり、手の骨が粉々に握りつぶされそうだった。

その痛みに耐えながらアルベルはメグに笑顔を見せていた。


帰ったら、力の制御の仕方も考えないとな・・・。

メグには悪いが、力をコントロールしてもらわなきゃ俺の体が長く持たねぇ・・・。

あまり、エリナに回復してもらえばいいやって考えはしたくねぇし。


アルベルは先程のパロミデスとの会話・・・いや、殆どお互いの一方通行な意志のぶつけ合いだったような気もするが、その会話でアルベルは、『最悪自分の護衛対象の女の子に体を治してもらえばいい、と考えていたりする。』という発言をしていた。

しかしアルベルにとってそれは自分の中では良くない選択のため、回復魔法に頼らないようにと心がけ始めていた。


「もっと俺が強くなれば、エリナに回復してもらうことも減るハズだ。城に戻ってすぐにデルミアに修行つけて貰えるか分からねぇけど、なるべく早く修行出来るように頼んでみるか。」


そう呟くとアルベルは見つめられている気がして、視線を下ろした。

するとメグがアルベルを見つめていた。

その目は特に何かを訴えかけるものでは無かったが、それによりアルベルの頭の中にもう一つの考えが浮かんだ。


「それから・・・エリナのお世話係はビンスだから、メグには俺のお世話係として、ビンスに色々教わらねぇとな。」


そう言ってメグの頭に手を置いた。

アルベルは頭に置いた手でわしゃわしゃと撫で回した。

折角整えた髪の毛が少し崩れてしまったが、メグはそれに笑顔で返した。

アルベルはその笑顔に和み、メグを抱き上げた。

メグは暫く困惑したが、自分も落ちないようにアルベルを抱き返した。


可愛いに癒される俺史上最高の瞬間だぜ〜。


「何をしているのですか。」


幸せな空気をぶち壊すかのような冷たく、聞き慣れた言葉がアルベルを刺す。

その声の方向へと目をやると黒髪でいつも氷のように冷たくキツい言葉をアルベルに吐き捨てるメイドのビンスの姿があった。


「そんな小さな子供を抱き上げてなんといやらしい。遂に犯罪に手を染めましたか。しかし私は冷静なので、いつかこうなるとは思ってました。」


「犯罪者の昔の知り合いへのインタビューみたいな回答はやめろ!それに俺はついさっき、ロリコンは犯罪者予備軍だと確信したばっかだよ!俺がそうなる訳ねぇだろうが!」


アルベルはメグを抱き抱えたまま、開口一番に辛辣な言葉を飛ばしてくるビンスへと反論した。

ビンスはアルベルのそんな反論を一蹴するように「フンッ」と鼻を鳴らした。

アルベルはそれに慣れっこな為、一通りのツッコミをし終えた後、メグを紹介することにした。


「そんな事より紹介するぜビンス。この子はこの街の売買エリアの奴隷市場の唯一の生き残りだった子だ。名前は俺がつけてメグってなってる。」


アルベルがメグを地面へと下ろし、自分がメグと出会うきっかけとなったことを紹介文として並べた。

するとビンスはアルベルの言葉が引っかかったのか、顎に手を当て考える仕草をした。


「奴隷市場・・・やはりまだ、あったのね・・・」


とビンスは小さく呟いた。

アルベルにその言葉は聞こえたが、言葉の意味が理解出来ず、アルベルはどういう意味だろうと言いたげにビンスの顔を伺った。


「どうした?ビンス。」


「いえ、なんでもありません。申し遅れましたメグ様。私はベルドブール王国王女専属メイド兼メイド長のビンスと申します。以後お見知りおきを。」


ビンスは片足を斜め後ろの内側に引き、もう片方の足の膝を軽く曲げてスカートの裾を軽く持ち上げ、背筋は伸ばしたままあいさつをした。


アルベルも何度か見たアニメや漫画でよくある西洋文化式の挨拶だ。

確かカーテシーとでも言うんだったっけか。

というかビンスってエリナ専属だったのか、俺の部屋の整理とかしてくれたり、部屋の前にもいてくれた時とかあったし、てっきり大まかな仕事を全部やってる普通のメイドかと思ってたけど・・・

