ゴムゴーレム
アスタとチョコがビストートから科学の世界の瞬間冷凍機を見せてもらい、その後2人で輸入品一時預かり場を出ようとしたら、そこには白い大人大の人形がいた。
「今ターゲットと接触したわ!」
パルフェが双眼鏡を覗きながら葵ときしめんに報告する。
「そうか、引き続き観察と報告を頼む」
「任せて!」
パルフェが双眼鏡を離した。
「私の能力、千里眼は外見を認知した相手をどこまででも見えるけど、回数と時間に制限があるのが欠点ね。10秒だけじゃ、あいつらのやられる過程が見えなくて残念!」
「それは仕方の無いことだ」
「それで、接触しているのは何人だ?」
葵が質問する。
「もちろん、アスタとブラックサレナの2人よ!」
きしめんがパルフェを横目で見て顰める。
「そいつら以外で近くにフードを被った奴はいなかったか?」
「フード?」
傾げて聞き返した。
「コロシアムの日に俺を狙撃したというフードを被り仮面をつけた男だ!」
「ああ、それならウチの四姉妹のマンゴーがやられたという奴ね。今きしめんと葵の部下たちと一緒になって捜索してるのよね」
腕を組んでパルフェときしめんの話の内容について考える。
「ウチは敵の多い組織だからな・・・。そいつに関しては情報が少なすぎるから、特定はまだ難しい。見る限り、常にこいつらを見張っているわけではないようだしな。コロシアムの日はたまたまということか?」
「そういえば、葵はよくいらんことやられてるのにこいつらと一緒に行動してるわよね?」
「そうだ、俺もいつも思ってたんだが、何か弱味でも握られてるのか?」
急な2人の鋭い考察に動揺する。
「だ、大丈夫だよ!本当!」『実は同じホテルに泊まって、全額払わされてます!』
「まったく!許せない連中ね!葵に危害を加えるなんて!」
『なんならこの街に来るまでの移動も相乗りしてます!!』
「まあ、こいつで仕返しといこうや。葵だけじゃなく、俺ら含めてのな」
『あいつらのレベルアップのためのお金も支払わされました!!』
葵の汗が止まらなかった。
そんな彼の横ではきしめんが手を顔の前で組んで真剣な表情で、目の前のボードに貼られたゴムゴーレムの情報を見ていた。
ゴムゴーレムを見た2人が動揺する。
「え?何これ?こんなんあったか?」
「人形・・・かな?大きいね。さっきまでなかった気もするけど・・・」
体を軽く触ると思いっきり殴られた。
「何こいつ!?」
「アスタ大丈夫!?」
頬を押さえるアスタに駆け寄り起こしてあげる。
「とにかく逃げるぞ!!」
「うん!!」
そして2人で走りだした。
相手も追っては来るが追いつきはしない。
「あいつ足はそこまで早くないな!」
「このまま、まけそうだね!あそこを曲がろう!」
2人がコンテナとコンテナの間にできた道を使って上手いこと逃げる。
「ここまで逃げれば来ないだろ!」
「一応あそこの陰に隠れよ!」
しかし、コンテナの角を曲がるとゴムゴーレムがいた。
「うわ!先回りされた!?」
「アスタさがって!!」
アスタの襟を掴んで後ろにさげ、構える。
そして力いっぱい殴りつけた。
「あれ!?」
「どうしたチョコ!!」
ゴムゴーレムの体は揺れパンチの衝撃を受け流している。
「変なんだ!全然ダメージを与えた感覚がない!!」
動揺している隙に蹴り飛ばされ、チョコの体がアスタに直撃する。
「ごめん・・・アスタ」
「チョコでも無理なのかよ!」
肩を担いでチョコを起こす。
「殴打はダメ!何か攻撃方法は!・・・そうだ!!」
刀を構え相手に突進して切りつけ、胴を2つに割る。
ゴムゴーレムは倒れて動きが止まった。
「止まった!」
「へへんだ!流石に真っ二つは動けないだろ!」
するとゴムゴーレムが変形してそれぞれで形成され、さっきの半分ほどのゴーレムが2体できた。
「増えた!!」
片方のゴーレムがアスタを殴り飛ばす。
殴られた頬を押さえて叫ぶ。
「ぃってぇーー!!でも、こいつさっきよりは威力が減ってる!!でも・・・いってー!!」
「きっと小さくなった分威力は減ったんだ!とにかく逃げよう!!何か策を練らないと!!」
また2人は逃走した。
「ふふっ!切った切った!ゴムゴーレムが分裂したわ!」
「あいつらは今どうしてる?」
きしめんの問いに嬉しそうに答える。
「分裂したゴムゴーレムを見てまた逃げたわね!」
「そうか」『パルフェの能力は今3回目か。あと2回だな。上手いこと決着が見られればいいが・・・』
パルフェの能力の上限を葵は計算しながら結末を心配した。
「どうする!?どうする!?」
「打撃も切るのも通じない相手なんてどうやって戦えばいいの!?」
2人が曲がって立ち止まる。
そこは最初にいたビストートの瞬間冷凍機とシュレッダーのある空間に戻ってきていた。
「行き止まりだ!!どうしよ!!もうダメだ!!」
「いや、チョコ!俺たちはここであいつらを迎え撃つ!!」
アスタは真っ直ぐにシュレッダーを目で捉えていた。




