第四十四話 賭けの勝機
アルベルは自身の購入した奴隷の少女である『メグ』の身だしなみを整え、胃袋を満たした後、メグに楽しいことを体験させたいということと自分自身もギャンブルをやってみたいということから、ステンチューの快楽エリアに向かっていた。
その間にアルベルはメグに外を歩くうえでの必要最低限のことを教えていた。
「いいか〜メグ。知らない大人には絶対ついて行っちゃだめだぞ。例えそれが、美味しそうな肉をぶら下げている人でもだ。もし、そういう奴が現れたら大声で俺の名前を呼ぶんだ。どんなところにいても駆けつけて、そんな不届きな野郎は俺がぶっ飛ばしてやるからな。あとハンカチやタオルは絶対持っとけよ。手を洗うとか、汗を拭くとか、それ以外にも血が出たときとかにそれで傷口を塞いだり出来る。・・・って言ってもハンカチ買ってねぇから、王都に帰ったら一緒に買い物に行こうな。」
今まで頷いていたメグだったが、アルベル最後の一言に少しだけ顔を曇らせ、俯いた。
それに伴い、アルベルと手を繋いでいるメグの手の力が少し弱まった気がした。
そのためアルベルは問いかけた。
「どうしたんだ、メグ。」
アルベルの問いかけに暫く口を閉ざすメグ。
メグお得意のシンキングタイムなのだとアルベルは考え、アルベルも黙ってメグの言葉を待っていた。
そしてメグは口を開いた。
想定より早く口を開いてくれたため、アルベルは既にメグが成長し始めていると感慨深かった。
「ごめんなさい・・・。私・・・外が怖く・・・て・・・。」
「・・・・・・・」
アルベルは昔の自分を思い出した。
自分にもそんな時期があり、その時は家で本ばかり読んでいたということを。
当時読んでいた魔法の本の知識など、今は全く役に立っていないということも。
まだ村が壊滅させられる前で、家で大人しく本を読んでいたな。
引きこもりの後遺症からか、異世界に来てから数年は外に出たくなかったっけか。
しかしその考えを変えてくれたのは母親のセイラだ。
彼女は外で遊びたがらない俺を否定しなかった。
親父は色々と言っていたようだったが、元々の俺が成人目前の男だったわけだ。
今更外で遊んで楽しいはずがないと考えていた。
その考えは口に出しさえしなかったが、外に出たがらないのは何か察されていただろう。
それなのにもかかわらずセイラは俺を否定せずに自由にさせてくれた。
皮肉な話だ。
前世では放って置かれるともっと拒絶してほしかっただのほざいていた俺が、放って貰っていることで自分の考えを尊重していてもらえてる気がしているだなんて。
「ご主人・・・?」
「あぁ、悪い・・・・・・そうだよな、檻から出ていきなり連れ回してる俺って、ちょっとやばいよな・・・。」
「そんな事・・・ない・・・です。」
「そうか・・・。メグは優しいな。」
アルベルはメグの頭にポンと手を置いて撫でた。
メグの表情が不思議と明るくなったような気がした。
すると
「よう。お客人」
と聞きなれない声が聞こえてきた。
振り返るとパロミデスの支持者兼従者の『鋼の英雄:ガヴェルド・ドルタ』だった。
先程の領主邸以来だ。
「英雄さんも遊びに繰り出してんのか?」
「いや、私は見回りだ。お前は・・・楽しんでくれているようだな。ならば本望だ。」
ガヴェルドはカバンを見て言った。 元々渡していた金額より明らかに少なくなっていたからだ。 そしてメグのことを見て全てを察したようだった。
「・・・俺に怒りをぶつけないのか。」
「あ?なんで俺がお前に怒らなきゃならねぇんだよ。」
「その娘、売買エリアの奴隷市場の子供だろう。」
アルベルはメグの頭を撫でるガヴェルドを見ながら、そこで先程の言葉の意味を察した。 売買エリアの奴隷市場を放っておいているパロミデスや自分に怒らないのかという意味だった。
「別にお前に怒ったってしょうがないだろ。俺はパロミデスの顔面一発殴れればそれでいい。」
