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月桂樹の冠,  作者: 叶笑美
メリリーシャの街
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魔女の心臓と核

四天王たちに招集がかかり、メリリーシャの郊外に置いたある拠点に一同が集まっていた。

建物の外周を高い塀で囲まれて外からは何も見えないようになっている。

塀をくぐると中の建物は体育館や工場のように天井の高いが何もない空間だった。

何かあるとすれば、四天王たちの目の前に魔王の座っている椅子があるくらいだ。

「長らくお待たせしたわね。ついに技術班によって完成したのよ、魔女の心臓と核の取り入れ方法が」

その報告に4人が喜ぶ。

「そうだ、最初に言っておくわ。そうめんが持って来てくれた白雪姫の核だけど、ハンターの核が作った偽物だったわ。せっかく持って来てくれたけど、核の変換実験中に溶けて消えてしまったの」

「そうでしたか・・・気付けなかったこと、申し訳ありません」

「まあ、核だったから大丈夫よ!本命の心臓2つは手に入れてくれたんだから!!よくがんばったわね!!」

「寛大なお言葉、ありがとうございます!」

そうめんが一礼した。

そして目の前にサイコロ程の大きさをした肉のパテのようなものと水が用意される。

「これが今の魔王軍の技術でできる最小のサイズなの。・・・悪いけど噛まずに丸呑みしてね」

魔王は少し申し訳なさそうに言った。

『これを丸呑みってデカくない?』『ソーセージの角切りっぽいし噛みたかった』『俺のやつみんなよりちょっと大きくないか?』『・・・』などと各々思うも口に入れて水を飲んで無理に流し込む。

四天王たちの表情が苦痛に歪むのは喉で苦戦を強いられているからであろう。

さらに水を追加で飲み無理やり流し込んだ。

無事に飲み込んだのはいいものの、全員が肩で息をする。

余程苦しかったのだろう・・・

しかし、しばらくしてから様子が変わった。

腹の底から力が漲ってくるような感覚が来た後、葵は体に入れてある雷の妖精が暴れ出した。

雷が体を纏い制御が効かない。

きしめんも炎の妖精が暴発して炎が全身を纏う。

そうめんやパルフェも自分の体の中から暴れる妖精の力を感じ取る。

魔王はパルフェに近寄ると、キラキラと神々しい光を放つ、かつて体内に入れた妖精のようなものを手にしていた。

「これはハンターの核よ。初めて妖精を体に入れた時よりは苦しまないと思うわ。がんばって入れてみて」

パルフェは一つ頷くと覚悟を決めて腹に押し込んだ。

「うぁ・・・ぁ!!」と苦しみ膝をつくのも束の間、パルフェはすぐに立ち上がった。

「よかった。もう馴染んだみたいね」

椅子に腰掛けて魔王が四天王たちに語りかけた。

「葵、何か魔法を使ってみてくれる?」

葵がサーベルを抜いて雷を使おうとすると辺りに冷気が広がり、雷雲が発生した。

一振り、用意されていた人形目掛けて雷を放つと木っ端微塵に砕けた。

「す、すごい・・・!威力もスピードも段違いだ!!」

「葵は白雪姫とチキン・リトルの心臓を入れたから雷雲を発生させることができたわ。あとスピードはあなた自身の移動スピードもアップしてるわよ」

「2体分だったからみんなより一回り大きかったのですね」

それを聞いてきしめんが物申す。

「ちょっと待ってください!!なぜ葵だけ2つももらえるのですか?俺だって2体魔女を倒しましたよ!!」

「これはね、相性の問題なのよ。それにきしめん、あなたは取り入れた心臓が1つでも攻撃力はあなたの方がまだ上なの。これはきしめん自身が持つ素質。誰かに妬まれようがあなただけの持って生まれた宝よ。だから葵に嫉妬しなくてもいいの」

「嫉妬なんて別に・・・」と尻すぼみに言う。

「さあ、きしめん!あなたのも見せて!」

そう言われて渋々ハンマーを構えて炎を出そうとすると火柱が立った。

「なんて威力なの・・・きしめん!すごいじゃない!!」

魔王に褒められ嬉しそうに「はい!」と返事をする。

「単細胞」と小声で言うそうめんを睨みつけた。

「あぁん?なんか言ったか?」

「何も」とそっぽを向く。

「やっぱりあなたの力強い火力はシンデレラの心臓がぴったりね!!じゃあ次はそうめんのを見せて頂戴!」

そして部下たちがはこんで来たのは中型犬程の大きさのあるキノコ型のモンスターだった。

「これ・・・毒耐性のあるモンスターですよね?」

「ええ。それもかなり強い耐性を持つ種族よ。さ、あなたの魔法を見せて!」

そうめんは針を取り出し、一刺しすると、「キュウウゥゥゥゥゥゥゥ」と苦しそうな声を上げて数歩歩き、倒れた。

「毒が・・・変化している」

「ええ。あなたには形状変化の特性があったキャンドルの心臓を与えたの。あなたは他の四天王・・・いえ、どの部下よりも魔法を使うのが苦手だけど、魔法の消費が比較的少なく、勉強熱心なあなたはその能力を上手く使ってもっと技を磨くことができると思うわ!!もちろん、魔法の使い方もがんばってね!!」