メイド長でもあるとは、もうこの世界のメイドの担当するものがよく分からん。


メグはビンスの頭を目で追い、それを真似してメグも頭を下げた。


「メグは・・・メグと言います・・・。えっと・・・お世話になります・・・です。」


メグはアルベル以外とはまだまともに会話していなかったため、少し辿々しい喋り方になってしまったが、アルベルはまたそこも愛くるしいと気持ちの悪い笑顔を浮かべていた。


「まぁ、そういう事だ。この子はビンスがエリナ専属のメイドみたいに、俺専属のメイドとして城に住まわせてあげたいんだが・・・どうだ?メグにメイドとしての作法とか他にも色々教えてやってくんねぇか?」


アルベルは再びメグの頭に手を置いた。


「そうですね・・・お城に住む件についてはエリナ様がなんと仰られるかによりますが、もし住むことになりましたら、全力で教育させていただきます。」


よし、まずは第一関門突破だ。

ビンスは正直言ってデルミアより突破が難しいかもしれなかった。

何故ならまた俺にロリコンだの、いやらしいだの、気持ち悪いだの、謂れなき中傷でメグの許容を断ってくる可能性が十分にあったからだ。

しかし予想以上に好感触だった。

数多くのメイドがいる中でビンスは若くしてメイド長。

後輩ができるのはそうそう悪くないと考えたのだろうか。


「メグ、城に帰ったらちょっと怖いこのお姉さんからお世話係としてのお勉強教わらなきゃならねぇんだが・・・頑張れるか?」


アルベルはしゃがんでメグに視線を合わせた。

その返事をビンスもアルベルも待っていた。

そして暫くモジモジと指を動かしたが、両手に握り拳を作り、腕を曲げてアルベルへと宣言した。


「ご主人の為なら・・・メグ、頑張ります。」


アルベルはメグのその返事に満足そうにした。

ビンスも同様に、少しだけ微笑んだ。


「よし!おめかし作戦の後はメイド修行だ!忙しくなるぜ〜メグ!・・・あ、でも。」


と言い、立ち上がっていたアルベルは再びしゃがみこみ、メグへと耳打ちした。


「あのお姉ちゃん、すんげー口悪いから、それだけは真似しちゃダメだぞり」


メグはアルベルのその言葉に静かに頷いた。

しかし背後からは冷たい視線を感じる。


あぁ・・・多分聞こえてたんだな、今の話。


アルベルは全てを悟り、身を委ねることにした。

すると案の定氷の塊がアルベルの後頭部を直撃し、アルベルは前かがみで地面に倒れた。


「ほーら・・・やっぱり・・・ね」


「まったく、寝てないで早くエリナ様の待つホテルへ向かいましょう。」


「あぁ・・・そうだったな。」


アルベルはメグの怪力によって地面から立たされた。


相変わらずメグの力には驚かされるな。

・・・そういえばビンスだけじゃねぇけど、デルミアやエリナにメグが古代魔人族だって事は言った方がいいのだろうか。

この世界でタブーなのか、それとも畏怖の対象なのか俺には判断しかねる。

敵対したらデルミアは速攻で斬りそうだし、ビンスだって古代魔人族だってことを知れば氷でメグを凍らせるかもしれない、エリナは・・・多分許容してくれるだろう。

なにせ、素性の知れない俺を騎士として近くに置いておく変わった子だ。

まぁそんな所も可愛いのだが。

暫くメグと一緒に生活してもらって、そんでもって慣れてきたら話すとしよう。


「じゃあメグ、行くぞ。ホテルはもうすぐのハズだ。」


「はい、ご主人。」


「礼儀作法はアルベル様より完璧ですね。アルベル様はエリナ様に対して敬語も使えないので。」


「うるせー、ほっとけ。」


そんな他愛もない会話をしながら三人はエリナとデルミアが待つホテル・ヘルメスへと向かった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー



