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月桂樹の冠,  作者: 叶笑美
メリリーシャの街
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噂の人々

荊姫戦後の特別休暇だが、葵ときしめんは部下たちが探してくれているコロシアムの時に出現したフードを被った人物について考察していた。

そこにきしめんのケータイが鳴り響く。

「ちょっと待て葵、部下からだ。・・・どうした?」

「た、助けてください!!きしめんさん!!」

ケータイの向こうから聞こえてくる声の切羽詰まった様子に葵も気にする。

「何だ?慌ただしいな」

すると、葵の端末も鳴りだした。

「葵様!来て下さい!!」

「落ち着け!一体どうしたんだ?きしめんにも救助要請が来ている。何があった?」

葵が聞き返すと、ケータイの向こうから慌てた様子で互いの部下から返答が来る。

「感染病院に閉じ込められました!」

「アスタです!!ヤツにやられました!!」

お互い目を丸くして見る。

葵がすぐに耳から離して操作し、部下の位置情報を開くと、部下達が一箇所で集結していた。

「うわ!部下のコロニーが出来てる!」

「とにかく急ごう!コロシアムでのフードの奴の話はまた今度だ!」

きしめんがケータイに向かって返事をする。

「すぐに葵と一緒に行く!」

「必ず行くから、冷静さを忘れるな!負傷者がいるのならその手当を、あと感染への対策をしろ!」

「は、はい!」

通信が切れてから部下達に冷静さが取り戻されてきた。

感染対策として、布で口元を覆う。

「結核ってこんなんで防げるの?」

「さあ?無いよりマシじゃないか?」

「できる限りで応急処置をしよう!」

「葵様達ならこの牢獄をすぐに壊してくれるはずだ!」

安堵から希望を見出す。

「でも、何であの2人一緒にいたんだ?」

「確かに。今日、共同の任務とかあったのか?」

「いや・・・2人共特別休暇でオフの日じゃ・・・」

しばらくみんなが黙った。

「え?数少ないオフの日に2人で会ってんの?普段あんなにも仲が悪いのに?」

「できてんのかよ、あの2人・・・」

「や、やめろよ。助けに来てくれるんだぞ・・・」

「そういえば、前にも2人の噂なかったっけ?仲の悪さはカモフラージュとか・・・」

その後、一抹の不安を抱えたまま、誰も一言も話さず話題から目を背けるように仲間の応急処置に専念した。


「な、何だこれ?」

身代わり様に囲われた廃病院の目の前で呆然と立ち尽くす2人。

葵が部下に電話をかける。

「今着いた!この要塞について何か対応策はあるか?」

「は、はい!外からの攻撃のみ受けるそうで、一定のダメージで壊れます!前にもこれを複数人で攻撃した時はなかなか壊れませんでした!それが3体で巨大化しているので、手強いかもしれません!あと、壊した後にジェル状になって襲ってきますのでご注意を!!」

「わかった。危ないから中央に集まれ!」

葵はケータイを切り、サーベルを抜いた。

きしめんもハンマーを構える。

「やるか、葵!」

「ああ、やろう!」

きしめんがハンマーを、葵はサーベルを振り上げた。

「せーの!!」と掛け声で同時に攻撃をし、その一発で見事破壊した。

中の部下が衝撃に備えて頭を抱える。

部下の言う通り、ジェル状になって襲ってきたが、きしめんの炎の能力で全て蒸発させた。


葵ときしめんが建物内に入る。

「す、すごい!俺達が20人がかりで潰したものより数倍デカイものを!!」

「たった2人で!それも一撃で!!」

「葵様!」

「きしめんさん!!」

近寄る部下に声をかける。

「大丈夫か?」

「なんだこの有様ありさまは!!」

部下が大量に倒れている凄惨な現場に言葉が出ない。

「感染病院って一体何の感染病だ?」

「結核です!!」

部下が看板を見せる。

「結核菌は空気感染だ。もうここまで使われていない病院に菌が残っているわけがない。何より、結核病棟がこんなに無防備で小さい施設なものか!この看板の字も新しい!」

葵が看板を投げ捨てる。

「え!?じゃあ俺達は・・・」

「感染なんかしていない。安心しろ」

葵の言葉に胸を撫で下ろした。

「アスタにやられたな。お前らの動揺を使った心理的戦略にまんまとハマったんだよ」

きしめんに言われ、部下達は安心と悔しさを半々に持つ。

「それにしてもこの量をアスタが1人で?」

葵が倒れる部下に目を向ける。

「いたのはブラックサレナともう1人の3人でしたが、この建物の中ではアスタしか見ていません」

「もう1人ってのは?・・・フードを被った奴か?」

きしめんの質問に首を横に振る。

「いえ・・・ただの子どもです。アスタやブラックサレナと同じくらいの少年でした」

考え込む葵にきしめんが言う。

「俺達は現場を見ていないから判断はつけにくいが、アスタに得体の知れない能力があるのは確かだ」

「この件は一度持ち帰ろう。まずは仲間の手当が優先だ。俺はそうめんに応援を頼むから、きしめんはパルフェに応援を出してくれ」

「わかった」

葵が部下に振り向く。

「ゆっくりでいいから、負傷者を遠征基地に運んでくれ。医療班の手配はしておく」

「はい!」と返事をし、部下は仲間を抱えて運ぶ準備を取った。

その後葵がきしめんに近寄り、少し小さめの声で話しかける。

「さっきの続きは後にしよう。今夜、俺の部屋で待つ」

するときしめんは頷いて返した。

周りの部下達は複雑な心境で2人を見ていた。

後日、この2人に変な噂が広がったことは言うまでもない。

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