「あの人にも考えがあっての事だ。厚かましいようだが、手加減してやってくれ。」
「それは保障しかねるな。」
そしてアルベルとガヴェルドは暫く一緒に歩いた。
「そういや聞いていいか?」
「なんだ?」
アルベルが円卓会議以来、気になっていた質問をなげかけた。
「『鋼の英雄』って呼ばれてるあんたの体にあるその傷って、やっぱりギガンテ族との時についた傷なのか?肉壁となったあんたの体に傷をつけるなんて相当の手練だろ。」
「・・・いや、その戦いの少し前に、"パロミデス様"につけられた傷だ。」
「えっ!?あいつ戦えんのか!?」
「あぁ。初めて会った時はお互い荒れていたってこともあるがな。まぁ・・・色々あったのだよ。」
そこでガヴェルドは別の道へと進んで行った。 するとアルベルと手を繋いでいたメグが口を開いた。
「ご主人・・・あの人、たまに私に・・・ご飯を持ってきてくれてた人・・・」
「えっ!?マジか・・・だからメグのこと知ってたのか。」
それに人見知りのメグの頭を撫でたのだ。それならメグが馴れているという事にも納得がいく。
「食えねぇ野郎だ。」
ーーーーーー
二人は暫く歩くと先程までいた場所とはまち別のやかましい場所へと着くことが出来た。
先程は人の声や人々の歩く音がうるさかったが、今度は何やら機械音のようなものが周辺一帯に響き渡っていたのだ。
「ここが『快楽エリア』か・・・!!やっぱりどの建物もデカいな・・・!」
アルベルは高い建築物に見惚れていたが、手を繋いでいる感覚が無くなったため少し視線を下げるとメグが耳を抑えて「うぅ」と唸っていたため、早く移動することにした。
そして様々な機械のある広場へと向かった。
「よし・・・着いたことだし、まずはスロットからだ!!」
スロットをするのにあたって、メダルをクロと交換できる場所があるだろうと考えたアルベルは周辺を少し歩いてみたが、それらしいものはなかった。
そして案内所にいた男と同じ服装の男に教えられた。多分このエリアのスタッフなのだろう。
なんとここではメダルというシステムがなく、直接クロを投入して遊ぶことが可能らしい。
その辺の事情に明るくないアルベルは"そういうもの"として割り切ることにした。
台を一台決め、椅子に座ると、メグを持ち上げて自分の膝の上へと座らせた。
「さぁメグ。ここに2000万クロある。聞きゃこのスロット、最大でこの金貨を500枚まで入れられるらしいぜ。どれくらい入れますかお嬢さん。」
アルベルはメグに鞄の中の金貨を好きなだけ入れさせた。
台には200と表示されていた。
入れた枚数が表示される仕様なのは便利だとアルベルは思った。
「メグ見てろよぉ・・・!一発で揃えてやるぜ。」
狙うは五つあるリールの全てで一番当たりであろう7を揃えること。
目押しが出来るのか定かではなかったが、アルベルは慎重に停止ボタンを押していった。
一つ目の停止ボタンを押した。
リールに表示される図柄は『7』。
この調子でと二つ目と三つ目も押す。
リールに表示されたのは二つとも『7』
7が三つ。本来のスロットならば、左、真ん中、右の三つのため、既に揃っていたが、あと二つ、押していない停止ボタンがあることにアルベルは更に緊張した。
何が起きているのかいまいち分かっていないメグはアルベルと同時に息を呑んだ。
そして四つ目の停止ボタンを押した。
リールには『7』が表示された。
最後の勢いに乗せてアルベルは最後の停止ボタンを押した。
最後のリールには『7』が表示された。
アルベルは当たりを確信し、ガッツポーズを取ろうとした。
しかし、リールは完全に止まらず、一つずれてその一つ上のひよこの図柄が表示された。
アルベルはガッツポーズを取ってからのテンションの落差に体がついて行かなかった。
そこからは酷く、何度やっても当たらず、当たったところで対した戻りにはならなかった。
30分ほど打ち続け、マイナス3万クロ。
「だぁー!!もう!全然当たらねぇ!!!」
なんでだ!?
