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月桂樹の冠,  作者: 叶笑美
メリリーシャの街
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チョコが目覚めたら病院のベッドの上だった。

どうやらあの後アスタ達3人が警察を呼んだり、大使館に連絡して対応してくれたようだ。

体を起こすと、アスタが礼服を持ってやって来た。

「起きたか?とりあえず着がえろ。葬式に出るぞ」

チョコは着替えて、あすなろ荘でアイリスのお葬式に参列した。

最後にアイリスをメリリーシャの西側にある共同墓地に埋葬する。

あすなろ荘の子ども達は墓前で泣く子もいれば、涙が枯れて無表情の子もいた。

チョコがそんな子達をなぐさめる。

「姉さーーん!」

「うわぁぁ!!」

「姉さんはね、虹になったんだよ。雨が上がれば綺麗な姉さんが見守ってくれてるんだ。だから今は辛くても必ず笑うんだよ。姉さんはいつまでも僕達を愛してくれてる」

そこへアスタが来た。

「チョコ・・・一体、あすなろで何があった?」

チョコは子ども達から離れた場所で事の全てをパーティに話した。

「そんな・・・」

「あすなろが・・・。信じられない」

大使達がチョコの元へやって来る。

「アイリスさん、残念だったな」

「あすなろの子達の手配は整いましたよ。皆バラバラになりますが、メリリーシャで信頼できる施設や里親を見つけました」

マタリとパトロックの言葉に「ありがとうございます」と頭を下げる。

「それでチョコの事なんだけど、ブラックサレナのファンだというメリリーシャの夫婦が里親として立候補して下さっているよ。子どものいない夫婦なんだ」

「すいませんが、僕のところはお断りして下さい」

「チョコ・・・何で?」

シャロンが心配そうに傾げる。

「アスタ、今週中にメリリーシャを離れるって言ってたよね?」

「あぁ・・・」

アスタを真っ直ぐに見た。

「僕を連れてって。僕の一族は魔王によって潰された。他の子達も、アイリス姉さんも!この悲しみの連鎖を止めたい!僕には魔王と戦う理由がある!」

「チョコ、危ないよ!」

「行かないで!」

あすなろ荘の子ども達が近寄り抱きつく。

「ごめんね。僕はもう決めたんだ。アスタ達と共に戦うよ」

「ブラックサレナ!」

シスターが呼んだ。

「花言葉は恋、呪い・・・そして復讐」

チョコがシスターを見る。

「でもあなたは誇り高きグラディエーターよ。復讐の為に戦うのなら止しなさい」

「わかってます。僕は決して復讐の為に魔王に挑んだりしません。姉さんも・・・誰もそれは望んでいないから、皆を悲しませてしまう」

チョコの目に決意の色が宿る。

「今後あすなろの様な事があってはいけない!この戦いは魔王の所業を阻止する為、悲しむ人を出さない為のものだ!僕は僕の正義の為に、そして未来の為に戦う!!」

「そうですか。・・・少し、寂しくなりますね。皆さんの健闘を祈ります」

「アスタ、キャメリア、シャロン。僕を仲間に入れて下さい!!」

「もちろんだ!一緒に行こう!」

チョコとアスタが力強く手を握った。


出発の朝、チョコは1人あすなろ荘のピアノに座ってドビュッシーの亜麻色の髪の乙女を弾いていた。

側にはアイリスの写真とアヤメを飾っている。

弾き終わり写真を見た。

「姉さんと一緒。亜麻色の髪の乙女だよ」

写真を持って中に写るアイリスに声をかけた。

「もう一度、連弾したかったね。僕はいつも間違えるけど、姉さんが優しく教えてくれたよね」

写真を置き、マントを被った。

床には反射のせいか、虹の様な光が輝いていた。

「それじゃあ」

ドアを開け、振り向く。

「いってきます」

そう言い残し、育った思い出いっぱいのあすなろ荘を後にした。


チョコが加わりパーティが4人になった。

新たなパーティで大使館を訪れる。

「はい、これ。エディブルの花園で門番に渡してね!」

シャロンがマタリから受け取った。

「ありがとう!」

大使たちの奥からビストートが出て来る。

「ほら、餞別せんべつだ」

焼き菓子のアマレッティを一袋貰った。

「ビストート!」

「ありがとう!」

「やっぱりビストートは優しいね!」

「バカ、お前らが道中飢えて拾い食いしないようにだよ!」

リントンとシスターがクスクス笑う。

「何だよ?」

ビストートが顔を赤くして2人を睨みつける。

「何でも!」と言ってシスターが咳払いをした。

パトロックが方向を指差す。

「街を出て、西へ行く方が距離的には近いんですが、その前にあるビスコッティ山脈から行くには慣れた人がいないと越えるのは難しいので、北東へ向かって下さい!」

「わかった、ありがとう!」

「北東に行くならラテルネ墓地を経由するはずよ!そこで墓守をしているフィサリスって死神がいるわ!その子にこの手紙を届けてくれないかしら?」

シスターから墓守のフィサリスへの手紙を一通受け取った。

「わかりました!」

「お願いしますね!」

リントンが大きく手を振る。

「それじゃあみなさん、お気をつけて!」

「世話になったな!ありがとう、皆!!」

みんなで見送る中、ロマは一言も発しなかった。

アスタも少し気にしてはいたが、諦めて前を向きメリリーシャの門へと向かった。

しかし、門を少し出た所で後ろから声が聞こえた。

「おい!」

ロマが顔を赤くして走って追いかけてきたのだ。

パーティが振り返る。

「ロマ・・・」

「・・・絶対!」

ロマが手を後ろに隠している。

「絶対!勝って戻ってこいよ!!」

そう言って赤くなりながら袋を差し出した。

「僕が改造したネスリングだ!」

アスタがその袋を受け取る。

「ありがとな!必ず戻る!!」

「当たり前だ、バーカ!お前らだけならまだしも、チョコがいんのに負けるわけないだろ!」

「まったく、ロマは最後までその調子だな!」

アスタがロマに向かって拳を出す。

「最後じゃないだろ。・・・またな」

ロマも拳を突き出してお互いに軽く合わせた。

こうしてパーティは次の地を目指した。


パーティが街を去る数日前のこと。

きしめんとそうめんが魔王に呼び出されていた。

「魔女の残党が街の外にいるみたいなの。あなた達で退治してきてくれない?場所はラテルネ墓地とペッパー砂漠付近よ」

「かしこまりました」と2人は声を揃えて答えた。

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