表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
月桂樹の冠,  作者: 叶笑美
メリリーシャの街
57/218

飯テロ

トイレに行くと言い、消えたシャルロットが突然現れ、四天王達が唖然とする。

「シャルロット・・・様?一体どちらに?」

「トイレから出たら誰もいないからびっくりしちゃった!」

その言葉に葵がいぶかる。

「俺が確認した時には誰もいませんでしたが?」

「いたよー!すっごくお腹痛かったの!だから返事できなくって・・・。だって、葵さんも中に入ってまでは確認してないでしょ?」

葵が部が悪そうに引きつらせた笑顔になった。

「え、えぇ・・・勿論!婦女子の御手洗に入るわけありませんよ!」

すると、シャルロットふんするシャロンが片目を閉じてみせる。

だが、葵には何の合図かわからなかった。

『こうして意味あり気なウィンクをすれば姫っぽいはず!』

『な、何だ?このアイコンタクトは?』

シャロンはかなり姫の所作をはき違えていた。

「行こ!」

「どちらに?」

シャロンが葵を引っ張る。

「ケーキ屋さん!!」

「え?さっき食べましたよね?」

「トイレで出しちゃった!」

葵を筆頭に四天王達は黙った。

「こっちに美味しいケーキ屋さんがあるんだ!友達に教えてもらったの!」

歩いていく途中、少し距離を置いて小声で四天王達が話し合う。

「戻って来たのはいいけど、何か変じゃない?」

「ああ、前は大人びていたけど、今は年相応・・・というより、少し下くらいだな。なんならシャロンに寄ってないか?」

「顔付も前より馬鹿になったな。トイレで脳みそと気品を流してきたのか?」

パルフェ、葵、きしめんが話し合う。

そんな四天王達をよそにシャロンが歩いていくので、3人でついて行った。

葵は歩きながらさっきの無意味なウィンクを考察する。

『さっきのウィンクは何なんだ?何のアイコンタクトで、何を伝えようとしていた?』

そこでさっきシャルロットを探してトイレに入った事を思い出す。

『・・・まさか!!俺がまだ姫が中にいると知っててトイレに入った事を知ってるのか!?その合図で、俺をゆする前触れだとでも!?』

日頃からパーティのゆすり被害に遭いすぎていて、思考がそうなってしまった悲しき魔王軍幹部。

葵はどんどん嫌な汗をかいてきた。

「おい、葵!お前すごい汗だぞ?大丈夫か?」

「体調不良?」

きしめんとパルフェが聞くが振り返って否定する。

「いや!!大丈夫!・・・ちょっと空調消して来たか気になっただけだ!」

「何それ?ちょっと怖いわね。でもホテルだからそんなに気にしなくてもいいんじゃない?」

パルフェが苦しい言い訳に共感してくれる。

まさに恋は盲目。

「ここだよ!!」とシャロンが指す先に四天王達が目を見開く。

そこはついさっき出たばかりのケーキ屋“マンジェ”だった。

『デジャブ!!』と四天王達の心が奇しくも一つとなった。

恐る恐る葵が聞く。

「あ、あのー、シャルロット様?こちらは先程来ませんでしたか?」

「えー?でも友達が美味しいって言ってたもん!行きたい!!」

シャロンの駄々に対してパルフェも返す。

「友達ってどなた?」

「うーん・・・」と悩み、『リントンを葵さん達は知らないし・・・』

「葵さん!!」と適当に答えた。

そして2人が葵を見る。

『・・・うん、確かにさっきの情報源は葵だったけどさ・・・』

名指しされた葵の目は死んでいた。

「ヤダヤダ!行きたい行きたいー!!だってさっき行ったのはシャルロットでしょ?シャルロットだって行きたいもんー!!」

駄々をこねるシャロンにきしめんが頭を抱える。

「なんか俺、頭痛くなってきた・・・。全然シャルロット様の言ってる意味が分からないんだが」

「大丈夫だ。ここにいる全員分かってないから」

葵は一点を集中して見ていた。

「こんな場所でいつまでも大声で駄々こねられたら目立つわ!とっとと入りましょ!」

「そ、そうだな」

パルフェの提案で再入店した。

「いらっしゃ・・・」と店員も早すぎる再来店の上に戸惑いを隠しきれない。

葵の部下が不思議そうに注文を聞きにくる。

「あのー・・・どうされました?忘れ物ですか?」

「シャルロット様のご要望だ」

シャロン以外の皆の顔が険しい。

「はい!シャルロットのケーキセット4つ!!」

「は!?」と四天王達がシャロンを一斉に見る。

葵が質問した。

「あれ?さっきも食べませんでしたか?」

「もー!ヤダなー、葵さんってば!べ・つ・ば・ら!!」

『別腹!?』と3人が衝撃を受ける。

「なぁ、別腹って何だっけ?同じケーキで別腹は存在するのか!?」

「し、知らないわよ!少なくとも私の別腹はそんなんじゃないわ!」

全員で渋々シャロンのケーキを食べる。

「うぅ・・・違うケーキが食べたい・・・。同じケーキなんてカロリーの暴力よ・・・」

パルフェが落ち込む中、シャロンはメニューを見ていた。

「えーと、えーと、次は・・・」

「まだ食べるの?」

流石にパルフェがつっこむ。

「もー、ヤダなー!今のは前菜でしょ?次に第二のお皿じゃない!コース料理も食べた事ないの?」

「いやいやいや!!ケーキのみのコース料理とか知らねーよ!!」

きしめんが思わず立ち上がって言うがシャロンがバカにして笑った。

「ぷぷぷー!コース料理なんてお姫様は毎日食べてるんだよ?知らないわけないよ!これだから下々の者達は!」

『腹立つ・・・!!』ときしめんは拳を握った。

「おい!今から世界中にある鬼の一族を潰しに行くぞ!!俺らの3部隊なら半年あれば余裕だろ!!」

「落ち着け、きしめん!!」

葵にいさめられて一旦座る。

「すいませーん!いちじくのフレッシュタルト4つ!」

「俺らはもういらんから!!」

さすがに次の注文は葵も大きな声を出した。

「えー!ヤダヤダ!皆で食べたいー!!お姫様の命令だもん!!」

3人が顔を歪める。

「ぬいぐるみの駄々までは許そう・・・トイレ以降の駄々っ子は何だ?」

そして運ばれる4つのタルト。

最早四天王たちは絶望感に打ちひしがれていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