俺の目押しってそんなに制度が悪いのか・・・!?
膝の上でメグがもぞもぞしているようだった。
その後、周囲ではクロを入れる音が聞こえた。
何個か前の図柄の時に停止ボタンを押すのが定石なんじゃないのか・・・!
俺は自分自身の動体視力を信用しすぎていたようだ・・・。
もっと慎重に・・・・・・
アルベルが考え事をし終えて頭を上げようとすると、自分の台からは一度も鳴っていなかったような派手でやかましい音が聞こえてきた。
「ご、ご主人・・・」
驚いて顔を上げると涙目のメグが膝の上からアルベルの顔を伺っていた。
そしてスロットを見ると5つのリールには『7』『7』『7』『7』『7』と表示されていた。
「ジャックポットォ!!??」
アルベルがそう叫ぶとメグは更に怯え、アルベルに抱きついた。
「あぁ・・・ごめんな。いきなり叫んで。」
メグはまだ震えながらアルベルへと抱きついていた。
しかし自分が叫んでしまったことが原因ではないのだとアルベルは察した。
恐らくメグは、アルベルよりルールが分かっておらず、外れ続けているアルベルの状態を正解なのだと誤解していた。
そこで突然の聞き慣れない爆音と、吐き出され続ける大量のコインに驚いたのだ。
そして見慣れない目の前の光景に、自分はなにか悪いことをしてしまったのだと勘違いして、泣いていたのだろう。
「すごいぞ!メグ!!よく当てられたな!!メグは天才かもしれねぇな!!」
メグを高らかと抱き上げると、自分の行動は悪いことではなかったのだと誤解が解けたメグは表情がゆるくなった。
そこからは先程とは打って変わって、当たり続けた。
メグの目押しによって何十回と当たり続けた。
2000万クロあった軍資金は2400万クロに増えたのだった。
暫く打って一段落した。
アルベルが椅子から立ち上がり、伸びをしていると、メグもそれを真似して伸びをした。
「よし、そろそろ移動しようぜ。『戦慄エリア』ってところで他の人との賭け事が遊べるらしいぜ。」
メグはコクリと頷き、再びアルベルと手を繋いで歩き出した。
その二人を背後から見ている男たちがいることにアルベルは気づかないのだったが、メグは少しだけ後ろを振り向いた後に前に向き直った。
ーーーーーーーーー
アルベルとメグは再び暫く歩くことで、快楽エリアから戦慄エリアへと到着した。
「快楽エリアも凄かったけど・・・戦慄エリアもかなりの騒音だな。メグ、大丈夫か?」
快楽エリアはジャラジャラとしたクロの雪崩落ちる音やスロットが当たらなかったことによる怒号、スロットから鳴る機械音などが主だったが、戦慄エリアでは、歓声や罵声、その辺の音が凄まじく、快楽エリアとはまた違ったやかましさがあった。
アルベルの問いかけにメグは小さく頷いた。
こういう場所ってもっと静かなイメージだったけど・・・実際はそんなこともないんだな。
「よっしゃメグ!今度こそかっこいいところ見せてやるぜ!」
「ご主人・・・ファイト・・・!」
アルベルはまず、一番近くにあったトランプが並ぶブラックジャックの台へと座った。
ブラックジャックとは
ディーラーとプレイヤーの対戦型のゲームだ。
プレイヤーはディーラーよりもカードの値の合計が21に近ければ勝利となるゲームだ。
ただ、カードの合計が21を超えるとその時点で負けとなる。
数字の数え方が普通と違うところがあり、
2~9まではそのままの数字なのだが、10、J、Q、Kはすべて10と数える。
そしてAは1点か11点のどちらに数えてもいいのだ。
このゲームにはゲームの名前の由来となった特別な役がある。
それは最初に配られた2枚のカードが Aと10の札で、21が初手で完成していた場合を『ブラックジャック』と言う。
その時点で勝ちとなる。
頭の中で大体のルールのおさらいをしたアルベルだったが、
「兄ちゃん見ねぇ顔だな。新入りか?」
と、席へついてディーラーがカードを配ったところで隣に座っている男が声をかけてきた。
なんだこの通ぶってるおっさんは。
こういうところでは舐められるのが一番ダメだ。
ここはクールにイカした男を演じるとするか。
「まぁな。だが、だからって侮ってもらっちゃ困るぜ。これでも昔は名の通ったギャンブラーだったんだぜ。」
「ほう、言うじゃねぇか。」
「おぉ・・・ご主人・・・クール・・・!」
ゲームでレア素材を獲得する時に運を賭けているという点で言えば、嘘はついていない。
見せてやるぜ・・・俺の勝負師魂っ!!
