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第二十八話 謎の追憶

「そういやエリナ。俺に話があるんだろ?」


自分の不甲斐なさに打ちのめされていたアルベルはエリナの説教によってら真の自分のやるべき事を見出すことに成功した。

そのおかげで完全とまではいかないが、立ち直ることが出来た。


そんな彼はエリナが何かを言いかけていたのを思い出し、問いかけた。

それに対し、エリナが返答した。


「はい、実は・・・初代国王陛下・・・私の高祖父に当たる御方なのですが・・・」


「あー・・・確か死んだ幹部のじいさんが言ってたな・・・確か三年半の期間で『初代国王陛下の御霊屋を見つけろ』って」


アルベルは指を三本立て、ジェスチャーした。


「はい・・・・・・そうだ!」


エリナは何かを思い出したかのように掌を叩いた。

今どき本当にこんな仕草をする人間がいるのだなとアルベルは心の中で思った。


「突拍子の無い質問で恐縮なのですが・・・アルベル様は十戒及び、原初の魔術師の存在を何で知られましたか?」


「ん?あー・・・確か母親の書庫にあった歴史書みたいなの本に書いてあったんだ。魔法を溢れかえらせて魔獣王作り出してとか」


「それは・・・『魔道の導き』ではありませんか?」


アルベルは本のタイトルをピタリと当てられ驚いた。

何やら一瞬不気味な空気を感じとったアルベルは汗を垂らした。


「おうそれだそれ。よくわかったな。」


「その本のことなのですが・・・」


エリナは脇に抱えていた本を取り出した。

その本は赤ん坊の身の丈ほどの大きな本で、分厚く、表紙が真っ黒の本だった。


「それっ・・・!?」


エリナの抱えていた本はアルベルが幼少期の頃何十回も読み直した歴史書『魔道の導き』だった。


「その本だよその本!いやぁ〜懐かしいな〜よく持ってたな!」


アルベルはエリナから『魔道の導き』を受け取り、持ち上げてみせた。

懐かしさを感じさせるその本からは子供の頃には感じられなかった魔力のようなものも感じた。


俺もこの世界に完全に適応してきたな。

物から発せられる魔力もちゃんと感じ取れるようになった訳だしな。


「そこでアルベル様にお伝えしたい事があります。」


空気が変わった。

円卓の間で国王候補者が一堂に会した時のような緊張と謎のプレッシャーがアルベルの自室を埋めつくした。


「この世界に『歴史書』というものはありません。」


「えっ・・・?」


予想外の言葉を聞いたアルベルはエリナの透き通るような目に見つめられた。


「は?え?だってその本はこの世界の歴史も、魔法の使い方も色々載ってたぞ!」


「『基本的には』と言っておいた方が正しいかもしれません。魔法学校でも騎士団員養成所でも、『歴史』という授業はありません。なぜなら、この本はこの世に五冊しか存在していない本なのです。」


「なんだそれ・・・頭が情報にさっぱり追いつかねぇ。でも駆除しなきゃならないモンスターとかよ、オーガトロルとか魔獣王達の事は皆知ってるじゃねぇか。特別指定討伐モンスターとか言ってよ。」


「それは・・・この本を所持している一人が複製品を作り出したのです。ですので、この世に五冊しかないと言われているこの本もあまり冊数が関係なくなりつつあります。」


アルベルはエリナの一語一句全てに驚きを隠せなかった。

自分の母親が本を持っていたことも、そもそもこの本がこの世に五冊しかなくて複製品が溢れかえっているだなんて・・・と。

誰が何の目的でそんな事を・・・?


「じゃあ俺の母さんが持っていた本って・・・」


「はい。恐らく複製品かと思われます。」


アルベルはその言葉に安心した。

自分の母親はわざわざ複製品を作り出し、世界にばら撒くなどという謎の行動を取るような人物では無いというのがわかったからだ。


「そんでこの本がなんか国王選挙に関係あんのか?」


アルベルは『魔道の導き』を片手で持ち上げ、ゆらゆらと振った。


「はい。先程申し上げた通りこの本にはこの世界の歴史が記されているのですが、初代国王陛下、『ベルドブール・アンブロシウス』は『原初の魔術師』と共に多大な功績を収めたという事実"以外"全く歴史に残っていないのです。 あぁ・・・勿論我が家の歴代国王の資料には名前以外の情報は無いのですが、国王としての名前は残っているんですけどね。」


何言ってんだ?