巨大な建造物の中から一際目立つ看板が三人の視界に入った。

その看板にはこの世界の言葉でホテル・ヘルメスと記されていた。


「確かにパロミデスの野郎が言った通り・・・この街で一番デカいホテルって言うだけあるな・・・。てか、普通にあいつの家除いたら、この街で一番デカい建造物だろ・・・これ。」


その外装はアルベルが前世でも中々見ないほどの超高層で、パロミデスの家は横幅も縦幅も大きかったが、横幅がそれより劣る分、縦方向によく伸びていた。

その高さはアルベルが一度だけ見た事のあるあべのハルカスに相当する大きさだった。


「すっげぇ・・・マジでこの街の建物は全部規格外だぜ・・・俺はいつ小人になっちまったんだ・・・。」


「小人だなんて軽々しく言わないことですね。」


ビンスの口から発せられた思いがけない反論の切り口にアルベルは思わず聞き返してしまった。


「なんでだよ・・・?」


「小人族は精霊の一種で人間に危害を加えていたギガンテ族に仕える邪精霊の事です。あの精霊たちは人間にも悪さを働きます・・・・・・」


ビンスはそこまで言って暫く考えた。

そして数秒後にアルベルへ向かって再び口を開いた。


「そう考えるとあながち間違いでは無いですね。失礼いたしました。」


「そんな不名誉な謝罪いらねぇよ!!誰が人間に悪事働く精霊だ畜生!!」


まったく、こいつは何が言いてぇのかさっぱりだな・・・。


アルベルがビンスに呆れていると、アルベルと手を繋いでいるメグの力が強くなった気がした。


「あの・・・メグさん。今僕の手、とっても痛いんですけど・・・」


アルベルがそう呟くとメグは驚いたように手の力を弱めた。

一瞬見えた橙色の魔力が、メグが怒っているのをアルベルに気づかせた。


「何か嫌なことでもあったか?」


「・・・あの人・・・ご主人に悪口言う・・・」


アルベルはその言葉に先程のダストとその部下とのやり取りを思い出した。


そういえばさっきメグがキレたのって俺に対する悪口が原因だったっけか。

まぁビンスのは軽口程度に捉えていたが・・・初対面のメグからすれば俺へと悪口って事になるのか・・・まぁ間違ってはいないんだけどな。

俺への罵倒の言葉って事はあってるわけだし。


「あーメグさん。ビンスの口が悪いのは先天性の癖だからもう治らないんだ・・・あれは俺への悪口じゃなくて素直に俺と会話が出来ない可哀想なツンデレの行動なのさ。」


「ツン・・・デレ?」


「そう!ツンデレさ!!あれは不器用な彼女なりの愛情表現!!そして口が悪いのも生まれつき!!生まれた瞬間に『私を取り上げろ!さもなくば・・・』と範馬勇次郎も顔負けの誕生の瞬間だったという・・・。」


まぁ八割嘘なんだが、これくらい盛っといた方がメグの口が悪くなることは無いだろう。


「そのような年端もいかない少女にある事ない事吹き込むのはやめて頂けますかね。」


またしても背後から殺気の籠った冷気がアルベルを襲う。

しかし今度はうろたえない。

こういう時こそ冷静さが必要なのだ。


ふっ・・・やはりな。

俺の耳は捉えていたぜ。

後ろから感じる殺気と、それを取り巻く冷えた空気をな。

さぁ、俺を滅多刺しにでもするがいい・・・!