結果は言うまでもなく、アルベルの全敗だった。
「兄ちゃん・・・大丈夫か?調子でも悪いんじゃねぇか・・・。」
ぐったりと机に突っ伏しているアルベルに隣の男が心配して声をかけてきた。
まさか派手に啖呵切った相手に心配されるとは・・・なんという屈辱・・・。
運に調子いいもクソもねぇよ・・・。
こういうゲームだと禍威の耳も意味ねぇしなぁ・・・。
禍威の耳は風の音を声として聞くことによって行動の先読みや、少し先の予測の映像を脳裏に再現するというもののため、あまり動きのないゲームのズルには向いていなかった。
すると服の袖を引かれる感覚がした。
顔を起こして見てみると案の定メグが袖を引いていた。
「ご主人・・・あれ・・・。」
「ん・・・?」
アルベルは無気力な顔をメグが指差す方へと向けてみた。
するとそこには円錐形の円盤に、赤と黒の色のパネルの上に数字の描かれた物があった。
「ルーレットか・・・確かにこれなら禍威の耳も使えるかもな。よっしゃ、いっちょやってみっかな。次こそメグに俺のかっこいい姿見せてやるからな。」
メグは小さな手で握り拳を作り、フンフンと頷いた。
そして三度目の正直と言わんばかりにアルベルはルーレットの台へ着いた。
「お子様連れとは、いいご身分だな。」
「まぁな、社会見学とでも思ってくれ。」
「へっ、キザな野郎だな。」
この"いかにも"な男はどれ程強いのだろうか。
だがお前がどれだけ強かろうが、俺の耳にかかれば余裕のよっちゃんだぜ。
「プレイスユアベット」
ディーラーは言った。
そして隣の男は1〜12のファーストダズンと25〜36のサードダズンへとクロ40枚分のチップを賭けた。
「スピニングアップ」
ボールがディーラーの手から放たれた。
アルベルはその瞬間を待っていた。
ボールから発生する僅かな風を禍威の耳で聞き取った。
「ここだ!!」
そして400枚分のチップをストレートで赤の5へと置いた。
「おいおいそんなに賭けちまって良いのかよ。しかも一箇所だなんて。」
「安牌狙ってちゃ、一端の男とは言えねぇだろぉ?」
まぁ耳使ってズルしただけなんだけどな。
だが賭け事はいつも真剣勝負!!勝負ならばな、勝てばよかろうなのだ・・・!!
