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月桂樹の冠,  作者: 叶笑美
花園へ
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荊姫の残党狩り

きしめんとそうめんが魔女の残党狩りを魔王から依頼されてそれぞれの目的地へと進軍していた。

魔女は基本単独行動なのだが、そんな魔女には宗教に似た信仰心を持つ集団がいる。

魔女本人たちは認知していたり、していなかったり。

中には信仰する人々を集めて土地を治める魔女もいる。

それがシンデレラであったり、チキン・リトルや荊姫などもその1人だった。

信者から生活のための援助を受ける代わりに時々気まぐれで困ったことがあれば能力を使って手助けをするなどしていた。

魔女狩りをした今、信仰していた者たちの恨みを買った魔王軍。

メリリーシャの街に信者によるテロや暗殺の脅迫状が頻繁に届くようになり、各地でパルフェ率いる諜報部隊が情報収集を行い、魔王がきしめんとそうめんに命令を下した。

大小様々な信仰者の集落があるが、魔王の考えでは特に過激で大きい集落2つを落としてしまえば見せしめになるはずとの考えだった。


きしめんはメリリーシャの街を出てラテルネ墓地より西側にある集落に来ていた。

集落に入ると不気味なくらい静かだった。

部下を連れて奥へと進んでいくとどこから出て来たのか、大勢の町人たちに囲まれていた。

みんなして殺気を放ちながら武器を構えている。

「多いな、荊姫の残党って奴は」

「当たり前だ。この不毛の地にあの方は植物を咲かせてくださった」

「荊姫さまがいなかったら私たちは飢え死にしていた」

「よくもあの方を殺したな」

きしめんが不適に笑う。

「武器を下ろすなら、俺が荊姫の代わりになってやってもいいけど?」

「ふざけるな!!お前なんかが荊姫さまの代わりなんか務まるものか!!」

「そもそも我々はお前達魔王軍に故郷を奪われたのだ!!」

きしめんが辺りを見渡す。

「この辺よぉ、なんか薄暗いよな?日当たりよくしたくねぇか?」

町人たちは身構える。

「まぁ、交渉決裂したから更地にするけどさ」

きしめんがハンマーを一振りすると周囲に大きな火柱が何本も立った。

悲鳴が聞こえ、武器を捨てて逃げ惑う町人たち。

「武器を手放すのが遅かったな!!」

さらにもう一振りすると辺りの建物から火柱が立ち集落が崩壊していく。

そんな中勇気を振り絞って武器を握り直し、立ち向かう数人の男達が勇敢にきしめんに立ち向かった。

「やぁぁぁぁああああ!!!」と大きな掛け声を上げて四方から複数人の男たちが槍を突き刺そうとする。

「きしめんさん!どうしましょうか!!」と部下が慌てるのに対し、きしめんは冷静だった。

「全員俺から離れるな!」

きしめんはハンマーを逆さに持ち、力んで魔力を放つ。

すると、火柱から炎の荊が伸び、男たちを貫いた。

そしてその炎の荊が貫いた体を包み、たちまち灰の塊にした。

部下達が唖然とする。

「す・・・すごい!!」

「なんて威力だ・・・」

「よし、残党狩り完了。すまんがあとは頼んでもいいか?魔力消費が激しくて・・・少し休ませてくれ」

「はい!!」

きしめんはその場に座り込み、一息ついた。

灰が残る更地に座り、部下達の働きを何も考えずただ眺める。

「きしめんさん大丈夫かな?」

「すごい火力だったよな。魔力の消費も激しそう」

「きっと他の四天王でもあれだけ消費するような技ってないんじゃないか?」

「きしめんさんは誰よりも魔力が強いけど、調整ができないからな・・・。今ので使い切ったのかもな」

しばらくして、きしめんが回復した頃、部下達による現場の後始末が終わった。

「きしめんさん!終わりました!」

「よし・・・何か収穫あったか?」

立ち上がるきしめんに言いにくそうに1人が答える。

「それが・・・特に何もありませんでした。元々貧困な町でしたので」

きしめんが表情を歪めた。

「う〜ん・・・魔王様に何か献上できる物くらい用意しないとな。きっとそうめんなら任務達成+献上品くらい持って帰るだろ」

しかし、見渡せど黒こげになった平野しかない。

恐る恐る足元に落ちていた墨を拾う。

「こ・・・高級な墨・・・とか?」

「無理でしょ」と即答された。

そこに他の部下が地図を持って来てきしめんに見せた。

「この付近にラテルネ墓地と言うかなり大きな墓地があります」

「いや、さすがに墓荒らしはマズいだろ・・・」

「いえ。墓荒らしではなく、ここにいる墓守の黒い大きな犬のヘルハウンドというのがいるのですが、これなら珍しいので献上品には丁度良いかと」

「ほう・・・」と感心しながら差し出された本に書いてある説明書きを読んだ。

「よし、次はラテルネ墓地に行くぞ!!」

「はい!!」と全員の声が揃った。

その頃、アスタ達はメリリーシャを出てラテルネ墓地に向かって歩いていた。


そうめんは砂漠周辺の廃村に住うチキン・リトルの残党狩りに出向いていた。

砂漠付近なだけあり、太陽光が突き刺さるように降り注ぐ。

暑さの対策のため、そうめんはフードのついたマントを被っていた。

そうめんのケータイが鳴る。

確認していると、今回連れて来た部下のドロップが「きしめんさまからですか?」と聞いた。

「ええ、もう終わったって」

「早っ!こっちはまだ到着したばかりなのに・・・」とギンジョーが苦笑いする。

「気にすることないわ。きしめんの方が近かったのもあるけど、彼の魔法は火力が強いからね。丸コゲにすれば終わる話ですもの」

「そうですよね!こちらはこちらの戦い方でいきましょう!!」

意気込む2人に振り返った。

「もらった情報によると相手は毒使い。まずは私1人で行くわ。連絡するまで近隣で待機してて」

「かしこまりました!」と2人の声が揃った。

そうめんがケータイを確認し、空を見上げると雷雲が発生していた。

「かなり大きな雷雲ですね・・・」とギンジョーが呟くように言う。

「そうね・・・魔王軍の天候レーダーはかなり優秀だわ。また連絡するからよろしくね」

そして廃村の中に入っていく。

「そうめんさま1人で大丈夫かな?」

「大丈夫だよ、魔女の心臓や核でパワーアップされてるんだから!」

その時、ギンジョーのケータイが震えた。

「誰から?」とドロップが聞く。

「きしめんさまのところからだ。今終わったって」

「さっきのそうめんさまの連絡は?」

ドロップが小首を傾げる。

「さぁ?四天王だし、早く来ただけじゃない?」

「そっか!・・・それにしてもさ、2人きりになるの久しぶりだね!!」

「そうか?この前の魔女の勉強会準備も2人きりだったじゃないか!」

「違うよ!2人きりで魔王軍の外に出るのだよ!!」

2人は魔王軍内の腐女子たちから多大な指示を得る公認カップルである。

「カップルじゃない!!」と口を揃えた。

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