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月桂樹の冠,  作者: 叶笑美
メリリーシャの街
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裸の王様

アスタは気が付くと両手足を椅子に縛られていた。

「起きたぞ、葵」

葵が近づいて来る。

「葵!?きしめん!?・・・ここは?」

「お前に聞きたい事がある。妖精の幻のペンダントはどこだ?」

アスタが口を紡ぐので、葵はアスタの腰にあるカバンを漁った。

「どうせこの中に入っているんだろ?」

「やめろ!バカーーー!!」

アスタが焦る様子を見て確信を得る。

「葵!やっぱりそこにあるみたいだ!こいつの焦り方が尋常じゃない!」

更に葵が漁って中からケースを取り出した。

「このケースが怪しいな」

そう言ってケースを開けて探る。

「やめろーーー!!どこ行ったかわかんなくなるだろ!!」

ハッとして口を紡いだ。

2人に見つめられる。

「おい!一体どこに隠した!正直に言えば無事に解放してやる!!」

「身の為に言っておけ」

アスタは苦しそうな表情をしたものの、諦めて俯いた。

「・・・分かった。ただし、慎重に扱わねばならない物だ!お前らみたいな雑な奴らに任せられん!どうかここは一つ、手の縄だけ解いて俺に扱わせてくれないか?」

葵ときしめんが見合わせる。

「どうする?」

「ガキとは言えこいつは侮れん」

葵がアスタの足を見る。

「だが、足にも縄があるからな」

「そうだな。逃げられるとは思えない」

そして葵がアスタに振り向いた。

「いいだろう!その代わり、前で縛り直させてもらう!」

仕方なく後ろで縛っていた手の縄を解き、前で縛り直した。

そしてアスタがカバンからケースを取り出し、覗く。

『やっべ!どこかわからん!!こいつら〜!!』

チラリと苦悶の表情で2人を睨む。

『ま、どうせ俺は妖精の力とか関係無いし、ここは時間を稼いで機をうかがって逃げよう!』

ペンダントがあるらしき所から空気を取り出して見せた。

「これが幻のペンダントだ!」

2人が怪訝そうな表情を浮かべる。

「は?何も無・・・」

発言しようとするきしめんを葵が制した。

「そのペンダントの噂なら聞いている!愚か者には見えないらしいな!!」

きしめんが焦って手で口元を隠す。

アスタは余裕の表情を見せ笑った。

「しっかり出来てるよな。悪用されない為に魔法掛けたらしいぜ!愚か者には見えない魔法をな!!」

そう言って手を差し出すときしめんも手を出した。

そして空気を手に置く。

「しっかり握れよ?大事な物だからな!」

きしめんがどうしていいか迷い、少しだけ手を縮めて手を探るように動かす。

『どこだ!?どこだ!?』

「あれ?そんなデカくないけど?」

するときしめんがもう少し縮めた。

「わ、わかってるよ!落とさないようにしてるんだよ!」

「ほらよ」と言ってアスタが空気を渡す。

「ふん!」と鼻を鳴らして力強く握った。

「あ!潰れる潰れる!!」

慌てた様子で言われて、きしめんが一瞬焦るが気を持ち直す。

「妖精のペンダントだ!多少強く握った所で壊れるものか!!」

きしめんが手を開き空気を見せつつ葵の目を見る。

「き、綺麗・・・だな?」

『振るなよ』

振られた葵が黙って困る。

『実は見えないんだよな・・・』と葵もきしめんのてのひらにある空気を見ながら眉をひそめていた。

「この力強い赤の光が力を示しているようで・・・」

「青だけど?」

『バカ!見えてないのに変に見た目のこと言うなよ・・・』

表情を歪めながら浅はかなきしめんを横目で見る。

アスタの言葉にきしめんが手を動かして角度を変えた風に観察しだした。

「そう、角度によっては青くも見えないこともない・・・」

その様子を見たアスタが余裕の笑みをこぼす。

『ぷー!やっぱこいつら馬鹿だ!』

ニンマリとした悪意に満ちたその表情を葵は見逃さなかった。

「おい、アスタ!本当はペンダントなんて無いんじゃないのか?お前のハッタリだろ」

鋭い推理に体を強張らせる。

恥をかかされたきしめんが目を剥いて睨みつけた。

「何!?」

「バッカ!そんなわけねーだろ!」

きしめんが怒りと疑いの表情に変わっていく。

「な、なあ、きしめん。俺さ、一つ気になってんだけどさ、それ魔王に渡すんだよね?」

「当たり前だ!」

「今回みたいに2人がかりの時って魔王からの評価が勿論分散するよな」

2人が訝る。

「何が言いたい」

「いや、本当に単純な疑問だよ」

アスタが一呼吸置いてから話す。

「相手を潰せば評価は独り占めなんじゃないかなーと、ペンダントの見える賢い奴なら考えるんだろうなって思っただけだよ」

それを聞いてきしめんが葵と距離を置く。

「きしめん!騙されるな!アスタの罠だ!!」

「うるさい!お前なんかに魔王様の評価を渡すものか!!」

疑心暗鬼になったきしめんが左手に空気を持ったまま構える。

葵も仕方なく諭しながら応戦するが聞く耳持たず。

雷や炎が狭い廃墟を飛び交い、勿論アスタにも飛び火した。

「アチッ!アチッ!・・・危ねえ!!」

すると下の小窓からチョコが覗いていた。

「アスタ!大丈夫?今助けるよ!」

「チョコ!」

足の縄をチョコに切ってもらったアスタは、こっそりと建物を抜け出した。

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