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月桂樹の冠,  作者: 叶笑美
メリリーシャの街
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荊の少年たち

「あぁ!!荊姫いばらひめさま!!」

5人の少年たちが薔薇が咲き乱れる廃墟で天を仰ぎ、月に向かって嘆く。

煉瓦造りの建物だがら吹き抜けは壁から天井にかけてガラス張りとなっており、月明かりが眩しいほど降り注いでなんとも神秘的な空間になっている。

「あなた様がお亡くなりになって早数日・・・」

「我々には生きる希望が見出せません!!」

少年たちは荊姫がいなくなってからというもの、毎晩悲しみに暮れていたのだ。


パーティとチョコの4人が散策をしていると、郊外に廃墟を見つけた。

「なんかここ、薔薇の花がいっぱい咲いてるわね!」

キャメリアが薔薇に近づいて匂いを嗅ぐ。

「いい匂い!!」とシャロンも真似をして嗅ぐ。

「入ってみようぜ!中にもたくさん咲いてるかも!!」

アスタとチョコが走って入って行く後をキャメリアとシャロンも追いかけた。

廃墟の中は天井がガラス張りで日当たりが良く、辺り一面に薔薇が咲いていたが、どこか整えられた印象を受ける。

レンガ造りの壁は一部壊れている所もあるが、1番大きな部屋の真ん中にはテーブルと椅子が6脚置いてあり、まるで今でも使われているかのように綺麗にされていた。

「綺麗・・・」と思わずチョコが漏らすと人がやって来た。

「誰だ!!」

声に振り返ると同じくらいの年齢の少年が立っていた。

一繋がりの真っ黒の服に、首元にはリボンをつけていてとても品の良さそうな、まるで貴族のようないで立ちをしている。

髪の深い赤色は大切に育てられている薔薇の一つと同じような色である。

「ご、ごめんなさい!僕たち、そこの街に住んでて、探検してたら見つけたから入っただけなんです!誰か住んでるとは知らずにすいません!!」

チョコを頭からつま先まで満遍なく見ると少年は一つ笑って見せた。

「お前、知ってるぞ。ブラックサレナだな?」

「あ、はい・・・」

「しかし、他は大したことが無さそうだな。召喚士の持つ水の精霊は魔力が強そうだが使い手の器が小さすぎて使いこなせて無さそうだ」

その言葉にカチンと来る。

「何よ失礼ね!!」

「他人の家に勝手に上がり込んだのは棚に上げて大層なご身分だな」

キャメリアは返す言葉も無く膨れていた。

「おい、だけど初対面でいきなり大したことない発言は失礼だろ!撤回しろ!!」

「そうだ!この大魔導師シャロンが成敗してくれる!!」

そう言って「グランク!!」と杖を振ると目の前では何も起こらなかった。

しかし、別の場所から「イテッ」と聞こえた。

「あ・・・杖まだ調子悪いや!!」

周りからさげすんだ目で見られながら片目を閉じて舌を出し、恥ずかしそうに笑っていると、周囲から他の少年たちが現れて完全に囲まれた。

「お前たち、ここから出られると思うなよ!」

「よくも氷の塊をぶつけてくれたな!」

「こいつらを飼って一生ここでこき使ってやろうよ!」

「いいね。丁度使用人が欲しかったところだ!」

「何より、傷ついた僕たちをせいぜい楽しませて忘れさせろよ!」

天井から伸びたトゲがチョコの影を刺す。

「う、動けなぃ〜!!」

必死に体を動かそうとするがビクともしない。

薔薇の彫刻が彫られた針と薔薇の装飾が施されたナイフを持った2人の少年たちが瞬時に間合いを詰めた。

シャロンが両腕を針で刺されると薔薇のタトゥーが入り、腕の自由が利かなくなった。

もう1人、ナイフを持った少年がキャメリアの背後に回り、二の腕を切りつけた。

その切り口からは血ではなく、薔薇の花弁が溢れる。

それを手に受け取り、仲間に配ると、みんなで花弁を口に入れ食べ始めた。

「な、なんか急に体力と魔力が消耗されたわ・・・!!」

キャメリアがその場にしゃがみ込む。

「わ!わ!!」とシャロンが慌てながら叫ぶが全く言うことを聞かず、魔法の杖でアスタの頭を殴りつけていた。

「イテっ!イテっ!!」と逃げ回るがシャロンがついてくる。

そんな逃げ回るアスタの足元からトゲが突き出し、足を串刺しにした。

「ぐわぁーーーー!!!」と叫び転げ回るアスタに「大丈夫!?」と言いながら杖で叩きつけるシャロン。

そして最初にいた少年が怪しく笑うと薔薇の花弁が大量に舞い、4人を包み込んだ。


「あれ?みんなは?」

アスタが見渡すと誰もいない。

しかし、目の前に突然現れた海から、人魚たちが「アスタさまーーーー!!!」と目をハートにして手を振る。

「アスタさまー!!!」

振り返るとアンティパストを出た仲間たちとイチャイチャチヤホヤしていたナイスバディお姉様たちまで迫ってくる。

アスタは鼻血を垂らして囲まれていた。


「ふん!ほら、大したことない!」

「メアの幻覚にちゃんとかかってるね!」

「僕たちロザの一族にかかれば大したことなかったね!」

4人はヘラヘラしながら床に座り込んでいた。

「僕の強さが世界一になったよ〜」「私のイケメン金持ち婚約者様ぁ〜」「うへへ、シャロンは大魔導師ぃぃぃ・・・」

「さ、お茶にしようか」と言うと手を二つ叩いた。

「使用人ども、お茶の準備をしろ」

4人は終始だらしなくニヤニヤしながらテーブルを拭き、お茶を淹れ、椅子を引いて座らせる。

「メアさま、お次は何をしたらよろしいでしょうか〜?」

アスタがメアに聞くとアゴに手を当てて考えた。

「そうだ!きしめんと葵を倒してこい!2人の生首を持って来ること!!」

それに少年たちがクスクスと笑いながら4人がメリリーシャに行く姿を見送っていた。


メリリーシャに着く前にシャロンが突然杖を振り魔法を使い始めた。

「大魔導師のお出ましだー!!グランク!!」

するとアスタの頭上に氷の塊が落ちて来た。

「イッテ!!何すんだ!?・・・あれ?お姉様たちは?」

アスタが正気に戻り見渡すとヘラヘラとだらしなく笑う仲間たちがいる。

そして足の痛みに気づいた。

「イッターーーーー!!!」と転げ回る。

「僕は1番だぞーー!!」とチョコがキャメリアを殴ったらキャメリアも目を覚ました。

「あれ?今何してたっけ?」

アスタとキャメリアがシャロンとチョコをビンタして目を覚まさせる。

「イッタ!!・・・ここどこ?」

「・・・何してるんだっけ?」

アスタが痛そうに表情を歪めるのでシャロンが杖をつけて足の回復してあげる。

「きっとあのメアって奴の能力だ!!俺たちはハメられた!!」

「たしかきしめんと葵さんの生首持って来いって言われたわよね?」

キャメリアの言葉を聞いてアスタの目が光る。

「ご所望通り連れて来てやるよ!ただし体ごとだがな!!」

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