そしてボールが失速を始めた。
「ノーモアベット」
クロを賭けられる時間が終わった。
そしてボールは落下した。
落下した先の数字は
『赤の5』だった。
「っしゃぁ!!」
「ふっ・・・こりゃ大物が来たみたいだな。」
アルベルへの配当は36倍となり、14400枚となった。
「ぐへへへ・・・俺の勝ちだぁ!!」
「ご主人・・・すごい・・・!」
そこからのアルベルの快進撃は凄まじいものだった。
毎回大量のチップを賭け、全てストレートで全てを当てていった。
そして対戦相手を取っ替え引っ替えしつつ、始めた第20回目の勝負。
相手はジャパニーズヤクザのような見た目をしており、素の喧嘩をしたのなら確実に負けるだろうとアルベルは考えていた。
ディーラーはボールを回す。
そしてボールから発生した風を聞き取り、アルベルは黒の22へと賭けた。
男は赤の27へしかもストレートで賭けた。
するとボールがまだ止まりそうになかったのにもかかわらず、ディーラーは「ノーモアベット」と言った。
しかし初心者で経験不足のアルベルはその事に気がつくはずもなく、そのままゲームは進行していった。
そしてボールが停止した。
アルベルは自分の価値を確信して、目を瞑りながら腕を組んでいた。
すると隣の男が鼻で笑う声が聞こえた。
恐らく自分の勘が外れたことに苦笑したのだろうとアルベルは考えた。
さてと・・・俺の勝利を確認するとしますかね。
アルベルが目を開けるとボールは
『黒の27』の上に鎮座していた。
「なっ・・・」
そのありえない結果にアルベルが絶句していると、隣りに座っていたヤクザ風の男はアルベルの方を見てもう一度花で笑った。
「どうしたよあんちゃん。自分の勘が外れて驚いたのか?まぁ初心者にはよくあることだ。あんまし気にすんなよ。」
「くそっ・・・もっかいだ、もっかい・・・」
それからも風の聞こえたとおりに赤の18、黒の2、黒の33と賭けていったが、どれ一つ当たらず、男の賭けていった数字がことごとく当たっていった。
「いやぁー儲けた儲けた!ありがとうなあんちゃん。またカモらせてくれよ〜っておっと口が滑っちまったぜ。なーんてな!!がははは!!!」
すると周囲からも野次と嘲笑が飛んできた。
「ストレートばっかするからだよ!!」
「ちょっと運がいいからって調子に乗んなクソガキ!!」
「帰ってママのおっぱいでも吸ってな!!」
「ここはお子様とのデートスポットじゃねぇぞぉ!!」
アルベルは何も言えず、椅子に座っているだけだった。
すると、ずっとアルベルの袖を引いていたメグが相変わらず黙ったままルーレットの台の真横まで行った。
そして次の瞬間信じられない光景をアルベルの目は捉えた。
突如、大きな衝撃音とともにルーレットの台は破壊され、宙へと舞った。
その飛ばされた台はアルベルに勝ったヤクザ風の男へと激突した。
「えっ・・・・・・」
アルベルは現状に頭が全く追いつかなかった。
なぜならアルベルの認識が正しければ、その台を蹴り飛ばし、破壊したのが
メグの小さな足だったからだ。
「小娘!!何しやがる!!」
「あぁ兄貴!!大丈夫っすか!?」
ヤクザ風の男は舎弟であろう男たちに起こされた。
ヤクザ風の男は頭を擦りながらメグの方を思い切り睨みつけ怒鳴ろうとした。
しかし、そんな気など失せてしまった。
メグの周りから橙色の魔力が溢れ出した。
それはメグの怒りと憎しみによって発生したものだと、アルベルはすぐに理解した。
アルベルと一緒にいる時の穏やかで可愛らしい表情とは打って変わって、先程はよく見えなかったが、口からは牙が見え、不自然と言わざるを得ないような角度に眉毛は釣り上がり、その瞳は上目遣いながらもよく開かれていた。
鬼の形相とはまさにこれのことだ。
「なっななな・・・まさか!!あの・・・緑色の髪・・・口元の牙・・・あの小娘・・・!!」
男は立ち上がろうとしてメグの気迫に腰を抜かした。
そして足の震えなど気にせず、その先の言葉を口にした。
「最古で最悪の戦闘種族・・・・・・『古代魔人族』!!??」
アルベルは男のその言葉でメグの方へと視線をやった。
するとメグの魔力で揺らめく緑色の髪は鮮やかで、全てを蹂躙せんとする意志の表れを口元の牙からは感じ取れたのだった。
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