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月桂樹の冠,  作者: 叶笑美
メリリーシャの街
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逃走

それぞれに動きやすい格好に着替えた後、葵を先頭に街中を歩いていく。

「ここ、マンジェにしましょう。俺の調べによるとここはなかなか評判の良い店だそうです!」『と、アスタらが言ってた』

アスタ情報の、更に大使館のリントン情報だった。

そしてやっとアスタ達が情報役として葵の役に立った瞬間だった。

「よし、ここにしよう!」

4人が入り席に着くと、水を運んで来たスタッフがたまたま潜入中の葵の部下だった。

「いらっしゃいませ。ご注文は・・・あれ?葵様?」

「ん?あ!どうしてここに?」

お互いに驚く。

「あれ?皆様もお揃いで!我々は今、街の情報収集の為に皆で働いております!他の方の部下もです!」

「そうか!精が出るな!」

葵が労うと、状況を見て質問された。

「皆様は一体何を?」

「今こちらの方を接待兼護衛をしている。こちらは鬼の一族の姫、シャルロット様だ」

シャルロットが軽く頭を下げる。

「お姫様でしたか。知り合いに似てたのでその方と少し勘違いしました」

「よい。ここのオススメのケーキを食べたい」

シャルロットの問いにはつらつと答える。

「それなら、丁度同じ名前のシャルロットというケーキがあります!女性の帽子をイメージしたケーキで、見た目も可愛いですよ!」

「そうか。ならそれを頼む!」

「私もそれで!」

パルフェが答えるときしめんが「俺らはコーヒーだけでいいよ」と言った。

「今のは仲間か?」

「ええ、一応上司と部下という肩書きはありますが、自慢の仲間の1人です!」

「仲間か・・・」とシャルロットが呟いた。

ケーキを食べる女子2人に対し、葵ときしめんはコーヒーだけ飲む。

「美味しい!!」

「本当!なかなかレベル高いわよ、ここ!」

シャルロットにつられてパルフェも喜ぶ。

「よくこんな店知ってたわね、葵!」

パルフェに言われて「あ、ああ。まあな」と答えずらそうに返した。

『まさか散々痛い目見させられてるパーティからの情報とは言いづらい・・・』

パルフェが男子のコーヒーを指す。

「てかさ!なんで2人はケーキ食べないわけ?皆で来てるんだから食べれば?」

きしめんが面倒くさそうにする。

「うっせーな!俺らはただでさえ謎メンツで目立つんだよ!その上で俺らみたいな厳ついのがこんな店でケーキ食ってたら余計注目浴びるわ!!」

「あー、きしめんはね!でも葵なら違和感無さそうよ?」

「俺もきしめんに同感だ!大人の男女3人に加えて少女が1人。見方によっては誘拐グループだから控えるよ」

「何言ってんの?」とどう見ても苦しい言い訳にパルフェが呆れる。

シャルロットはケーキを食べ終えて3人を見ていた。

「ほら、シャルロット様も食べ終えた!早く出よう!」

「わかったわよ!・・・シャルロット様、私達に何かついてますか?」

パルフェが視線に気づき、シャルロットが目線を逸らす。

「い、いや・・・何でもない」

黙ってシャルロットを見るパルフェにきしめんが「早よ食え」と促した。


外に出て歩いているとシャルロットが大通りを挟んで向い側のファンシーな店を指し「あれが欲しい!」と言った。

「え?」

全員で指された先を見ると、全体的にピンクでハートだらけのデザインが施されたティーンエイジャー向けの雑貨屋がある。

「あそこのクマのぬいぐるみだ!どうしても欲しい!!買ってきて!!」

急に年相応の駄々をこねられて四天王達が困り果てた。

「さっきまで大人びた子だと思ってたけど、急に駄々をこね始めたわね・・・」

「しかもあんなファンシーな店のクマのぬいぐるみだと?」

パルフェと葵がしかめる。

「さ、流石にあれは俺達じゃ無理だからな!!」

きしめんの訴えにパルフェも納得せざるを得ない。

「う・・・確かに私でさえ抵抗のある店なんてあなた達2人は入れないわね。でも、だからって私も1人であそこに入る勇気無いわよ!!」

シャルロットがパルフェの袖を引っ張り再び欲しいと言うので、仕方なく葵ときしめんがじゃんけんをして、負けたきしめんと2人で店に向かった。

「葵が良かった!」「文句言うな!」と小声で怒りながらパルフェときしめんの2人は歩いて行った。

残された葵とシャルロットが壁にもたれて2人の帰りを待つ。

その間シャルロットが街の子ども達を羨ましそうに見ていた。

そして、もじもじと足を動かしながら葵を見上げる。

「なぁ・・・お手洗いに行きたい・・・」

葵は近くの公園の公衆トイレに連れて行った。

「お腹痛いかも。時間かかるかもしれない・・・」

「わかりました。待ってます」

葵を待たせてトイレに入り、上にある小窓から裏側に出た。

そして、公園を抜けて路地を走っていってしまった。


パーティとチョコはきしめんの部下達に追いかけられていた。

前を走るパーティを追いかけると仲間がノーティーエッグズの【簡易落とし穴】に落ちた。

「へっへーんだ!!・・・って、わぁぁーー!!」

それを見て得意気にしてると、すぐに這い出て追いかけられる。

だが、複雑な路地ですぐにパーティを見失った。

「どこ行った?」「俺はこっちを探す!」「じゃあこっちに行く!」

魔王軍の5人はバラけた。


アスタ達が走っていると、シャロンが先導して「こっち!」と曲がって行く。

それに3人がついていくと、曲がり角で人にぶつかって転けた。

「うわぁ!!」

「きゃっ!」

すぐに3人が駆寄る。

「大丈夫!?」

「立てるか?」

キャメリアとアスタに目を回すシャロンが起こされる。

「あの、大丈夫ですか?」とチョコが手を貸しに行くと相手を見て目を丸くした。

「あれ!?こっちもシャロン!?」

チョコの言葉にパーティも見ると頭の良さそうな角の生えたシャロンがいる。

そう、シャロンがぶつかったのはさっき四天王3人に接待を受けて逃げ出した鬼の一族の姫シャルロットだった。

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