「はい、ありがとうございます!」と姿勢を正して礼を伝えた。

「パルフェはちょっと待ってね。その前に・・・」と言って部下に心臓と核を運ばせた。

次は魔王自身が心臓と核を取り入れた。

2つを同時に取り込み苦しむと「魔王様!!」と四天王たちが心配して声をかける。

多少苦しむも四天王の手前、すぐに笑顔を向けて見せた。

「大丈夫。そんなに心配そうな顔をしないで」

その言葉を聞いて四天王たちが平常心を装う。

そして、魔王の妖精が魔女の心臓と核と融合し安定した頃、四天王たちはさらなる力を得た。

「今の私が取り入れたのは荊姫の核と心臓よ。さ、パルフェ!その双眼鏡を覗いてご覧なさい!」

「はい」と1つ返事して恐る恐る覗いてみると千里眼の回数が10回に増えていた。

「あれ!回数が増えてる!!」

「あなたの千里眼は人物さえ把握していたら相手がどこにいても10秒間だけ見れたけど、その分1回ずつの魔力消費が激しかった。だから今回の核と心臓で魔力消費量を抑えて、回数が10回に増えたのと、秒数も30秒に増やすことに成功したの!」

葵が少し嫌そうな顔をする。

『増えちゃったのか・・・組織のため仕方ないか』

葵は自分のストーカー被害よりも組織運営を取った、組織人のかがみである。

「魔王様の取り込んだのも関係があるのでしょうか?」

パルフェの質問に魔王が答えた。

「ええ、もちろん!みんなの武器を使っての能力は私を介して使われているわ。だから、その媒体である私自身がパワーアップすることによって、みんなに還元できるの!」

するときしめんが挙手した。

「あの、今試してみても?」

「それはダメよ!!個人の取り込み分だけであの威力なの!!ここで新たに得た力分を使ったら、それこそこの拠点が吹き飛ぶわよ!!」

サッと手を引っ込めた。

「みんなのますますの活躍、期待してるわよ!!がんばってね!!」

「はい!!」と4人が声を揃えて言った。

「あ、それと」と魔王が続ける。

「葵、あなた最近雷を無駄に使いすぎよ」

「あ!その・・・すいません。ちょっと色々ありまして・・・」

恥ずかしそうに頭を掻いて俯く。

「きしめんも!最近変なところで炎を使ってない?こんな街中で何をそんなにぶっぱなすことがあるのよ?」

「え?・・・あ、すいません」

完全に油断していたきしめんも返す言葉もなくただただ謝る。

「パルフェは深夜帯に毎日毎日使ってるわよね?任務ならわかるけど、無駄使いしているでしょ?」

「う・・・すいません」

パルフェが口を紡いだ。

「そうめんは・・・あなた使わなさすぎよ。魔法が苦手なら尚更使いなさい!そして練習するのよ!!」

「は、はい・・・すいません」

みんな予想外の説教に面食らった。

「もしかしてみんな何かそれなりに困りごとでもあるの?特に葵ときしめんみたいな威力の強い2人がこんな人の多いところで魔法を頻繁に使うなんて・・・」

2人にはアスタの顔が浮かんでいたが口を割らなかった。

しかしパルフェが割った。

「この2人、旅人のガキンチョ相手にぶっぱなしてるんです」

「あ!こら!!」「言うな!!」と2人揃って慌てて遮ろうとしたが「パルフェ続けて」と魔王に促されて続ける。

「だいたい3人くらいで行動してる葵の情報収集役をしている子どもがいるんですが、情報提供よりもいたずらが多いんですよね。それでよく餌食になってるのがこの2人なんですが、あんな世間知らずのガキンチョ相手に本気でやり合ってなんならたまにやられてるなんてプライドが許さないからこの2人は口を割らないんです」

「まあ、そんな子どもがいるの?」

「魔王様!パルフェだってそれなりに奴らにやられてますよ!!」

「きしめん!私のは言わなくったっていいでしょ!?」

「自分だけ無傷でいられると思うなよ!!」

「3人ともバカね」と黙っていればいいものをそうめんも喧嘩を売る。

いつもの醜い足の引っ張り合いが勃発した。

『この四天王たち、この喧嘩さえなければ完璧なのに・・・』と魔王も呆れる。

魔王が手を叩いて喧嘩の中断をさせる。

「その困ったちゃん達は一度魔王軍の恐ろしさを思い知らさせてあげるために手を打つわ!!葵、その子たちの情報はこちらには提出してるわよね?」

「はい、前に言っていたアンティパストから彼女が欲しいという動機で出て来た連中の1人と、東の大陸の召喚士と魔導師の3人と、あとはたまにブラックサレナが混ざってます」

「葵もさ、そんな奴ら切ればいいじゃない!!大した情報無いんでしょ?」

「ああ、ほぼ無いは無いんだが、あいつらといる時に科学の世界の組織と接触したり、アスタ自身が組織の奴と接触したりもしたそうだ。少ない情報だが、引きは悪くないんだよ」

『というのは建前で本音は色々あって養子設定になってます』なんて口が裂けても言えない。

「へぇ・・・なるほど。ちょっと一度考えさせて」

「は、はい」

「そうだ!魔王様」と葵が付け加える。

「こいつが夜中に千里眼使ってるのは俺へのストーカー行為です」とパルフェに指差した。

「んぐぅ!!葵!!」と睨むが冷ややかな目を向けられる。

「そう。深夜帯は許可制にしておくわ」

ショックを受けるパルフェに魔王も冷ややかな対応を取ったという。

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