「何言ってんだ?」


アルベルはつい心の声がそのまま言葉として口から飛び出してきた。


功績は残ってるけどそれ以外全く歴史にないって本当にどういうことなのだろうか。


「えっと・・・それってつまりどういうことなのか無知な私に教えて頂けますでしょうか・・・?」


アルベルはエリナの言葉が全く理解出来ず、謎に畏まりながらエリナに解説を求めた。


「わかりやすい例えがあまり思い浮かばないのですけど、例えば高祖父は王都から東にあるサバンナ地帯にとある遺跡を作ったのですが、それが歴史書には誰が作ったのか記されていない・・・見たいな感じです。」


んー?何となくはわかったようなわからなかったような気がする。

提出物も出したし、その内容もとても素晴らしかったけど、名前書いてなかったみたいな感じだろうか?


「じゃああの時国王候補者達が冷や汗かいてビビってた理由ってなんなんだ?」


「それは・・・・・・」


エリナは一瞬躊躇した。

その先の言葉に躊躇いがあるほどの内容なのか、それとも、ただ言いたくないだけなのかもしない。

アルベルはエリナが話始めるまで待ち続けた。

そして

「実は・・・アンブロシウス様は現在まで続いているベルドブール王国のそのまた前、つまり600年前に存在していたこの世界の国々を滅ぼした御方なのです。先程も申し上げた通り、初代国王の名前は我が家の資料にのみ記されており、国王選挙にあやかり、候補者には歴代国王のことを伝えておいたのです。」


「はっ!?だってだってよ!そもそもこの世界で初めて魔法使って発展させたのが『原初の魔術師』達なんだろ!?それより前に国があっただなんて・・・理解が追いつかねぇよ。」


「今、この王都の真下には既に滅んだ600年以上前の人々の怨念と憎しみと、その当時に栄えていた国の建築物の残骸が無数に埋まっています。」


この国は既に滅んだ国のと屍の上につくられてるってことなのかよ・・・!


「じゃあ!なんでそれが、世界を滅ぼしたのが初代国王だってわかったんだ?」


「それはこの五冊しかない本物の方の『魔道の導き』に記されていました。」



「十人の戒めを持ちし魔術師に十戒と名付け、世界を混沌へと落とした張本人。統率者『ベルドブール・アンブロシウス』」



「『魔道の導き』にはこのように記されていました。」


「・・・つーことは・・・原初の魔術師を崇拝するための組織が十戒じゃなくて、そもそも原初の魔術師達が十戒を作り出し、現在の凶悪犯罪組織の大元となったってことかよ・・・!そしてそれを統率したリーダーが世界を滅ぼした張本人、初代国王のアンブロシウス・・・。」


何故国を滅ぼす必要があったのだろうか。

その後自分の部活に当たる原初の魔術師達を使ってまた新たに世界を発展させた・・・。



なんつーマッチポンプだ。

そんなことして一体何がしてぇんだ・・・そいつらは。

最初からよく分かんねぇことが多い世界だと思ってたが・・・ここに来てまた謎が増えちまったな。


「そしてここからは私の記憶についてです。」


「ーー!?まさか記憶が戻ったのか!?」


アルベルはエリナに距離を詰めた。

彼女の髪の毛の花のような香りがアルベルの鼻を通り抜けた。

いきなり近づけた真剣そのもののアルベルに対して、エリナの顔はどんどん赤くなっていった。


「おっ・・・落ち着いてください!全てが戻った訳では無いのですが・・・断片的な記憶が少し・・・。」


「そうか・・・!それだけでも一歩前進だ!それで、どんな記憶だったんだ?」


「えっと・・・誰かに何かを言われた記憶と、何か薄暗い場所で、巨大なモンスターの目の前にいる記憶です。」


「そりゃまた物騒な・・・。その何かを言われたって記憶は何を言われたんだ?」


「確か・・・『有り合わせの今で満足するな』と言われました。」


「なんだそれ。どういう意味だろうな・・・。」


「分かりません。何か暗示のようなものなのでしょうか・・・?」

「巨大モンスターってのも気になるな・・・魔獣王の一体かな・・・?」


二人して腕を組み、唸った。

するとあるタイミングで目が会い、お互いに眉間にしわを寄せ悩み会う姿に笑いあった。

初代国王の墓を期間以内に見つけられないとどうなるのか、そもそも墓の場所がどこにあるのか、その答えは誰にも分からない。

だが、アルベルとエリナは今のこの現状を精一杯生きるのだと決意したのであった。

全ては国王となる為に・・・。

お読みいただきましてありがとうございます!!

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