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月桂樹の冠,  作者: 叶笑美
メリリーシャの街
65/218

牢獄の魔女

荊姫の住処である建物の扉を開けた。

中は外観通りの石造りで、内装はほとんど崩れていて家具は何もなくかなりの年数が経った廃墟だ。

壁の灰色が殺風景であり、無機質であり、そして不気味な印象を与える。

仕切りも何も無い広く突き抜けた、かつて二階建てだった建物は天井の高いダンスホールのようだ。

窓は荊で塞がれ、屋根が崩れた穴から差し込む光がスポットライトの様に、佇む荊姫を照らしていた。

ロングの黒髪は綺麗なウェーブを描き、Aスレンダーラインのドレスは髪と同じ黒さだった。

白い肌が服と髪のコントラストでよく映える。

ゆっくりと開かれた真紅の大きな瞳はきしめんを捉えた瞬間、相手を硬直させた。

きしめんは一気に冷や汗を垂らす。

『なんだこの感覚?・・・殺されると錯覚してしまった!!』

館の外から荊姫を確認したパルフェは扉から離れて建物の壁に身を隠した。

「きしめん、大丈夫かしら?いや・・・信じるしかない。私はサポートに尽くすのみ!」

扉が大きな音を立てて勢いよく閉まり、荊が覆い尽くす。

「あなた・・・魔王軍のきしめん?」

「牢獄の魔女に認知されてるとは嬉しいよ」

すると後ろの扉を指差した。

「外のはそうめん?」

「いや、あいつはパルフェだ」

返答を聞くとつまらなさそうな顔をした。

「なーんだ。そうめんだったらお礼を言おうと思ってたのに」

「何でだよ?あいつは白雪姫とハンターを殺した奴だぞ?」

その問いに口角を上げて怪しく笑う。

「だからよ。私白雪姫嫌いなの」

きしめんは何を聞いても眉一つ動かさない。

「本当は牢獄の魔女なんて名前より薔薇の魔女って呼ばれたかったのよ。なのにあの女が取っちゃったからムカついてたの」

「あっそ。本当に仲間意識も何もないんだな、魔女同士って」

呆れた素振りも見せずに淡々と言い返すのは、魔女同士はつるまないという性質を承知済みだからである。

それに、その発言も去ることながら、見た目も思っていたより子どもっぽく、まるで貴族に生まれた少女のような、品はあるがどこか幼い顔をしていた。

「知ってるんでしょ?私達が群れないこと。でも私も知ってるのよ。あなた達が来た理由」

「へぇ、知ってるのか?」と白々しく聞き返す。

「私を狩りに来たんでしょ?他の魔女達みたいに」

真っ黒な荊が広がっていき、グレーの石の壁を埋め尽くす。

きしめんはハンマーに手を掛けて一振りし、荊を焼くために炎を出した。

しかし、荊は炎より早く動き、なかなか着火しない。

きしめんもやけになってハンマーを振り回す中、荊姫は荊に包まれて姿を消した。

「パルフェ!奴が姿を消した!!」

きしめんからの無線が入り、外で待機していたパルフェが双眼鏡を覗く。

「きしめんの右後ろの壁よ!!」

聞くとすぐにハンマーを振って背後を叩いたが、荊の束に炎の出てない柄の部分を掴まれる。

「へぇ、外のパルフェは隠れてる場所が見えるんだ」

壁の荊から姿を現し、またすぐに消えた。

きしめんは手で柄に絡まった荊を引きちぎる。

「痛ってぇな!!」

舌打ちをしながらまたパルフェに聞く。

「次はどこだ?」

「左の床、窓の位置」

ハンマーを握り直して大きく上から床目掛けて叩きつけた。

荊が左右に分かれて避けると地面が割れて破片が飛び散る。

「クソ!!逃げ足が早い!!次はどこだ!!」

少し待ったが返答が無い。

「う・・・ぐっ!!」と嗚咽が無線から聞こえる。

「おい、パルフェどうした?」

パルフェは建物の壁に荊で締め付けられていたのだ。

トゲが腹や腕に食い込み血がこぼれ出る。

猿轡さるぐつわのように噛まされた荊を手で外すとようやくきしめんに連絡を取れた。

「きしめん!右!!」

しかし、相手が早かった。

きしめんは荊で首を絞められ体を宙に浮かされていた。

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