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月桂樹の冠,  作者: 叶笑美
メリリーシャの街
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正義と悪と白と黒

アスタをまいてプルチネッラを追いかけるきしめんとパルフェ。

しかし、2人はプルチネッラを見失った。

「ダメだ!人が多すぎる!一度路地に戻るぞ!」

2人が路地に隠れる。

「とりあえず、パンツ代わりになるものは持って無いのか?」

「そんなこと言われても・・・あ、絆創膏」

パルフェがポーチから大きめの絆創膏を出す。

「やめろ!生々しい!」

きしめんがズボンに手をかけた。

「しょうがない、俺のパンツでも使え。俺ズボンだし」

「嫌よ!下着の共有なんて例え相手が葵でも御断りだわ!!」

仕方なく手拭いを出した。

「そうだ、手拭いならあるから、コレを使え」

「応急処置ね。それでいきましょう!」

半分くらいまで中央から裂く。

裂いた部分をグルグルと捻り、スカートの下から腰から前に持って来る。

前で結んだら残りの布を股を通して前で女子必須アイテム、ヘアピンで固定した。

「ふんどしって初めてだけど、悪く無いわね!」

そこへアスタがやって来た。

「追いついたぜ!おバカコンビ!」

「もう追いついたの!?」

「どうしてここに!」

「ヘンゼルとグレーテルって話を知ってるか?」

「山に捨てられる道中、子どもがパンクズを落として行き、帰ってきたってやつだろ?まさか、ガキは侮れないとでも言いたいのか?」

「いや・・・」

アスタがきしめんを指す。

「お前のポケットから飴玉が出てたから」

ハッとして見ると袋に入った飴が反撃様のナイフで切れてできたズボンの穴から溢れ落ちていた。

それはさっき木に引っかかった風船を取ってあげた女の子がお礼でくれたものだった。

「このバカ!」

「面目無い・・・」と申し訳無さそうに縮こまる。

「俺から見ればどっちもどっちだけどな」

きしめんが構えた。

「パルフェは下がってろ!俺がやる!!」

対抗するためアスタは剣を構える。

「やる気は充分だな!」

アスタが刀で突き刺すように突進すると、きしめんは片足を下げて半身を退いて避けた。

その下げた足でアスタの足を払われて転ける。

「いててて・・・」

「立派な剣は持ってるが、使い方は下手なようだな!」

「格闘で私達に敵うわけないでしょ」

『どうしたもんか・・・逃げ切る自信もないし。変な正義感で下手に追いかけるんじゃなかった。相手は四天王2人・・・ここまでか?』

突然、アスタときしめん達の間に人が現れた。

「お前は!」

「プルチネッラ!!」

アスタが3人を見比べる。

「プ、プルチネッラだと!?」

白いパーカーを着たプルチネッラが笑いながらアスタに体を向けると頭上から紙を一枚落とした。

ヒラヒラとゆっくり落ちていくのを唖然と2人が見ている。

右、左と落ちる度にアスタが削られたように消えていく。

完全に落ちきった時にアスタはその場から消えていた。

プルチネッラが紙を見せるとそこにはアスタがまるでそこにいるかのように描かれている。

「え!?」

ニヤニヤと笑いなが紙飛行機を作って空高く飛ばした。

旋回しながらゆっくりと降りてくるそれをきしめんが掴んで広げるとただの白紙だった。

気づくとプルチネッラはいなくなっていた。

「・・・やられた」

「まるで道化師のように魅せられたわね」

2人はただ佇んでいた。


人気の無い場所でアスタの紙を紙鉄砲に折り、そして鳴らす。

するとアスタが紙から飛び出した。

「わっ!わっ!はっ!!」

混乱してあたふたする。

「あ、ありが・・・」

振り返るとそこには誰もいなかった。

「・・・夢でも見ていたような気分だ」


葵が移動中、ケータイにきしめんから電話がかかってきた。

「きしめん。どうした?」

「今、パルフェと祭に参加する依頼を受けたんだ!そこに、プルチネッラがいた!!」

きしめんの声から興奮状態を察する。

葵もプルチネッラという言葉に少し興奮したように早口になる。

「本当か!それで、プルチネッラをどうしたんだ?捕獲は?」

「・・・いや、逃した。アスタとの戦闘中に現れたんだが、あいつを紙にして一緒に逃げられた」

葵が大きく息を吐いた。

「・・・そうか」

「そういえば、今回あいつは白いパーカーを着ていた」

何か引っかかる。

「白?今まではお前の見た時やパルフェの部下の時も、俺の時も全て黒だっただろ?」

「そうなんだが、今回は何故か白を着ていた」

少し黙って考える。

『白・・・確か魔王様にプルチネッラのことを話した時にも色を気にしていたな。白でなく黒だと言った時に不安は残しつつも、安心されていた・・・。プルチネッラは2人いる?そして白い方に何かあるのか?』

「なあ、きしめん。パルフェは何か考察していなかったか?」

「パルフェと話し合ったんだが・・・その・・・」

きしめんが口ごもる。

「何だ?」

「まあ、自分らも他の服持ってんだからあいつも違う服持ってても不思議じゃないよねって結論になった・・・」

『ウチの四天王ってバカなのかな?』

電話を耳に当てながら真顔で遠くを見ていた。

「ふーん」

「お前、今呆れてんだろ?」

図星な返答に焦る。

「あ、え!?そんなことないよ!一意見として考えてたんだよ!服装を変えることで複数人に見せかけてとか・・・な!」『こいつ、こういう勘は良いんだよな・・・』

「まあ、いい。以上が今日の報告だ」

「ありがとう。報告なんていつも俺にはしないのに珍しいな。プルチネッラが絡んだからか?」

「・・・贖罪しょくざいだ」

きしめんがボソッと小声で言う。

「贖罪?何の?」

「パルフェに口が滑った」

その途端、電話の向こうで明らかに葵の動揺がうかがえる。

「何で!?言うなって、俺!切る!!」

慌てふためく声の後、電話が突然切れた。

「普段冷静な葵もあんなに焦るんだな。本当ごめん・・・」

さすがにきしめんも申し訳ない気持ちでいっぱいになったとか。

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