想像より数倍大きなな氷塊の存在を感じ、アルベルは息を飲んだ。


おっと流石の俺もこれは死ぬのでは無いだろうか・・・。


そう思っていた矢先


「あら〜!!そこにいるのってもしかしてもしかすると・・・!!」


何やら男の声が聞こえる。

しかし男の声にしては口調が変だ。

明らかに女のような喋り方をしている。

実際の女性がこのような喋り方をするかどうかは置いておくとして。


声の方向へアルベルとビンスとメグが顔を向けると、そこにはアルベルが一度だけ見た事のある顔がいた。

黄色い後ろ髪に反して横等は黒く、坊主になっている。そのくせ前髪だけは変に長く、横に流してた。

服装は黒い短ランのような服装で、そこだけはアルベルも少し見なれている唯一の部分だった。


「お前は・・・確か。」


「もう、忘れちゃったの?私よん、わ・た・し。」


アルベルが顔を思い出しているとそれより先にビンスが挨拶をした。


「お久しぶりです『ドラード』様。円卓会議以来ですね。」


アルベルはビンスが呼んだその名前で思い出した。

彼・・・いや彼女?の名はドラード・ファーラ。

円卓第六席、アルマドス・ラモラックの支持者で、音楽都市『シャーフェリア』の騎士。

10年前の勝ち目のない戦闘において完勝した天才軍師だ。


「あー!!なんで俺こんなインパクトの強い奴を忘れてたんだ!!こんなの一目見たら忘れるわけねぇのに!」


それもそのはずだ。

特徴的すぎる髪型に割れた顎。

何故このような綺麗になった燃堂力のような男を俺は忘れていたのだろう。


「あら、一目見たら忘れないですって!やだもうお上手だ事!!」


本当にこの世界は色物が多いな・・・


「そんで、なんか用か?珍しいな、敵陣営の街に来てるだなんて。」


「それはお互い様じゃない?貴方だってこの街に来てるわけだし。・・・まぁ候補者達はバチバチな人が多いかもしれないけど、支持者同士ってあまりバチバチじゃないのよ。」


「へぇ〜そうなのか。なんか自分が支持してる人の敵だったらまとめて敵対してるのかと思ってたぜ。」


「まぁ、それが普通の認識よね。でもラモラック様って基本的に受け身で情報集める人だか、、相手を大事する主義者なの。だから私はエリナ様の事も嫌ってないし、他の陣営の人も嫌だとは思わないわよ。」


やはりおかまキャラにハズレはいないという事か。

この世界は見た目がヤバいやつほど話が通じるパターンが多い気がする。


「そ・れ・に。私たち支持者って、元々は王国騎士団だったから、それが仲が悪くない要因の一つかもね。」


アルベルは初耳の言葉に驚いた。


「支持者って全員王国騎士団出身なのか!?」


「全員って訳じゃないけど・・・例えば鋼の英雄、ガヴェルド・ドルタ、40年前に活躍した英雄、レイドール・フォルゲル、現王国騎士団副団長、セルビオ・ストライク、そして私、それと第二席、ランスロット様の支持者であるグラディウス・ローグ。この辺は大体王国騎士団出身よ。セルビオは現役だけど。」


知らなかった。

じゃああの時フォルゲルにエリナの味方しなかったの責めても本当にしょうがなかったんだな。

今度会ったら謝っておくことにしよう。

今の話聞くとあれは100俺が悪かった。


「そんな事よりもよ!あなたアルベルちゃん。ダストちゃんのハートを射止めたそうね!」


「アルベルちゃんに、ダストちゃん!?」


おかまにありがちな呼び方だが、目の前で自分の名前とあのおっさんをちゃん付けで呼ばれることがこれほどまでにキツいことだったとは・・・。


「って・・・まさか贈り物ってお前が持ってきたのか?」


「ふふふ・・・大正解よん!!実は私も彼が会長をやってる歴史学協会の名誉組員なのよ。だから私がアルベルちゃんの事知ってるって言ったらこの仕事を任せてくれたってワ・ケ。」


