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月桂樹の冠,  作者: 叶笑美
メリリーシャの街
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召集

魔王はきしめん、パルフェ、葵の3人を呼び出した。

「今日3人を招集した理由はわかってるわよね?機は熟したわ」

3人は直立したまま魔王の話を聞く。

その姿から魔王への忠誠心が伺える。

「ついに最後の魔女、さらに魔女のボスと言っても過言じゃない牢獄の魔女、荊姫いばらひめを討伐する日が来たわ!!」

魔王の力強く放たれた言葉からは凄みを感じる。

「これには誰が最適かしら・・・」と見渡すときしめんが真っ先に挙手した。

「はい!俺に行かせて下さい!!俺の炎なら荊を焼き払えます!!」

「それなら葵の電撃でも焼けるわよ」

悔しそうに睨まれた葵は、やりづらそうに魔王に挙手して具申する。

「確かに俺の電撃でも可能です。しかし、調査報告による荊姫の拠点を見ましたが石造の家で俺には環境的な分が悪いかと思います。それに比べてきしめんの能力なら、焼殺が無理だったとしても熱殺が可能となります」

魔王は椅子に座って背もたれにもたれかかり、こめかみに指を置いて考える。

「なるほどね・・・。それならきしめんにお願いしようかしら」

その途端、きしめんの顔が一気に晴れた。

「ありがとうございます!精一杯やらせていただきます!!」

「ただし、パルフェをサポートにつけるわ」

「え?」と意外な言葉にきしめんが面食らった顔をする。

「荊姫は荊に隠れて攻撃してくるの。だからパルフェの探知能力は大いに役立つはずよ」

パルフェは頭を下げて「かしこまりました」と一言言った。

「葵は近くで待機しなさい。もしもの時はあなたがきしめんを助けるのよ」

「かしこまりました」と葵も頭を下げた。

きしめんだけが納得のいかない顔を見せる。

「ここまであなた達が優秀なおかげで魔女狩りがかなり円滑に進んだけど、今回の荊姫だけはそうは行かないわ。四天王以外じゃあ到底力不足。むしろ足手纏まといになる可能性もある。これは四天王だけで倒すこと!!」

言い切ってから「もちろん」とさらに付け加える。

「討伐後なら部下を呼んでもいいわよ。核や心臓の回収や、動けなくなった四天王の回収のためにね」

「魔王様、お任せ下さい。必ず俺が仕留めます。部下も葵も使わずに!!」

魔王はきしめんの言葉に少し間を置いてから答えた。

「きしめん、あなたの強さは十分認めているわ。純粋な戦闘力だけでいくと間違いなくあなたが四天王・・・いえ、魔王軍最強よ。歴代を含めてね」

きしめんが誇らしそうにするが、魔王は少しも笑わない。

「ただ、慢心しないこと。自他共に認めるからこそ出る慢心は必ず足を引っ張るわ。いい?自分を殺す最大の敵は目の前の強敵でもライバルの同僚でも使えない部下でもない。自分自身よ」

その忠告にきしめんは固唾を飲んだ。


きしめん、葵、パルフェは早速荊姫の元へ向かう。

「きしめん、さっきの魔王様の言葉は本当に牢獄の魔女が強敵だからこそなのよ?ちゃんと仲間を頼りなさいよ!もちろん、葵のことも!!」

パルフェの小言に嫌そうな顔をする。

「わかってるよ!でもな!!」

きしめんは立ち止まって葵に振り返った。

「お前にだけは絶っっっ対!!救助要請しないからな!!」

また振り向いて先を歩いていく。

「お前は魔女を2体も倒してる。今回俺が倒せば2体目、さらにお前のより強い魔女だ!!そうなれば俺の方が魔女狩りの功績は上になる!!」

パルフェと葵は立ち止まって呆れながらきしめんの背中を見ていた。

「・・・パルフェ、あいつのことはわかってるよな?いざという時はパルフェが俺に連絡するんだぞ」

「ええ、わかってるわよ」

そう言うと2人は再びきしめんについて行った。


葵は近くで待機し、荊姫の住処すみかにはきしめんとパルフェだけで出向いた。

「パルフェ、何があっても葵にだけは救助要請するなよ?例え俺が倒れようとも、核と心臓の回収でも今回だけは呼ぶなよ!!」

「・・・はいはい。わかったわよ」

ため息混じりに返答する。

「そんなに功績に拘るのは何?承認欲求強すぎない?」

「承認欲求?・・・そうだよ。俺はヒーローになりたいんだよ。俺を慕ってくれる部下達のな」

パルフェの問いに振り返らずに答えた。

「だからこそ、絶対的な最強でなきゃいけないんだ!!」

そして荊姫の館の扉に手をかけた。

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