「そうだったのか・・・んで、贈り物ってなんだ?」


「それはねこちらをご覧くださーーーい!!!」


アルベルは先程からドラードの姿と周りの建物に阻まれ見えていなかった場所をドラードの手引きにより見た。

するとそこには四つん這いだが、後ろ足の筋肉が発達した毛の濃い動物が複数体いた。


「これってなんだ?」


「これはね『翼足獣(よくそくじゅう)』って言ってね。ベスタ族が住んでいる森に生息している希少な騎乗型モンスターなの。ダストちゃんが昔調査で行った時に貰い受けた子達なんだけど『兄貴が自分専用の馬持ってないの可哀想だからどうせならこいつらを差し上げたい』って言ってね!だからこの中からお気に入りの翼足獣を一匹選んでちょーーーだい!!」


贈り物とはこれの事だったのか。

確かに俺には専用の馬もいない。

だがエリナから聞いた話だと支持者やそこそこの騎士になると自分専用の馬を持っているそうだ。

これを機会に俺もそうするのは悪くない。

むしろめちゃくちゃいいチャンスだ。

ありがとうダスト・・・!

お前にも今度謝るからな・・・!


「そんじゃあ遠慮なく、物色させてもらうかな。」


とは言ったものの、目利きの才能など俺には無い。

どの翼足獣が優秀で賢いか、足の速さや力の強さなども慎重に選びたいところだ。

だが俺には選出方法など分からない。

選べと言われるとこうも難しいのか。

ポケモンでも最初の3匹は確かに悩みどころだもんな。


アルベルがそんな事を考えながら翼足獣と触れ合っていると、熱烈な視線を感じた。

その方向を見ると、一匹の翼足獣がアルベルを熱心に見つめていた。

アルベルはその翼足獣が気になり、触れ合った。

他の翼足獣はアルベルに撫でられるとただ気持ちよさそうにしているだけだったが、その翼足獣はアルベルと触れ合うと、気持ちよさそうきするだけでなく、積極的に頭をアルベルへ押し付けてきた。

アルベルはニッと笑いドラードの方へ顔だけ向けた。


「決めたぜドラード。俺はこいつにする。こいつがいい!こいつじゃなきゃダメだ!」


「あら、思いのほか早かったわね。何か理由でもあるの?」


「理由は分からねぇ・・・ただ、この感覚はあれだ!初めてエリナに会った見た時の感覚に似てる!そう、"一目惚れ"ってやつだ!!」


アルベルがそう言うと、賢い翼足獣は自分が選ばれたことを悟り、高らかと咆哮を上げた。


「あら一目惚れだなんて、あなたも隅に置いておけないわね。・・・でも、この子が嫉妬しちゃうからあんまり人前で言っちゃダメよ?」


ドラードはそう言い、自分より遥かに小さいメグの頭に手を置いた。

メグは暫く翼足獣と睨み合いをした。


俺のために敵意を見せるメグもまた可愛らしい。




「それじゃあありがとうな。ドラード。こいつを届けてくれて。」


「あらお礼なんていらないわ。乙女の熱き戦いも見れたことだしね♡」


「それではドラード様。失礼致します。」


そう言ってアルベルとビンスとメグは翼足獣を動物専門の預け場へ預けた後、ドラードと別れようと、ホテルへと入って行った。


しかしドラードはアルベルに着いてくる。

最初はたまたまかと思い、放置していたが、ホテルの入口の方へと向かってもまだ後ろを着いてくる。

そして遂にホテルに入ってもまだ後ろにいたのだ。


「・・・なんでいんの。」

「あら、私もこの街で遊んでるのよ?ここのホテルに泊まってね。」


アルベルは心底呆れ返り、何も言えなくなった。


訂正しよう。

この世界の人間は色物が多いとかそんなんでは全くない。

この世界の人間達は・・・・・・大切な事を事前に言う、報連相が全くできていない。


そんな事を考えながらホテルのエレベーターへと四人で乗り込み、アルベルはエリナの部屋がある階へと向かっていたのだった。

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― 新着の感想 ―
モジモジとするメグちゃんがとても可愛らしいです! 是非ともビンスさんに負けない、良いメイドさんになってくれる事を願ってます!
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